はて、今目の前で起きている状況はいったいどういうことだ。
ぼやけた視界に映る裸体の女は自分の肉棒を赤く熟した実のような舌で舐めあげている。次郎は事の発端を必死に考えながら下半身に与えられる淫らな刺激に耐えた。
徐々に視界が晴れ、その女の顔を見て次郎は咄嗟に声を上げようとした。…が、思うように声が出ない。毒を盛られた。そう気づいたのは声を発せようとした時、喉に焼け裂けるような痛みが走ったからだ。痛みに耐えながらも目の前の女に一言、何があったのか、なぜそんな淫らな行為を自身に…と、我らが主がなぜ仕えるものに奉仕しているのか、決して恋仲であったわけではない身分の差が高すぎる恋だった。一方的な想いを寄せた相手に、今自分は毒を盛られ、奉仕されている…。そんなことが現実だとしたら…敵陣に不敗した。そう次郎は悟った。しかし、そうなればなぜ今自分は喉の痛み以外傷跡がないのだろうか…裸体の主に奉仕され自らも半裸になった状態で妙な気分になりながら頭をひねらせた。ふと、主と目が合う。瞳を潤ませながら自分の一物を加え見上げる主は妖艶だった。ごくり、と生唾を飲む。唾が喉を通る時またあの熱く裂ける様な痛みに次郎は両手で喉元を押さえ息を殺した。目の前の主は少し慌てた様子で畳に置かれた盆の上から茶飲みを手に取ると、くいっと自ら口にした。痛みに耐えながら辛うじてその水を欲し伸ばした次郎の手を、主は手首から肩まで撫で上げると次郎に口付け親鳥が雛にしてやるように少しずつ口移しで水を次郎の口内へと運んだ。やわらかい唇の感触と唾液と混じり生ぬるい水は次郎の体内へ少しずつ流れ、時折ぴりりと痛む喉の熱は徐々に和らいでいった。こくり。最後の一滴まで主の口から次郎へと行き渡ると、静かに顔を離し互いの鼻が擦れる距離で主は次郎の顔をじっと見つめ優しく微笑むと白く透き通る色をした綺麗な指先で先ほどより少し太く、熱くなった肉棒をするりと撫でた。びくりと体を揺らすと主は満足げな顔をして、更に強く撫でた。いつもと様子が全く違う、一人の女である主に次郎はただ見蕩れていた。敵陣に不敗した。そんな考えも当に頭から抜け落ちた。ただ与えられる快楽に身をゆだね、まだ熱を帯びる喉の痛みを堪え主の名を呼ぶ。互いの鼻が擦れるほどの距離が隙もなく埋められた。貪るように時折噛み付くように唇の感触を確かめる。欲望のままに主を求めれば、主はすんなり次郎を受け入れた。くらくらする、甘い香りを放つその体を押し倒した。荒くなった息とはちきれんばかりに立ち上がる肉棒を恍惚とした表情で見つめるその主の視線だけで達してしまいそうだった。「次郎。」主は誘うように自ら足を開き、既に熟したその入り口に手を伸ばす。誘われるがままその淫らに動く手を視線で追う。入り口の飾り毛のその下へ、両手指は悪戯に音を立てながら飲み込まれる。一本、二本、そして三本と飲み込まれる白く長い指を食い入るように見た。頭上では甘く艶のある声が少し。くぷ、くぷ、と空気を含みながら行き来する音は、次郎の雄を更に刺激した。自ら一番敏感なソコを弄び、声を鳴らし快楽に乱れる主は次郎の理性を崩すには十分すぎるほどの材料だった。自分より遥かに小さい身体に覆いかぶさり、先ほどまで弄んでいた塗れた指先を自身の指と絡める。次郎の指にぬるりとした体液が絡みつく。互いの片手を絡ませたまま、次郎はその手をべろり、と舐めた。その行為に主はびくりと身体を揺らし、瞳に感嘆の涙を浮かべた。絡めとった濡れた手を静かに組み敷き先から透明な糸を垂らす肉棒を散々弄ばれたソコに押し挿れた。きゅうきゅうと絡みつくナカは次郎のソレを今か今かと待ちわびたように締め付ける。大きく深い呼吸を繰り返しながら奥へ、奥へと飲み込ませる。どちらからともなく口付け、それを合図に次郎の腰は激しく小さな主の身体を突き貪った。悲鳴にも似た甘美な声は次郎の耳を甘く溶かし、更に行為は激しさを増す。どちらのものかも分からない体液は泡を立て結合部から淫らな音を立てて垂れ跡を残す。卑猥な音と淫らな声は小さな和室に響き渡り、甘美な空間を漂わせた。腰の動きに合わせて上下するたわわな胸に手を這わし先端を摘み、押しつぶし形を楽しむ。主は一番高い声を上げた。次郎は胸の先端を口に含みころころと舌先で遊びながら片手は柔らかな主の太ももを大きく上へ持ち上げ、片手は結合部の上に主張する芽を押しつぶすように弄る。上からも下からも与えられる快感に涙を流し声をあげ、びくびくと身体を震わせ主は絶頂に達した。その後を追うように次郎は主のナカへ己の欲を全て吐き出した。どくんどくん、と脈打つ心臓と同じ調子で勢いよく白濁のソレは注ぎ込まれた。飲み込みきれなかった白濁は、先ほどまで繋がっていた結合部からどろりとあふれた。




どれくらい時間が経過しただろうか。再びぼやける視界に広がった景色は、いつも主が過ごしている小さく綺麗な和室だった。ふと、隣を見るとすやすやと眠っている裸の主。とその奥に一升瓶が何本も転がっている。やってしまった。と次郎は身体に残っている酒の余韻と、主の身体の感触に少しの後悔を覚えた。項垂れながら横目に見た主は幸せそうな表情で寝こけている。この幸せの余韻に、もう少し浸っていたい。後のことはとりあえず、次郎は朝日に透けて光る愛しい人の髪を撫でた。



余韻
( もう少しだけ )

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