ファンタジーな年頃です
2012/10/13 16:32

まずはちょっと拍手の学パロ小話。

拍手にしようと思ったけど捻じ込む余地がなかったのでここに投下。



「あのね、夜紗とみあんにお話があるの」
「‥?」

大学のカフェテリアでいつもどおりみあんとお茶していた夜紗のところに、吉継を連れた佐紀が現れた。
相変わらずティンカーベルみたいなふわふわ可愛いワンピースを着ているが、いつに増して幸せオーラを漂わせているようにみえる‥?

何かあった?と無邪気に首を傾げるみあんに、佐紀は吉継をちらちら見ながら何かを言いあぐねていた。
吉継がそんな彼女の髪を優しく撫で、肩を抱きよせる。

(また見せつけに来ただけか‥)

うんざりした曇天に夜紗の心が覆われ掛けた。

だが、吉継に笑みを向け頷いた佐紀は、改めて二人に告げた。


「佐紀、吉継と結婚したの」


‥ぷはっ。

変な音と共に夜紗は野菜ジュースに咽せ、みあんは口に運び掛けたフルーツパフェのパイナップルをぽろりと取り落とした。

「昨日、吉継のお誕生日に籍も入れたの、だから‥これからは「大谷佐紀」になります。よろしくね」
「末永く幸せに暮らしますので」

唖然とする夜紗の代わりに、みあんが慌てて尋ねる。
さすがの情報通も動転しきっているようだ。

「う、嘘ぉ!?おめでたいけど‥にゃんぶ、学生結婚なんて大丈夫なん‥?」
「ああ、それはまぁ」

対する吉継は至って平静。普段通りの涼やかな微笑は少しも崩れない。

「今も本職って訳じゃないけど、イギリスと日本で経営コンサル企業やってるから。佐紀を養っていくくらいは‥余裕だよ」
「吉継ってオックスフォード院卒でMBA資格持ってる社長さんなんだよ、ルイス・キャロルの後輩なんて素敵だよね!」

きゃは☆と佐紀はとんでもない旦那の肩書きを軽ーく言ってのけた。

「卒業したらニューヨークと上海あたりにも支社を立ち上げる予定なんだ。新社屋の設計は旧友の誼で高虎にお願いしたんだが、このデザインがまた各国要人に大受けしてね‥設計関係の賞を総ナメにしたんだよ。その祝いもかねて結婚式は地上の楽園セイシェルの一等地に建つシーサイドチャペルと島のビーチを一つ貸し切った盛大なパーティーにしようかと思ってる。勿論、二人も佐紀の友人として御招待するから楽しみにしていてくれ」

「マジで!?嬉しい〜!!」

みあんは目をキラキラさせて喜んでいたが、夜紗はまずかなりの超展開を見せる現状に頭が付いていかなかった。

佐紀が吉継と結婚して、
吉継が国際企業の社長で、
高虎が世界に認められて、
結婚式はセイシェル諸島‥‥?

頭がぐるぐるしてきた。
こいつら本当に俺の、友人‥か‥?


「あぁっ‥!!」

‥‥‥‥


夜紗は自分の切羽詰まった悲鳴で正気を取り戻した。

「ゆ‥夢‥?」

ベッドに仰向けになったまま、夜紗は茫然と見慣れたカーテンの隙間から漏れる朝日に目を細めた。
こんな過ごしやすい季節なのに前髪が額に張り付くくらい汗ばんで気分が悪い。

(何だあの夢は‥嫌にリアルだった)

よろよろと起き上がって、ベッドから落っこちた携帯を拾い上げて、一応までに確認しておく。

『もしもしーおはよう夜紗、どうしたの?』
「‥お前吉継と結婚したの?」
『え?やだぁ夜紗恥ずかしいよ‥』
「じゃあ結婚してないんだな?あと吉継は社長じゃないな?ならいい安心した、ありがと」

ぶつり。

『でも一応卒業したら結婚しようって約束してるんだよーでも吉継が会社やってるって何で知ってるの?‥あれ?夜紗ぁもしもーし?』

安堵の油断であっさり電話を切った後、佐紀が付け加えたこれらの台詞を夜紗が知るのはまだまだ先のこと‥‥‥。



吉継は海外で飛び級して既に院卒、しかも早々コンサル関係で起業して大成功を収めているという設定‥になってます、上記は。
少女マンガでも中々お目に掛かれない全知全能の特S級勝ち組最高峰の彼氏さんです。

佐紀の実家は敏腕の弁護士一家とかで正澄お兄が正継パパの跡継いで「あとは佐紀に最高の婿を探すだけだな」状態で良いんじゃなかろうか。

しかしここまで好き勝手やるといっそ清々しいですね。

佐&夜視点から二人が出会った頃の話を一本書いて最近多忙な知日たんにプレゼントしたのですが、その辺からもう吉佐の電波は臨界を突破してしまったようです。
自重せねば‥。(´・ω・`)




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