Back to the ちゅーたつ!仮 (81
2012/09/25 23:20
所変わって洛陽のお城では、時空も歪む暗黒亜空間が出現していた。
あふれるサイコパワーが渦を巻く中心部では、紫色の発光体が戦闘力53万のあの御方もかくやの威圧感を放っている。
「‥‥で、皇子はうちの子を置いて帰ってきたと」
発光体‥基い司馬懿は帰宅した一行の中に姉妹が居ないことに気付いた瞬間覚醒した。
事情を説明したのだが、まるで聞く耳も持たない。
オロチ風なエコーの効いた低音ボイスに曹丕は苦く顔を背けた。
「何故私の単独犯行に‥」
愚痴る曹丕の隣で元姫が必死に訴える。
「申し訳ありません司馬懿様、ですがそれには理由が‥っ!」
肌を刺すようなプレッシャーに怖じ気づく元姫をそっと制し、今まで黙っていた郭嘉が進み出た。
「元姫殿は下がっていておくれ、さっき言ったはずだよ?彼の相手は私がする」
「郭嘉殿‥」
心配する彼女を背に、郭嘉はゆったり一歩踏み出して、跳躍と同時に覚醒する。
勢いを駆ってそのまま空中に躍り上がった郭嘉は、不敵に笑んで司馬懿と対峙する。
「うん、凄まじいオーラだね。身を切るような敵意‥怒りを感じるよ」
「そうですね、誰のせいで怒っていると思われますか‥馬鹿めが!!!」
力の籠もった怒声と共に司馬懿が両手を大きく振り上げた。
「!!」
郭嘉が咄嗟に棍を翳したのとほぼ同時。細く鋭利な鉄糸の衝撃波が彼を襲った。
「!‥下がれ」
「きゃっ‥!」
広範囲を無差別に攻撃する鉄糸は鞭のごとく強かに壁や柱を打ち据え抉り取る。
流れ弾を察知した曹丕もまた、片腕で元姫を抱き寄せ、もう片手で弧刀を翳し容赦ない斬撃の暴風を防御してみせた。
「仲達‥本気でキレてるな、奴は‥」
「郭嘉殿一人で本当に大丈夫でしょうか‥」
見上げる二人の眼前で、三国志のさの字もぶっ飛んだような覚醒武将が超速バトルを繰り広げている。
糸の暴風と不規則な動きで乱舞する流星が回避する互いの危うい紙一重を貫いては部屋中を傷つけた。
「とりあえずこれは策の一環だというのは理解して貰えないかな」
「ええ、ええ理解はしておりますとも私も軍師ですからね。ですが私の娘を断りもなく埋伏の毒に使ったことに対し理解しても納得ができないと言ってるわけですよ」
普通に応酬しているが、二人ともアグレッシブな撃ち合いの最中である。
不意に郭嘉が手を止めて、司馬懿に色めいた笑みを見せた。
「一刻一手の迅速さを争う軍師殿ならば解ってくれそうな気もするけれど‥娘のために必死になってしまう‥そこが貴方の弱点かな、可愛くもあるね」
「‥‥イラッ」
無言の司馬懿は険悪な目線で彼を睨み返す。
苛立ちがオーラを増幅させたのか、同時に危ない感じの稲妻が郭嘉の目の前を走り抜けた。
「何故そこでそういう展開になるんだ郭嘉!仲達オーバードライブしちゃったぞ!?」
「あはは‥すみません、美人を見ると癖でつい」
曹丕に突っ込まれても郭嘉は悪びれずヘラヘラ笑っている。
「やはり貴方がたに任せるべきではなかった‥」
目の据わった司馬懿が羽扇を眼前に差し伸べる。
‥死ぬがよい‥
導かれるように、揺らめく鉄糸が張りつめた刹那。
「‥まずいね」
郭嘉めがけて雷撃が殺到した。
身構えるが、稲妻は防御しきれる数ではない。
「ミジュマル、シェルブレードだ!」
「‥!!」
割り込んできた声と共に、水色の衝撃波が郭嘉を襲う稲妻を相殺した。
「‥今のは」
はっと振り返ると‥。
「乱入上等!!」
ミジュマルのぬいぐるみを小脇に抱えた元親が扉の前に立っていた。
今週末ポケモンブラックを買おうと思います。
※黒なのはレシラム目当てだからです
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