02
side 夏野
少し厳しめになったがこれは譲れない。
「休みの日とかずっと一緒にいてやるから、な?」
チュッ、と唇に触れるだけのキスをして離れる。
それに千尋は分かりやすいほど顔を赤く染めて頷いた。
「ぅん///……ねぇ、もう一回///」
可愛いお願いに優しく微笑んでもう一度千尋の唇に触れた。
「もう遅いし考えるのは後にして風呂入ってこい」
「わかった///」
自分の言ったことに恥ずかしくなったのか千尋はそそくさとリビングを出ていった。
俺は頭に乗せていたタオルで髪を拭き、上に服を着るとソファーに身を沈めた。
「ふぅ…」
今日は疲れたな。
明日はこの家の合鍵を作りに行って、他に必要な日常品を買いに行かなきゃな。
千尋もついてくるだろうしそのままデートするか。
俺は、さっきの頬を染めて恥ずかしがる可愛いらしい千尋を思い浮かべてくすり、と笑った。
「今日からここが俺と千尋の家か…」
六年前はこんなことになるとは思ってもいなかったな。
俺はホテルのレストランで、初めて千尋と会った時の事を思い出して苦笑した。
「ふぅっ、さっぱりしたv」
しばらくしてお風呂からあがった千尋が出てきた。
トコトコとキッチンに入っていき冷蔵庫から牛乳を取り出している。
俺としては今のサイズがちょうどいいんだけどな。
テレビへ視線を戻して何か面白いもんやってねぇかな、とチャンネルを回していく。
ソファーに身を沈めたまま操作していれば、その隣へ温かな塊が抱きついてきた。
「夏野v」
言わずもがな千尋だ。
「ん、どうした?」
「明日買い物行くんだよね?」
「そうだな、千尋も行くだろ?」
「もちろんvそれでね、それで…」
先の言葉を言うか言うまいか恥ずかしそうに視線をうろうろさせている千尋の頬に手をあて顔を上げさせる。
「それで?」
「…っ、その後デートしたい///」
「いいぜ。っても最初からそのつもりだったけどな」
千尋の可愛らしさにくすり、と笑って言えば千尋は頬を染めたまま少しむくれたような表情をする。
「意地悪…」
「はいはい」
千尋の前髪を掻き上げ、機嫌直せよ、と額にキスを落としてやる。
「夏野///」
顔を朱に染めながらも千尋は少し不満そうに俺を見てくる。
赤くなっちゃって可愛いなぁ。
俺は頬に添えていた手を離し、ぎゅっと抱き締めてやる。
実家にいた時と違って人目を気にしなくていいからこの生活も捨てたもんじゃないな、なんて思いながら俺は、も一つおまけに千尋の唇にもキスを落とした。
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