-隠された真実、明かされる過去T-
ずっとおれのそばにいるとしんじていた。なのにどうして…。
-隠された真実、明かされる過去T-
「ぅ…ん…?」
随分良く寝た気がする。
ここ何処だっけ?俺んちじゃない…。
ぼんやりとした視界に自分以外の人が写り、俺は慌ててベッドから飛び降り構えた。
「ナギ?」
「え?…レイ?」
その姿に昨日の出来事が頭の中を目まぐるしく回る。
そうだ、昨日レイに会って…。
思い出した途端体から力が抜けた。
「おい、大丈夫か?」
「ん、平気」
肩に手を置かれ、顔を覗き込まれる。
「…っ!?」
な、何だこれ?昨日は暗くて気づかなかったけどレイってこんな格好良かったか!?
俺の動揺をどうとったのかレイは俺の肩から手を離すと顔洗って来い、と言って俺を洗面所に追いやった。
「ふぅ…」
鏡に写る自分の顔は酷かった。
結構泣いたから目は赤いし、少し腫れている。
なんかウサギみたい…。
それからリビングに入ればレイが料理をテーブルに並べていた。
「そこ座って待ってろ」
レイはそう言ってキッチンに戻っていった。
俺は言われた通りテーブルの前に腰を下ろし、ほかほかと湯気を立てる料理をジッと見つめた。
「美味しそう…」
レイの作った料理は思った通り美味しかった。
箸を置き、正面に座るレイをチラッと伺う。
なんか夢みたいだ。レイと一緒にいるのが。昔みたいに一緒に寝て一緒にご飯食べて。同じ時間を共有してる。
本当は夢だったりして…。
あの時レイは居なくて、本当は俺は死んだんじゃ。これは俺の見ている都合の良い夢かもしれない。
そんな事をぼんやりと考えていると、レイがガタリ、と音を立てて椅子から立ち上がった。
そして、俺の真横に立つ。
「どうかした?」
俺が首を傾げてレイを見上げればレイは不意に顔を歪めて俺を抱き締めた。
「そんなこと言うな。死んでるんじゃないか、なんて。助けた俺の身にもなってみろ…」
「っ!?…ごめん。俺」
口に出てたなんて気づかなかった。
レイを傷つけてしまった。
そんな自分に嫌悪してごめん、と俯いて再度謝れば、俺の体に回された腕が強さを増した。
「もう絶対に言うな」
「…うん」
ギュウッと痛いくらいに抱き締められる。
「俺には二度もお前の死を受け入れる覚悟はねぇ」
「え?何言って…?」
二度も、ってどういう意味?
その疑問が伝わったのかレイはポツリと溢した。
「お前が養子として引き取られて一年、俺はお前を迎えにいった先で…」
あの子は先月、交通事故に巻き込まれて亡くなりました―。
そう言われた。
小さな声で言われたその言葉に俺は愕然とし、息を飲んだ。
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