「はいよー、まずは自己紹介からしましょーかねっ!みんな学園で有名だし、選挙の時にもお話したから今更かもだけど、なんかやったほうが顔合わせっぽいし?」

しゅぱっと豊先輩が両手を挙げる。

「まずオレからねー。2Bの豊臣です会計でーすっ!オレ1年の時も会計だったし、みんな知ってくれてると思うけど、豊臣がフルネームだからね!ゆたかしんだからね!とよとみとか呼んだら、襲・う・Z・O☆!!」

ちなみに本当はとてつもなく長かったので要点だけ抜き出したものだ。正直中学のときの好きだった給食とかその他諸々、いらないかなって。

最後にキラッと言いながらポーズを決めた豊先輩に日向先輩が鼻で笑った。

「……とよ、とみ」

「もきゃあああああ!!!!」

文字通り襲いかかった豊先輩の頭をがしりと掴むと、腕を振り回す先輩に構うことなく口を開いた。

「日向慶二。2A。書記…前は会長。…慶二と、呼べ」

最後に薄く笑って自己紹介を終えると、簡単にと豊先輩を椅子に投げ返した。

「おぅふっ!」

片腕で軽く吹っ飛ばした日向…、慶二先輩に頬が引き攣る。

日向慶二。
口数こそ少ないものの、一年にして会長を務めただけあって、規格外な人だ。

南の華やかな顔立ちとオーラも人の注目を集めるけれど1年で生徒会会長という可能性を示してみせたのはこの人なのだ。

ちらりと慶二先輩に目を向けられる。

思考が読まれたのかと思って僅かに肩が揺れたけれど、自己紹介は僕へと回ってきていた。

「副会長に選ばれました八雲直です。1Sです。至らないところも多々あると思いますが、一年間よろしくお願いします」

定型文と無難な笑顔で終えると南に叩かれた。

「精一杯頑張りますとか言ってみせろよ、後輩らしくかわいらしく」

僕にかわいらしさとか求められても。

「会長の南冬哉がかわいらしく頑張ります。…なにそれ気持ち悪い」

「俺じゃねぇよ、だからお前に言ったんだろ!…っち、1Sの南冬哉、会長だ」

そしてぴっ、と慶二先輩を指差した。

「俺はあんたを越えるぜ」

にやりと笑うその顔も態度も、けして先輩に向けるようなものではなかったけれど、その王様然としたところが慶二先輩のお気に召したのか、「やって、みろ」と喜色をのせた声で答えた。

ああ、本当にこの幼なじみは変わらない。

小さく苦笑して、それでももうため息はつかなかった。


こうして
会長、南冬哉
副会長、八雲直
書記、日向慶二
会計、豊臣
庶務、井上兄弟(本日欠席)


以上6名による第63回期生徒会が発足したのだった。




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