02
あっ、と頬に朱を散らして声を上げた千尋の首筋に顔を寄せる。
まだ湿っぽい髪から香る匂いは俺と同じものだ。
そして寄せた唇で皮膚を吸えば、白い滑らかな肌に紅い華が咲く。ぴくりと腕の下で震えた身体に、視線を首元から上げて千尋を見れば、恥ずかしそうにしながらもどこか期待した眼差しと視線が絡んだ。
その事実に表情が緩む。
「千尋」
「っ…な、に?」
「どうして欲しい?」
この体勢でどうしても何もないのだが、どうせなら千尋の口から聞きたい。
それが千尋には意地悪だと言われる原因でもあるのだが、聞きたいものは聞きたいだろう。
今もジロリと、意地悪だと目で訴えてくる千尋に俺は素知らぬ振りで返す。
「言ってくれないと分からないぞ」
唇をなぞった指先を胸元へ滑らせ、千尋が寝間着に使っているTシャツの上から胸を撫でる。親指の腹で硬くなり始めた突起をぐりぐりと刺激してやりながら、視線は千尋から外さない。
「っ…ゃ…夏野っ」
「何が嫌なんだ?」
そうして羞恥に潤み始めた瞼に優しく口付けを落とし、もぞもぞと俺の下で身を捩る千尋の足の間に膝を入れて身動きを封じた。
瞼に触れた唇でこめかみにも触れ、形の良い耳を甘噛みして囁く。
「嫌なら止めるか?」
「〜〜っ、ゃ!…嫌じゃ、ない…」
「じゃぁどうして欲しい?」
ん、と先を促すように優しく聞けば、千尋は観念したようで顔を真っ赤にし小さな声でぼそぼそと俺を求めた。
「良い子だ」
それを合図に、シャツの上から胸を弄っていた手をするりとシャツの中へと侵入させる。硬くツンと尖った突起を指先で押し潰し、引っ張り、こねくりまわす。
「んっ…ン…」
もう片方の手を千尋の下肢に這わせ、ハーフパンツの上から緩く形を変え始めたソレに弱い刺激を与えた。
「ひゃ!ぁ…ッ…ン…」
「可愛い…千尋」
もどかしい刺激から逃れたいのか、それとももっと強い刺激が欲しいのか微かに千尋の腰が揺れる。
とろりと溶け出した瞳に口付け、ハーフパンツに添えていた手で下着ごと千尋のパンツを下げる。
ぴょんと飛び出した熱は既に十分な硬さを持ち、外気に晒されて震えた。
「ゃ…ぁっ…なつ…の…」
はっと溶け出していた理性を取り戻して、千尋は晒された下肢を隠そうと両手を伸ばす。だが、その手より早く俺は右手で千尋の熱を包んだ。
「嫌じゃないだろう?」
親指の腹で先端を刺激してやればとろとろと蜜が零れる。
「あっ、ンぅ…ンァ…っ」
そうして添えた右手を上下に動かしてやれば千尋はびくびくと身体を震わせ、甘い声を上げた。
ぐちゅぐちゅと立つ水音と千尋の口から零れる甘い声に俺の身体も熱を帯びていく。
「気持ち良いか?」
唇を寄せて、ひっそりと耳元で問い掛ければ千尋の頭が縦に振られた。
「ぃ…い…、ンッ…ゃぁぁっ…も…っ」
千尋の両手がすがり付くように俺の肩に回され、ふるふると掌で震える千尋の熱が限界を訴えている。俺は右手で千尋の熱を解放へと促しながら、零れる吐息も奪うように深く口付けた。
「ン…ふ、ぁっ…あぁっぁ―…」
そして、口端から零れた甲高い声と同時に掌に熱い飛沫を感じて千尋の身体がビクリと跳ねた。その後も小さくビクビクと震えた身体はやがて弛緩しソファに沈む。重ねた唇を離せば透明な糸が伝い、千尋は呼吸も荒く、熱に蕩けきった瞳で俺を見上げふわりと笑った。
「なつの…大好き…」
「俺もだ、千尋」
掌で受け止めた熱を千尋の秘所へと塗り付ける。
ゆっくりと中を傷付けぬように指先を沈め、中を押し広げるようにぐるりと動かす。
「んっ…んん…」
流石に本来の使用用途とは違うソコに違和感を覚えるのか、眉を寄せた千尋に宥めるように唇を落とす。意識を反らすように、硬さを失っていた熱に再び指先を絡め、刺激を与えてやる。
「…ぁっ…ぁ…っ!やっ、ダメっ…」
「ココか?」
その内に、秘所に潜り込ませた中指がある一点を掠めた時、一瞬にして千尋の表情が変わった。
無意識に身体をずり上げ襲いくるその感覚から逃げようとする。
「ぁっ…ぁ…いや…夏野…」
感じすぎて嫌なのか千尋は瞳を潤ませ、嫌々と首を横に振る。
「大丈夫だ、千尋」
そんな千尋の額に唇を落とし、十分に解した秘孔から指を抜いた。腰の下にクッションを差し入れ、はふっと息を吐いた千尋と視線を絡める。
「千尋」
「んっ…夏野」
引き寄せるように、俺の肩に回していた腕に力を入れて瞼を閉じた千尋に、その望みを叶えるように俺は唇を重ねた。
片手で穿いていたスウェットと下着を取り払い、昂った熱を秘孔にあてがう。
「…ふっ…ぁ…っ…」
その熱に気付いたのか千尋の体がぴくりと小さく跳ねた。
「力、抜いてろ」
「あっ…っ…ぁ、はっ…」
グッと先端を押し進めれば、解したとはいえ狭い内部がきゅうきゅうと締め付けてくる。
「はっ…」
「ぁ…はっ…なつ、の…っ」
とろりと蜜を溢す千尋の熱に指を絡め、上下に動かせば瞬間千尋の体から力が抜ける。その時を狙って全てを収めた。
「ぁあっ…!…はっ、はっ…」
「はっ…っ、大丈夫か?」
「…んっ」
はっ、は、と呼吸を整えている千尋を待ってから動く。僅かに腰を引いただけで、千尋の中は離すまいと絡み付き、えもいわれぬ快感を俺に与えてくる。
「苦しかったら爪立てていいからな」
ぎりぎりまで引いた腰を最奥を狙って打ち付け、時おり千尋が一番感じる所を狙って挿入する。ローション代わりに使った残滓がぐちゅぐちゅと水音を立て、挿入を繰り返す度に肌を打つ乾いた音が立つ。
「ぁ…ぁあ…っ…ン…」
「ちひろっ…」
ちくりと背に走った微かな痛みに口端を緩め、無防備な千尋の胸に赤い所有の華を咲かせる。
次第に肌を打つ感覚が短くなり、額に汗が浮かぶ。
「そろそろ…か」
限界まで昂った熱が出口を求めて身体の中を巡る。同じように限界を訴えたらたらと蜜を溢している千尋の熱に指先をかけ、引いた腰を叩き付けるのと同時にその先端に軽く爪を立てた。
「ぃ、やぁ…ぁあっ…ぁ…っ」
びゅるっと千尋の熱が弾け、互いの腹を汚す。
「――っ、はっ…は…」
きゅぅっと一際締まった内部の締め付けに、俺も遅れて熱を解き放った。
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