欲情の続きです。
「なまえ…」
そっと宗近のきれいな手がなまえの頬を撫でる。
その仕草は暖かくもあり、艶やかであった。
まるでもっと触れたい、と伝わるように。
頬を撫でた手はなまえの薄く形のいい唇に触れするりと撫ぜる。
もどかしさにたまらず唇をつむると、三日月の瞳が弧を描いた。
「初夜のような初々しさだな…」
その言葉に初夜を迎えた夜を思い出し顔が熱くなる。こういうときの宗近はずるい。
三日月を秘めた瞳はなまえを捕らえたまま逃がさない。
見つめあったまま。いや、正確にはそのきれいな鋭い瞳から目が逸らせないのだ。
だんだんと近づいてくる宗近の整った顔がなまえの胸をいつも高鳴らせるのだ。この人はこんなにも私を高ぶらせる。憎い人。でも、それでも、目の前の宗近が好きだと。心は叫ぶのだ。
唇と唇が重なって、優しく後頭部に手を添えられる。逃がすまいとでもいうように。
だんだんと長い口付けは深さを増し、舌と舌が絡み合い、お互いの息が肌に触れる。
たまらず宗近の首に腕を回し、もっと先の快楽を求めてしまう。
もっと、もっと。私を気持ちよくさせてくれるその行為を。
離れた唇を名残惜しく見蕩れていると宗近はもう一度唇に触れた。
「ものほしそうな、顔をしているな。」
分かっているくせに、私があなたを求めていることを。わざと茶化すように…
「私に…欲情したのでしょう?」
そうだな…。と呟きながら宗近はなまえを布団へ押し倒した。
そして先ほどとは違う激しい口づけに酔いしれながら、宗近の手により寝巻きは徐々に解かれていく。
露になった胸の頂に宗近の指が這う。くすぐったいような、もどかしいような。
もっと刺激がほしい。そう目で訴えると、宗近は胸の突起を軽く摘んだ。
ビリビリと快感が体をめぐり、下半身がじわり、と熱を帯びる。
散々むさぼった唇から舌を這わせ胸元まで舐め降り反対側の胸の突起を舌先でもてあそぶ。
思わず声が出そうになるのを堪える姿をみて気を良くしたのか、
宗近は軽く歯を立てた。
「んぁっ」
強い刺激にたまらず声が出た。それを見た宗近は、素直に鳴けば良いものを、と呟く。
「むね、ちか…した、下も…」
「…急に大胆になったな…どれ…」
下着越しに宗近の指が敏感なそこをなぞる。びくびくと体が震える。
「こんなに濡らして、そんなに俺が欲しいのか?ん?」
煽ってくるような言動とともに、宗近のいきり立ったそれが下着の上からあてがわれる。
「ほしい…。宗近の、ほしい、いれて…」
「素直な娘は嫌いじゃないぞ…」
下着は履いたまま、横にずらし、いれるぞ。と一言言うと宗近のものが入ってくる。
少しの圧迫感とそれを増す快感に身をゆだねながら、うわごとのように宗近の名前を呼ぶ。
「かわいいやつめ…誘っているのか?そんなに俺の名前を呼んで…っ」
前かがみになってなまえの頭まで包み込むような体制で宗近はゆるゆると腰を動かす。
宗近はいつだって初めは弱い刺激を与えてくる。そして私が自ら宗近に求める様が見たいのだ。
「むねちかっ…もっと!奥…ついてっ」
「ん、」
求めれば素直に反応してくれて私のいいところをついてくれる。たまらなく気持ち良いところ。
そこを重点的に攻められると中が締まるのが自分でも良く分かる。
全身で宗近を受け入れていると、喜びをかみ締めながら快楽におぼれていく。
「あ…あぁ、むねちか…いきそ…あっあぁっ」
ゴツ、と子宮口にぶつかる音がする、お腹の中のほうが響く。
「はぁっ…なまえっ…なまえっ…うっ…ぁ」
宗近の欲が私の中に吐き出された後、追うようにきゅうううと締め付けながら私も達した。
「…んぁ、おいおい、全部搾り取る気か…?」
いやらしく艶やかに笑う宗近の額には汗が滴り、
その瞳には獲物を狩った後のような光が潜んでいた。
「ほんとに。夜の宗近は獣みたいね。」
息を整えながら呟くと、
「美味しそうななまえを目の前にして食べないのは失礼だからな」
そう笑うのであった。