-隠された真実、明かされる過去U-


おれはこれからどうすればいい?



-隠された真実、明かされる過去U-



共に両親はおらず、物心がついた時には既に施設にいた。

施設には年齢がバラバラの子供が数人いて、俺の隣にはいつもレイがいた。

一番歳が近いという理由もあったが何よりレイの隣は居心地が良かった。

施設にいられるのは十五歳まで。十六歳になったら施設を出なくてはいけなかった。

必然的に俺より二歳年上のレイは俺を残していくことになる。

一年一年、その時が近づくにつれ不安で泣いていた夜、レイはずっと側にいてくれた。色々な約束をしてくれた。

しかし、その日は来なかった。

その日が来る前に、子供のいない夫婦が俺を引き取りたいと言ってきたのだ。

彼等は施設に寄付金として多額の金を渡し、俺は知らぬ間に引き取られる事が決まった。

そう告げられた日の夜、俺はいつものようにレイに抱き締めてもらって一緒に布団に入った。

「レイ、俺行きたくない…」

「俺だって行かせたくない」

いきなり目の前に突き付けられた別れの時に、何の力も持たない俺達はあまりにも無力だった。

「ナギ、約束覚えてるか?」

「うん」

「俺達は何があってもずっと一緒だ」

「うん」

「俺が此処を出たら、すぐに迎えに行く」

「うん、うんっ。待ってる…、ずっと待ってるから」

「必ず迎えに行く」

「…ぅん、…うん」

レイの服を握り締め、瞳からはボロボロと涙を溢し、震える声で何度も俺は頷いた。







引き取られた先は、俺には一生関わりのないと思っていた所謂お金持ちの家。

始めの内は夫婦に可愛がられていたが、暫く立つとその姿は一ヶ月に一度会えればいい方という感じになり、俺には家庭教師なるものがついた。

ある程度施設で勉強はしたがそれでは駄目らしく来る日も来る日も勉強をさせられた。

広い屋敷は常に俺に孤独を感じさせ、夜は冷たいベッドに一人丸まって眠る。

「会いたいよ、レイ…」

側にあった温もりを思いだし、涙を溢すこともしばし。

そして俺は、この孤独に耐えれるよういつしか感情を殺した。

何も感じなければ、寂しいと思わなくてすむ。

それから数日後、久しぶりに顔を合わせた夫婦に俺は留学しないか?と言われた。

「…留学、ですか?」

それはレイのいるこの国を離れるということ。

感情を殺した筈の胸が痛んだ。

絶対嫌だ。

でも、引き取られた俺がそんな我が儘を通せるワケもなく仮面の上で笑顔を作りいいよと頷き返した。



それが光ある世界との決別になるとは俺はまだ知らなかった。



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