確かにあたしゃ女装してるし女言葉使うし可愛い男の子だってそりゃ可愛がるけど、
だからといって完全なソッチの気はないのであって、さすがに色々溜まったりするもんさ。
なんたって男なんだからね。これでも。
それなのになまえはあたしのことを完全にソッチの人と勘違いしてるみたいで、
「わー!私女一人で心細かったの!次郎さん来てくれて嬉しい!次郎ちゃんって呼んでもいい?」
な感じで初対面からもう女子トーク炸裂なのには参ったわあ。まあ楽しかったけど。
なんだかんだ悩みは聞いてあげてるし、そこらの男子たちよりはなまえのこと分かってるつもり。

でもそれが日々重なってエスカレートするとしたら別の話。
「寒いから一緒に寝ようー。」
って来られた日にはどう部屋に返そうか迷った挙句。
「あたし一人じゃなきゃ寝られないのよー。」
と苦し紛れに出した答えも翻され、
「じゃあぴったりくっついてひとつになった気になればいいよ!」
これはさすがに頭大丈夫かこの子と悩まされつつ返す言葉もないまま
布団に潜り込まれぴったり身体くっつけて足まで絡ませて…
ここまで体格差ありゃ普通はちょっと気づいてもいいんじゃないの。
当のなまえはスヤスヤ寝てるけどこっちはビンビンなんだってば。
起こさないように向かい合った身体をどうにかこうにか離そうとしても
可愛い寝顔についつい目がいっちゃうし、押しのけようとする度に
無駄にでかくて豊満な胸が腕に当たるわで、あ、ちょっともうやばいかも…

とにかくもう限界なこの欲をどうにか発散したくて
枕元に置いてるちり紙を片手鼻に片手ははち切れそうな雄に
鼻をかむ振りしながら好きな子後ろに自己処理ってもうなんだか悲しくて萎えそう。
むしろ萎えてくれればいいのにそれに反して上下する手は激しくなっていくし
鼻をかむ振りなんてもうどうでもいい。ただこの押し寄せる快感に溺れていく。
後ろで微かに寝息を立てるなまえの顔を見たが最後。
「…っぁ、なまえっ…」
多めに取ったちり紙が吐き出した欲を全て受け止めてくれたのはいいんだけど、
思わずイく時になまえの名前を呟いた自分がやけに恥ずかしくて、
いつからこんなになまえのこと意識し始めたんだろうとか
達したばかりなのに何かすっきりしなくてやっぱりなまえとそういうことしたい。と思う。
誰にも打ち明けられない悩みを抱えつつ夜は明けて日の光が部屋に差し込む。
眩しさに目を擦りながら「次郎…おはよ…」だなんて、いつもは呼ばない呼び方で
寝乱れた寝巻きにふにゃりと笑う顔。
もうこれは事後の朝を想像するにおかしくない。もう無理、限界。

嫌われるのは承知の上、寝起きのなまえを押し倒して無我夢中で唇を貪った。
抵抗してる手はあたしの寝巻きを引っ張りまくり脱がされていく感覚に落ちていく。
散々貪った唇から肌蹴て晒された胸に舌を這わせる。やっと触れれる、なまえの身体。
朦朧とする意識の中好き放題なまえを弄くりまわしてたときに
「次郎ちゃん…!!」といつもの呼び名で呼ばれ我に返ったときにはもうなまえの顔は涙でぐちゃぐちゃで。ああ。やってしまった。と後戻りできない絶望と共にもう触れないであろうなまえの肌に触れてやった。
「すまないね…あたしもこんな格好してるけどさ。一応れっきとした男なんだよ…」
嫌いになっただろう?と続けて呟きながらなまえの寝巻きを正していたら思いっきり平手打ちを食らってしまった。当たり前よね。信頼していた人に裏切られるのと同じ、それ以上の気持ちをさせてしまったんだからねえ。叩かれた頬に手を当てながらもうなまえの顔すら見れなかった。

「次郎ちゃんのばか!!私がこんなことで次郎ちゃんの事嫌いになるわけないでしょ!」

その言葉に驚きを隠せずなまえの顔を恐る恐る見ると、やはり目から涙を流しながらでもその目に恐怖の色はなかった。

「次郎ちゃんが男の子なのくらい私だって分かってるよ!確かに最初はオカマなのかなって思ったけど!」
「でも!そんな次郎ちゃんの事も私は好きで、好きで、自分の勝手で一緒にいたくてお布団に潜り込んだの!次郎ちゃん困ってるのは分かってたけど…当たってたし…」

…ズバズバと色々と衝撃な言葉を連発するなまえに圧倒されてもう豆鉄砲くらったハトのような顔をするしかなくて。なんか恥ずかしいのと嬉しいのと悔しいのが入り混じったようなやっぱりもやもやする。あたしもずいぶんと欲深くなったわねえ。

「だから!次郎ちゃんとそういう…その、えっちな事だって!私は次郎ちゃんならいいの!」

その言葉を聞いてやっとこの長いもやもやとの葛藤も終止符がついた。

「次に夜這いしてきたときにゃほんとに襲うよ。当の昔に限界突破してんだからね。」

「なんなら今からでもいいよ!」

なんだかんだでやっぱり女子の会話なノリのなまえにはこれからも振り回されそうだわ。いい意味で。
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