08


ウルフに手を引かれ、鷹臣がやって来たのは何の変哲もないマンションの一室、1Kの部屋であった。玄関を入ってすぐ右手にキッチンがあり、左手側にはトイレや洗面所と風呂。扉を一枚隔てた先にリビングと寝室を兼ねた部屋が一つあり、そこにはローテーブルにテレビボード、ベッドに棚と生活に必要な最低限の物が置かれていた。ウルフは物珍しげに室内に視線を巡らせる鷹臣をベッドに座らせると自らはテレビボードの下に収納していた救急箱を引き出す。

「ウルフ。俺がやる」

それに気付いた鷹臣は一度座ったベッドから立ち上がると、ウルフの側に寄ってそう声を掛けた。

「お前は水で傷口を洗ってこい」

半ば強引に救急箱を奪った鷹臣はウルフを部屋から追い出すと再びベッドに腰かけ、救急箱を傍らに、ウルフが戻って来るのを待つ。

「あー、もう血も止まってるし、消毒だけで十分…」

「それは俺が決める。見せろ」

キッチンの流しで傷口を洗ってきて戻って来たウルフに鷹臣は何時になく強い口調でウルフの言葉を遮ると、座れと言って己の隣を示す。大人しく隣に腰かけたウルフの左腕を掴み、鷹臣はたっぷりと消毒液を染みこませた脱脂綿を傷口に押し当てた。

「―っ」

じくりと肌を刺激した消毒液にさすがのウルフも傷口が痛んだのか僅かに眉を顰めた。

汚れが取れた事で露わになった綺麗とは言い難い傷口の形状に鷹臣は救急箱からガーゼを取り出すとサージカルテープでガーゼを貼り付ける。

「そこまでしなくとも」

「うるさい。黙れ」

何度も言うが、ウルフ的にはそこまで大げさに処置せずとも平気だと思える怪我の程度だが、鷹臣は譲らずに黙々と手を動かし続けた。

「………」

「………」

さて、そろそろ答え合わせをしよう。
その胸の中に宿る熱が冷めてしまわぬうちに。

救急箱を片付け始めた鷹臣の整った横顔を見つめ、先にウルフが口を開く。

「さっきは嬉しかったぜ。俺の為に怒ってくれて」

包帯まで巻かれた左腕に触れ、ウルフはゆるりと笑みを零す。

「あれは…カッとなって」

途端に先程までの勢いは何処へ行ったのか、言葉を探すように瞳を揺らした鷹臣は、ぽつりと返すにとどまる。

あの瞬間、鷹臣の思考は吹き飛んでいた。常ならば、自分がやられたのならば、冷静に反撃に転じていただろう場面。それが、何故か出来なくて。何も考えられなくなっていた。ただただ、ウルフを傷つけられた。その一点に思考は奪われ、その思考すらも次の瞬間には焼かれていた。
まるで、自分の身体の一部を傷つけられたかのように錯覚して。

――許さない。こいつを傷つける奴は。

どろりと、自分でも気付かぬうちに胸の中で育っていた感情が、あの瞬間、理性という名の重石を吹き飛ばしていた。蓋が壊れて溢れ出した感情が、心の奥底から込み上げて来たものが、鷹臣から冷静さを奪い、尚も鷹臣を突き動かす。

「初めてだ、こんなこと…」

未だ身の内に燻るその熱を呑み込めずに、溢れた感情を持て余した鷹臣は無意識にそれを抑え込もうと己のシャツの胸元を握りしめる。

「ウルフ。俺はどうすればいい…?」

そんな鷹臣の姿に隣から右手が伸ばされる。
シャツの胸元を握る鷹臣の右手にウルフの右手が重ねられ、その温度につられるように視線を向けた鷹臣とウルフの赤い双眸が交わる。

「お前はどうしたい?」

「俺は…」

ゆらりと揺らいだ青い眼差しの中にとろりと甘く煮詰められたような艶やかな熱が見え隠れする。
その様子にウルフは己の中で蠢く獣を宥めながら、表面上は努めて優しく鷹臣に言葉をかける。

「タイガー。お前の好きにしていいんだぜ」

「………」

「俺も好きにやってきた。お前を庇ったのだって俺が勝手にやったことだ」

「それは俺が油断していたせいだ」

その台詞、逆に捉えればウルフがいたからタイガーは気を抜いていたとも取れる。言葉の端から滲むものにウルフは口端を緩めて深い場所へと切り込む。

「それは関係ない。俺はお前の為なら…」

「嫌だ!それは俺が許さない」

最後まで言い切る前に強い口調で言葉を遮られる。
かっと燃える様に揺らめいた青の双眸が強い意志を滲ませ、ウルフを睨み付ける。その激しく揺らめく綺麗な青い双眸にウルフはうっそりとした笑みを口元にはくと、タイガーが自らの思いを正しく理解し、言葉として吐き出せるように、ことさら甘く優しい声音で聞き返した。

「どうしてお前が許す必要がある?」

「俺が気に入らないからだ。…ふざけるなよ、ウルフ」

鷹臣はウルフに庇われたあの瞬間を思い起こし、ぐっと胸が詰まるような苦しさを覚えて眉をしかめた。

「二度と俺を庇うな」

ただそれと同時に今はウルフから向けられた視線に心がざわめく。触れられた右手が熱を持ったように甘く疼き、ごちゃごちゃとした感情が胸の中で渦を巻く。自分が自分でなくなるような奇妙な熱に思考が浮わつく。

「俺はお前の弱味になったつもりはない。俺を守るな。見くびるな。それぐらい自分で出来る」

それはお前も知ってるはずだ。ウルフと肩を並べて、立っていられるのは俺だけじゃないのか。
ウルフと並び立つ様にタイガーと俺に名前を付けてくれたのはお前だろうが。

己の身の内で燻る熱に鷹臣は己が抱える衝動を言葉にして吐き出す。

「俺はお前に守られたいんじゃない。俺はお前の隣に立ちたいんだ」

喧嘩で生じる熱とは別種の熱にその身を冒されたまま、鷹臣は戯言を紡ぐウルフをベッドに突き倒す。
真っ白なシーツの上にウルフの銀糸が広がった。

「どうしたらお前は俺の言うことを聞く?」

ウルフの上に覆いかぶさるようにしてウルフの退路を断った鷹臣は強い感情に突き動かされるがまま、ウルフを見下ろして言う。

「俺は…っ!」

不意に鷹臣に突き倒されても動揺一つ見せなかったウルフはそっと瞳を細めると、荒れた鷹臣の感情全てを受け止めるように口端を緩め、不敵に笑う。

「頭で考えるから分からねぇんだ。頭空っぽにして、何も考えず、心にしたがっちまえよタイガー」

そっと下から伸ばされた手がどこか苦しげに眉を寄せた鷹臣の頬を優しく撫でる。

「ほら、お前の好きにしてみろ」

そして鷹臣はその言葉に誘われる様に自らウルフに顔を寄せると、形の良い薄いその唇を塞いだ。

「ンっ…」

触れるだけの口付け。いつもウルフが戯れに行う行為はそこまでだが、鷹臣は己の本能に従って先へと進む。実戦経験がないというだけで、鷹臣にだって知識がないわけではない。

そろりと覗かせた舌先でウルフの唇をなぞり、ふっと緩められた口内に誘われるように舌先を潜り込ませる。吐息と共に交わる舌先の熱い触れ合いに未知のものを感じて鷹臣は肩を揺らした。けれども行き場のない己の感情をぶつけるように鷹臣は触れ合いを深めた。

「ん…っ、は…ぁ…」

やがて、じわりじわりと身体の芯から痺れるような、あまやかな熱が身体中へと広がり、次第に鷹臣の思考も柔らかく解していく。朧気だったものが明確な形となって鷹臣の心を揺さぶり、そこから溢れだすように熱いものが身体全体へと広がっていく。

ウルフを傷つけられて、腹が立った。
でも、腹が立った理由はそれだけではない。
隣にいながら、みすみすそれを許してしまった自分自身にも苛立ったからだ。もちろんそこには安易に自分を庇って怪我をしたウルフへの憤りも含まれてはいた。
でも、一番は…。

何で俺を庇った?俺の実力を知らぬお前ではないだろう。…なぜ?何故?
俺にタイガーの名を付けたお前が。
俺はお前に守られるほど弱いのか?
…違う。いやだ。嫌だ。俺は弱くない。他の奴等と一緒にするな。
俺はお前の弱点になんかならない。
俺は唯一、お前と肩を並べられる存在でいたいんだ。
俺はお前の隣にいたいんだ。

俺だけが、お前のだって…。

″俺はお前の為なら″

「ーーーっ」

そうか…。そうか…。
ウルフはさっき″俺の為なら″って。
さっきの言葉はそういう意味か?
俺が弱いから庇ったわけじゃないのか?
俺だから、庇ってくれたのか?
なぁ、ウルフ。
俺は…。

気づいた真実に、心の深い場所で仄暗く灯る喜びがある。

熱を帯びて妖しく艶めく赤と熱を宿して滲んだ青の双眸が間近で交わった。

「っ、…ぁ」

途端に胸の中に沸く喜び。
庇われた事、負傷した事に心は乱されたが、その事実に震える感情がある。
この男は俺のせいで。俺の為に。

「は…っ…ぁ……う、ふる…」

果たして、もどかしさを覚えたのはどちらが先だったろうか。鷹臣の頬に触れていた右手が鷹臣の頭を抱くように絡みつき、鷹臣も二人の間に残っていた僅かな隙間すらも埋めるようにウルフへと顔を寄せていた。

「は…、タイガー…」

深い口付けの間に主導権は奪われ、鷹臣は荒い呼吸と息継ぎの合間に鼻にかかったような甘い声を漏らすだけになる。

「ぁ、…ン…ふ…っ」

深く長い交わりに舌先が痺れ、濡れた音が二人の鼓膜を震わせる。ウルフを下敷きにしないように支えていた鷹臣の腕が震え出し、鷹臣はそろそろ限界を迎えそうだった。
その時、間近で絡まった赤い双眸がとろりと滴るような甘さで鷹臣に囁いた。

「そうだ。そのまま俺の所まで堕ちて来い。タイガー…」

ぐちゃぐちゃに混ざり合って、もはやどちらのものかも分からなくなった透明な糸が、口端から伝い落ちる。ふつりと途切れた糸の先で、見上げて来る熱い眼差しに引き寄せられる様に鷹臣は両腕から力を抜いた。どさりと…落ちた先にある温もりに緩く抱きしめられ、鷹臣はその肩口で熱い吐息を零す。

「は…ぁ、…、ウルフ。俺は…、お前が気に入らない」

そっと包帯を巻いたウルフの左腕に右手で触れ、鷹臣は言う。

「俺以外の痕をつけるなんて」

「それなら…お前がつけろ。俺はお前のだって」

「ん…」

面白がるような声音にこくりと幼い仕草で頷けば、頭を抱いていた右手に優しく頭を撫でられる。

「ウルフ、……俺はお前が好きだ。だから、誰にも触られたくない。…とられたくない。お前の隣は俺のものだ」

ようやく吐き出せた自分の気持ちに、今までぼんやりと頭で理解はしていても実感を伴っていなかった感情やウルフの行動の意味が見えて来る。

何で俺に構うのか。どうして俺に付き合ってくれていたのか。会うたびに何故触れて来るのか。しまいには俺を庇って怪我までして。これまで理解はしても、実感の湧かなかった熱を帯びた眼差しが俺に求めていたものは。その意味がすとんと胸の中に落ちて来る。

同時に自分は始めからウルフの手の中にいたという事実にも気付いたが、それを凌駕する喜びに心は震えていた。何も持たない俺の事を、俺自身をウルフは初めから求めていてくれたのかと。

ウルフはなにも知らない。北條 鷹臣は自分を取り巻く全てを煩わしいものとして、切り捨てていた。自分には要らないもの。そんな中で唯一残されたものが己自身で、それもよくよく見れば中身がなかった。全てを厭いながら、中身を欲す。矛盾を孕んだ鷹臣を丸ごと求めてくれるというのか、この男は。

鷹臣は歓喜に震える心を宥めて、ウルフに問う。
俺の答えは見つかった。ウルフ、お前は?

「…お前の欲しいものは手に入ったか?」

そう確認するように口に出せば、くるりと態勢を入れ替えられ、今度は鷹臣がベッドに縫い付けられる。

鷹臣を見下ろす双眸は、これまで以上の熱い熱を湛え、弧を描いた唇は先程の余韻を残して艶やかに濡れていた。

全てはウルフの思惑通りに。そうだと気付いてなお、逃げ出さず、全てを受け入れ、その事実さえも嬉しいと青の瞳を細めて笑った鷹臣にウルフは己の内に秘めていた凶暴な獣の本性を曝け出す。口端を吊り上げ、獰猛な笑みを零して、鷹臣の吐息を奪う直前、喉を震わせ低い声音で囁いた。

「…これから貰う」



傲慢な物言いとは裏腹に、初めて触れてくるその手は優しく、鷹臣の身も心も溶かしていく。

口付けを交わしながらシャツの中へと滑り込んで来た掌が鷹臣の引き締まった下腹部を緩やかに撫でる。そのくすぐったさに鷹臣が肩を揺らせば、その意識を引き戻す様に甘く唇を噛まれる。

「ンっ…、う…るふ」

胸元へと上って来た手が胸の小さな果実を弄るように指先でそれを押し潰したり摘まんだりと、捏ねくり回す。

「ん…っ」

痛くはないが、妙な感じに自然と鷹臣の眉が顰められる。それを感じ取ってか、ウルフの左手が鷹臣のベルトに掛けられる。器用にも片手で鷹臣のベルトを外したウルフの左手が鷹臣のスラックスの中へと潜り込んだ。

「ぁ、…まっ…!」

「待たねぇ」

ふっと一時的に解かれた口付けの合間に言葉を交わす。

「ちがう、お前…っ、左手…」

鷹臣の制止の言葉が何に掛かっているのか気付いてウルフはくつりと笑う。

「あぁ…問題ない。お前が協力してくれれば」

そう言ってウルフは更に下着の中へと忍ばせた左手で鷹臣のものへと指を絡ませた。

「…っ」

初めて感じる他人の手。その感触に、温度に、鷹臣は小さく息を呑む。

「あ、…っ」

そっと撫でる様に指を動かされ、先端を擦られる。ゆるゆると緩やかに緩急をつけて扱われ、身体の温度が上がる。

「っ…ぁ…、あ、ン……」

顔を少し離して鷹臣の様子を確認していたウルフは羞恥からか、その行為故か、頬を赤く上気させ悩ましげに眉を寄せた初々しいその反応に口角を吊り上げた。

「俺の手は気持ち良いか、タイガー?」

まだ何色にも染まっていないこの男を自分の色に染め上げていくという行為に、ウルフはその過程を想像して身体を熱くする。重ねて、ウルフを喜ばせる様に鷹臣はウルフの問い掛けに素直に頷き返した。

「は…ぅ、…ぁ…ッ」

上に着ていたシャツを取り払われ、素肌の上をウルフの唇が這う。
先程まで指先で弄られていた胸の果実はぷくりと赤く熟れ、そこをウルフの舌先が悪戯に突く。
下着の中に潜り込んでいた左手はくぐもった水音を立て、鷹臣を責め立てる。

「ん、う、るふ…。お前も…」

自由な右手で鷹臣はウルフの髪を掴み、左手でウルフのシャツを握る。
それで鷹臣の気持ちは伝わったのか、ウルフは一度鷹臣を責める手を止めると、鷹臣に跨ったままシャツを脱ぎ捨て、ベルトも外してしまう。そして、再び鷹臣を組敷いたウルフは熱い吐息を隠さぬまま鷹臣に問うた。

「お前がしてくれるのか?」

「ん、する。俺もしたい」

「そうだな…。最初は一緒にいくか」

ウルフに右手をとられ、鷹臣はウルフに導かれるがまま、初めて他人の熱に触れる。
その熱さに驚き、脈打つ拍動に生々しさを感じて、鷹臣はそれを確かめるように指先で撫でた。

「…っ、タイガー」

籠った熱を吐き出すように囁かれた名に、鷹臣は我に返ると、ウルフの真似をする様に熱を帯びて頭をもたげ始めていたウルフのものへと指先を絡めた。
ウルフと比べて拙い手技だが、手の中のものは喜ぶように震え、とろりと蜜を零し始める。暫くすればにちゃにちゃと湿った音が耳に届き始め、鷹臣の指先を汚していった。また、すぐ近くで息を詰めたウルフに気を良くして、鷹臣の気分も高揚する。

「良いか…?ウルフ」

「あぁ…良い。でも、こうすればもっと良いぜ」

熱の籠った吐息を吐きながら、ウルフは鷹臣のものも一緒に掌で包むと先端を突き合わせ、纏めて上下に抜く。

「っ、…ぁ、うるふ…っ!」

ぞくりと途端に増した甘い刺激に、一瞬、鷹臣の手が止まる。
二人の間で重ねられたものが擦れ合い、ウルフの手によって高められる。どくどくと脈打つ鼓動に下腹部は甘く痺れ、吐息が乱れる。

「ン…っ、…ぁ…はっ…ッ」

どちらのものか分からぬ、混じり合った蜜が二人の手を汚し、やがて限界を迎えた熱が弾けるように震えた。

「っ、…」

「…あ…っ」

びゅるりと勢いよく先端から飛び散った蜜が鷹臣の腹を汚す。びくびくと余韻を残して震えた熱は若さゆえか、まだ僅かに硬さを残していた。

「は…ぁ…、…」

弛緩した身体をベッドに沈ませた鷹臣は呼吸を整えながらも身体の中に広がる心地良さに瞳を細め、うっとりとウルフを見上げる。ぱちりとぶつかった視線の先でウルフは更に艶めいた色気を纏い、ここからが本番だというように気配を濃くして、獰猛な笑みを溢した。

「タイガー」

名前を呼ばれて、促される。鷹臣が僅かに腰を持ち上げれば、中途半端になっていた下着とスラックスを脱がされる。腹の上に飛び散っていた蜜を掬われ、ウルフの指先が臀部の奥に息づく秘所へと伸ばされる。
同時に顔じゅうに口付けを降らされ、首元には赤い華が付けられる。

「…っ」

「優しくしてやる」

そのまま胸へと滑らされた唇が赤い果実を口に含みつつ、言葉を落とす。
ぐっと秘所の中へと侵入しようとしてくる指先に鷹臣は眉をよせたが、胸元からじわじわと感じるむず痒いような刺激に意識が分散させられる。

「ん、…っ、ウルフ」

無意識に上擦った身体に、秘所の中へと潜り込んだ手とは別の手が、鷹臣の中心へとかけられる。

「こっちを感じてろ」

「ん…」

ゆるゆると仕掛けられる弱い刺激に、堪らず鷹臣の腰が揺れる。

「あ…っ、ウルフ…。足りない…、早く…」

「もう少し待て」

意外にも本能に忠実な鷹臣の姿にウルフは内心で驚きつつも、それを好意的に受け入れ、鷹臣が傷つかないよう念入りに秘所を解す。
何事も最初が肝心である。特に鷹臣の反応を見るに、全てが初めてのことのようで、ウルフは柄にもなく気を遣っていた。
互いが出したものだけでは足りなくなったら、予め用意していたジェルを掌で温めて、再び秘所へともぐり込ませる。
その間、鷹臣もウルフに合わせるように意識して呼吸を調えていた。



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