Back to the ちゅーたつ!仮 (83
2012/09/25 23:22
「ええと、これで誤解は解いてもらえたかな^^」
しょげかえっている司馬懿に、覚醒を解いた郭嘉が歩み寄って肩にぽんと手を乗せた。
しかし、その手を彼はにべもなく叩き払う。
「気安く触れるな馬鹿め!昭達が無事だったから不問に処してやるが‥決して許したわけではないからな!勘違いするな!」
勢いよく振り向き、テンプレ通りの怒声を上げた。
「うーん‥様式美のようなツンデレ^^」
ちょっと頬が赤いのが余計に王道パターン‥。
それはともかく、いつものツンデレ司馬懿に戻ったと知った曹丕達も彼の周りに集まってくる。
「司馬懿殿、実はここにも通信できるツタージャを預かっていて‥お腹押しても全く反応しないんですけど‥」
元姫がおずおずと司馬懿にツタージャぬいぐるみを差し出した。
相当連打したのか、もうお腹がちょっとへこんでしまっている。
「そのツタージャを預けたとは‥元就も本気のようだな」
ぬいぐるみを見た元親が驚いたように目を見開く。
彼曰く、元就にとってツタージャぬいぐるみは彼の軍略の根幹とも言える存在らしく、それを空間を越えた先に渡すということは時空を越えた軍略スペクタクルを披露する覚悟を決めた‥に等しいと言う。
司馬懿は口元を撫でながら暫く考えたのち、顔を上げて元姫の方を振り向いた。
「‥元姫、それから長宗我部。その毛利元就に何とかして連絡を取るのだ、策の全容を聞き出さんことには対応できん」
てきぱき指示を出し始めた司馬懿に郭嘉がにこにこ笑いながら声を掛ける。
それは信用できる同業者を見る頼もしげなものであり、同時に最高の退屈しのぎを見つけた嬉しさと期待に満ちた表情だった。
「まぁ軍師の身としてはそうですよね‥ということは司馬懿殿も本気を出して頂けると?^^」
「当然だ。目を離した隙にうちの子に何かあっては困る」
両手を腰に当て、郭嘉に対し憮然と頷いた彼はそのまま曹丕にも目をやる。
「子桓様、しばらくこちらを優先しますが宜しいですね?」
丁寧な、だがしかし有無を言わさぬ疑問形。
曹丕は肩を揺らし、仕方ないとばかりに微苦笑でかぶりを振った。
「好きにするがいい、この一連の騒動に関しては指揮権も委譲してやる‥というか言わないと謀反されそうだからな」
「感謝致します‥話の分かる主君に仕えられて光栄ですよ」
当てつけるような言い回しに、司馬懿もまた皮肉っぽく口角を吊り上げる。
多分に毒を含みながらも、対峙する二人の間には互いの信頼を感じさせる空気があった。
「あ‥‥」
「どうなされた、元姫殿?」
その姿を離れた場所から見ていた元姫が、ふと何かに気付いて声を上げた。
問い返すトウ艾に彼女は口元を押さえ、思考をなぞるように独語する。
「司馬懿様は未来でも陛下以外に唯一光陣を自由に扱う特権を持っていたけど‥‥もしかして、いまこの瞬間にその要素が決定したということ‥?」
「だとしたら、元姫殿がおられたという未来とは違う方向に世界が進んでいるのでしょうな」
呟きを受け継いでトウ艾が頷いた。
はっと振り向いた元姫を促すように、彼は司馬懿達に目線を投げながら続ける。
「元親殿や元就殿がおられますし、敵に対する反撃の手段も持っている。負ける未来にはなりますまい」
少なくとも勝機はある。
すでに新しいルートに踏み込んでいたとしても、グッドエンドに持ち込むのはもう難しくない。
一番初めに見た最悪の未来よりも、ずっと多くのものが今の彼女達の手にはあった。
元姫は安堵を滲ませた笑みを見せ、ツタージャをぎゅっと抱きしめた。
「そうですね‥うん、なんだか自信が出てきました‥勝てるかもって」
何日ぶりだっけ?(棒)
すみませんほんと
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