03
さっそく合鍵に付けて、ふにゃりと緩みっぱなしの笑顔で掌に乗せた合鍵を見つめた。
「千尋、俺のも付けてくれるか?」
「うんv」
オレの名前が入ったタグと鍵を受け取り同じようにつければ、夏野の右手がよしよしというようにオレの頭を撫でてきた。
「できたっv」
オレの名前が刻まれたタグを夏野が持っててくれるんだよね///
そう考えるとますます気分はふわふわと上昇してオレは思わずタグにチュッ、と口付けた。
それをはい、と夏野に返す。
「さんきゅ」
鍵ごと手を掴まれ、オレがキスをした場所と同じ場所にキスを落とされた。
うわぁ〜///
「多分、帰ってくるのは俺の方が遅くなるだろうから、鍵はちゃんとかけるんだぞ」
こくんっと頷き、オレはもぞもぞと身体の向きを変えて夏野に抱きついた。
ちょっぴり恥ずかしいけど、それを上回る大きさで心の中から熱い感情が溢れて溢れてこぼれ落ちた。
「夏野大好きっv」
ぎゅぅっ、と抱きついて想いを言葉に乗せる。
夏野はクスリと笑みを浮かべてオレを抱き締め返し、キスの雨を降らせてきた。
「続き、するか?」
瞼を閉じて、うっとりとキスを受け入れていたオレは考える前に自然に頷いていた。
「んっ…んんっ…」
舌を絡めとられ甘噛みされる。
「…ぁ…んっ…はぁ」
オレも拙いながら夏野の舌に自ら舌を絡めて一生懸命応える。
すると夏野がふっと笑ったような感じがして、オレは少しだけ瞼を持ち上げた。
そこには逆にオレが赤面してしまうぐらい格好良くて優しい瞳に男の色気全開にした夏野がいて、オレは慌てて目を閉じた。
ひゃ〜、だめだめっ///
瞼を堅く閉ざしてオレは別の箇所に集まり出した熱に慌てた。
もぞっと密着していた身体を夏野に気付かれないように少し離す。
たけど…、
「んゃっ!?…ぁっ…ぅ…///」
タイミングよく唇が離され、逃げようとした身体を引き寄せられた。
夏野の腹部に熱を持った箇所があたり、オレは身体を震わせる。
「キスだけで感じたか?」
「やっ…ちが…///」
ズボンの上からゆっくりと撫でられ、オレはどうすることも出来なくて夏野の服をぎゅっと握る。
その間にも夏野の長くて綺麗な指先がズボンのファスナーを下ろす。
「やだっ、夏野。恥ずかしぃ///」
「大丈夫」
ちゅっ、と宥めるように頬にキスを落とされる。
「っ…んっ…んんっ…」
直に握りこまれ、刺激を与えられる。
とろりと先端から蜜が溢れ夏野の手を汚していく。
「…ぁっ…ぁあっ…ゃ…だめ…」
ぐっと服を握り締めオレは身体を小刻みに震わせた。
「…もっ…や…はな…し…」
ぐちゅぐちゅと夏野の手元からは湿った音が聞こえオレは耳を塞ぎたくなった。
もう無理。おかしくなりそう///
「気持ち良いか?」
「んっ…い…から…ぁ…離してっ」
そんなこと聞かないでよ///
色々限界だったオレは首を横に振って離して、と訴える。
しかし、
「出していいぜ」
なんて夏野は人の気も知らずに言ってくる。
無理だってば。そんな夏野の手に出すなんて…
「大丈夫」
「…ゃ…ぁっ…ぁあ…あ―」
だけど夏野に先端を親指の腹でぐりぐりと弄られてオレは呆気なく熱を吐き出した。
「―っ、はぁ…はぁ…」
くたりと夏野の胸に寄り掛かりオレはしばらくぼぅっとしていた。
「千尋、平気か?」
そう声をかけられてオレははっと我に返り、慌てて視線を夏野の掌に落とした。
「わ〜っ、夏野!ごめっ///ティッシュ、ティッシュ!!」
顔を真っ赤にしたままオレは拭くものを探しに視線をさ迷わせた。
「落ち着け千尋」
べろり、と汚れた掌を舌で舐めて綺麗にしている夏野にオレは顔色を赤から青に染めた。
「ななな、何してんの夏野!?汚いからダメだって!!」
止める間もなく綺麗になった手でオレは服を整えられた。
「ぅ〜〜〜///」
そして背後から抱き締められる最初の体勢に戻された。
オレはオレの髪を涼しい顔してすいている夏野をチラッと目だけで振り返って、元に戻す。
う〜、納得いかないっ。
夏野は恥ずかしくないの?
いや、恥ずかしい思いをしたのはオレだけだけど///
それに…何で夏野はオレに手を出さないの?
オレ、夏野に告白されてからちゃんと勉強したんだよ?
「…ぁ、もしかして夏野って意外と奥手?」
「千尋。思ってる事が口に出てる」
「え?」
口元を手で覆いオレはそろりと夏野を見上げた。
夏野はふっと瞳に先程見せた熱情を灯して笑う。
「襲われたかったのか?」
その台詞にオレは自分の言った事を自覚して、カチンと固まった。
「―――///」
「そうしても良かったんだけどな、夕飯、作ってくれるんだろ?」
くしゃと髪を軽く掻き混ぜられ、オレはコクコクと何度も頷いた。
「ふっ、楽しみにしてる」
「………うんv」
いつもの優しい笑顔を浮かべ、見下ろしてきた夏野にオレは少しホッとしつつがっかりもしてにこりと笑い返した。
「美味しいの作るから期待しててねv」
オレはパッと夏野の腕の中から飛び出して、鼻唄を歌いながらキッチンへ 向かった。
そして、その後ろ姿を夏野は見守るような温かな眼差しで見つめていた。
END
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