01


同年代と思われる男女が姦しくお喋りをしながら、ぞろぞろと目の前を行き交う。その流れに身を任せながら、数日程前から拓磨も大学生活を再開させていた。

「草壁ー!」

「こっち、こっち」

次の講義を受ける為に移動した先の講義室。その扉をくぐり、教室へと入った拓磨に窓際の席に座っていた二人組の男子学生から声がかかる。拓磨はその声に僅かに遅れて反応を示す。また、それよりも先に二人に気付いた周防が拓磨に囁きかける。

「拓磨さん。呼ばれてますよ」

「あぁ…」

この周防は猛から付けられた拓磨の護衛でもある。
そして、拓磨を呼ぶあの二人組は拓磨が大学を一時休学する前に同じ講義を幾つか受けており、主に一年時の必修科目、選択科目はほぼ同じであったか、その時に何度か話をした位の印象でしか拓磨にはなかったのだが。何故か復学して最初の講義で一緒になった時、二人組の方から話しかけられたのだ。

「草壁。しばらく姿見なかったけどどうしたんだ?」

「大丈夫なのか?」

そう、声をかけられたことに拓磨は驚いて、何と答えたものかと一瞬言葉に詰まった。そこへすかさずフォローに入ったのが拓磨の護衛として配置され、バイクの免許までわざわざ取りに行かされていた周防だ。

「あー…、それは。俺が地方から上京するのに親と揉めて。引っ越しとか大学の編入手続きとか色々、拓磨さんに手伝ってもらってたから」

ひょっこりと拓磨の横から顔を出した周防はすらすらと嘘を吐く。二人組の視線が周防を捉え、はてと首を傾げる。

「誰?」

「草壁の友達か?」

「俺は周防 直樹。拓磨さんの遠い親戚で、念願叶って今日からこの大学に通うことになったんだ。二人とも宜しくな」

「あ、そうなのか?よろしくー。俺、坂井 望(のぞむ)」

「二年からの編入って大変そうだな。俺は川口 淳史(あつし)。そうだ、二人がいなかった間の講義内容見るか?」

「マジで?助かる!」

そうやって周防は勝手な設定を作り上げて、拓磨と共にいても不自然ではない光景を数日後には完成させていた。その点について拓磨が口を挟むこともなく、周防の好きにさせていた。それが周防の仕事ならと割り切っていた。

それよりも今、拓磨が少し不味いなと意識を割いている問題が一つだけあった。ここ最近、「草壁」の名で呼ばれる機会がまったくなかったので、意識していないと反応が遅れるのだ。
拓磨の知り合いと呼ぶ表現で合っているのかは不明だが、彼らはみな拓磨のことを「後藤」又は「拓磨」と下の名前で呼んでくる。大学にいる間だけは「草壁」と呼ばれていたが。
その辺のリハビリも必要そうであった。

二限目の講義が終わると、それぞれ昼食を食べに行く者や、帰る者。移動の為に学生達が席を立つ。
右腕を固定していたギプスも取れて、普通に日常生活を送る分には不便の無くなった手でリュックの中に使用していた教材を片付けていた拓磨に川口が声をかけてきた。

「草壁も周防もこの下で昼か?」

下というのは、この建物一階に入っている学生食堂を指しての事だ。また別の建物へ行けば、カフェが入っていたり、ビュッフェ形式などで食べられる場所もある。
川口に訊かれて、周防は拓磨の返事を聞くように拓磨に視線を投げる。
教材をしまったリュックの口を閉じると拓磨はそのリュックを左肩にかけて、川口を見返した。

「午後もここだからな。下で食う」

わざわざ別の場所に食べに行くのも面倒だと言う返しに、川口もそれもそうだなと納得して、隣の坂井を見る。川口の視線を受けて、今度は坂井が口を開く。

「んじゃ、二人とも一緒に食べないか?嫌じゃなければだけど」

「俺は構わないけど…」

自然と三人の視線が拓磨に流れる。そこで何故、そんなにも見られるのか意味が分からず拓磨は不思議に思いつつも、表情を変えることなく口を開く。

「好きにすればいいだろ」

拓磨の返事を了承と受け取った二人はさっそく行こう。ご飯、ご飯と明るく言う。そんな二人に首を傾げつつ、拓磨も一緒に歩き出した。
周防は拓磨にくっついて行きつつも、ここ数日で判明した、大学構内での拓磨の様子と拓磨を取り巻く大学内での人間関係。周囲の様子を脳裏に思い浮かべて苦笑をこぼした。

拓磨自身が思っているように、一見すると大学内での拓磨はどこにでもいるような普通の男子大学生だ。むしろ、真面目に授業に参加し、講義を受けるその姿は正しく勉学に励む若者そのままの姿と言っても良いだろう。何かトラブルを起こすでもなく、物静かで、口数もそれほど多くはない。それは逆にいえば、地味なほど落ち着きを払っているともいうが。それが反って人を寄せ付けない空気を醸し出してもいた。しかし、見る人に寄ってはそれが子供っぽくない、大人っぽい魅力に見えるのだろう。学内でちらちらと拓磨の事を見ている女子学生が数名程いた。

とはいえ、当の本人にその意識はない。
基本的に淡白なのか、他人に意識を割く気が全く無いのか、最低限の警戒は無意識下で行われている様だが、その事に拓磨が気づいている様子はない。周防としてもわざわざ口にする必要性を感じなかったので、その点に関しては今のところ見て見ぬふりだ。
もちろん、警戒対象として頭の片隅には置いてあるが。

一階の学生食堂に入った四人はそれぞれ券売機で食べたい料理の食券を買い、他の学生達と同じ流れに乗ってカウンター列に並ぶ。受付カウンターで食券を提示して、受け取り口で料理の盛られた皿と水の入ったコップ。一式が乗ったトレイを受け取り、四人は空いているテーブル席を探して座った。
荷物は足元に置いたり、椅子の背に引っかけたりして、邪魔にならぬ場所に置く。

「腹へったー」

「食べようぜ」

「いただきます」

「……」

腹の空き具合からか、最初の方はみんな無言で食べ進める。そして、ある程度お腹が落ち着いてきたらぽつり、ぽつりと会話が始まる。

「そういやさ、ここの飯はフツーに美味いけど。誰か工学部寄りにある八号館の食堂で飯食ったことある奴いるか?」

ふいに坂井の口から上がった話題に川口は首を傾げ、周防は首を横に振る。

「俺はないな。向こうに行った事がないし」

「…あそこの食堂は味を気にしない人間が行くところだ」

唯一そう返したのは拓磨であった。
三人の視線が唐揚げを摘まむ拓磨に集中する。

「草壁は行ったことあるのか」

「なに?そんなに不味いの?」

「へぇ、そうなんですか?」

三者三様の視線に、拓磨はその時の事を思い出して微かに眉をしかめて言う。

「待ち合わせついでにそこで昼飯を済ませようとしたのが間違いだった」

あれは工学部の人間に聞いても、不味くはないが美味しくもない飯だと言われた。
八号館の食堂はただ栄養をとる為だけにあり、味は二の次だと聞かされた。

拓磨のその説明にこの話題を持ち出した坂井が同意するようにうんうんと深く頷く。

「俺も昨日、ちょっと工学部棟の方に用事があってさ。時間的にも先に昼飯食っとくかぁって思って、フツーに八号館寄ったのよ。そしたら、なに?あのなんとも言えないような味。不味くはないんだけど、素朴な味とでも言えばいいのか…。素材そのものの味?」

「ふぅん…。でも、それはそれでちょっと気になるな」

「えーっ、ないだろ。俺は断然、フツーに美味しく食える飯の方が良い」

おかしな興味を持った様子の川口に拓磨はさっくりと釘を刺しておく。

「行きたきゃ一人で行けよ」

「俺もパス。あれは一回でいい」

「何だよ、話を振っときながら付き合い悪いな。周防は?」

「俺もパスで。美味くて安い飯なら金出してもいいけど、そんな微妙なものは食いたくない」

断固拒否すると周防は首を横に振った。なにより、周防は拓磨の護衛である。拓磨が行かないと言っている所に行っても仕方がない。

「じゃぁ、別の奴を誘って行ってみるか」

それでも川口の中では、既に行くことが決定している様子であった。
何故、そこまでして微妙な味と分かっている飯を食べに行こうと思うのか。拓磨には理解できなかったか、それが所謂怖いもの見たさという厄介な好奇心なのだろう。

「ん?そういや、さっき八号館で待ち合わせって言ってたけど、草壁は工学部に知り合いがいるのか?」

坂井はふと沸いた疑問を拓磨に投げ掛ける。
あくまで坂井達が知る範囲でだが、拓磨の周りで見かけたことのある人間といえば、主に親戚だと言うそこの周防か自分達と同じ教養学部の人間しか見たことがない。

坂井の疑問に拓磨は箸を置くと、僅かに迷った様に呟く。

「知り合いというか…」

工学部の知り合い。そう言うにはもっと自分に近い位置にいて、簡単に友人と呼ぶのも少し違う。仲間や身内と言った様な感覚の方が近い。猛とはまた違う意味で己の内側にいるその人物。
相沢 大和の姿を脳裏に思い浮かべて、拓磨はその関係性を表す言葉を何と表現したら良いものかと思考を彷徨わせる。
そこへ助け船を出すようにすかさず周防が口を挟んだ。

「あー…拓磨さんの親友ですね」

周防の台詞に拓磨は微かに瞼を瞬かせる。
親友という聞き慣れない、自分には無縁であろう単語。その単語を頭の中で反芻し、ゆっくりとその言葉が指す意味を理解して己の中に飲み込む。
拓磨は僅かに間を空けて、周防のフォローにはっきりと頷き返した。

「あぁ、そうだな」

大和は自分にとってかけがえのない人間であり、数少ない友の中でも自分が心を許せる、もっとも親しき友である。

そう結論付けて頷き返した拓磨の表情が自分でも知らぬ内にゆるりとほどける。
それを目にして坂井と川口が目を丸くした。

「へ、へぇ〜。そうだったのか」

「って、それじゃ、俺らと飯食ってても大丈夫なのか?」

拓磨の表情の変化に驚きつつも川口がどこか心配したように言う。
しかし、何が大丈夫なのか、問われている意味が分からなかった拓磨は、分かった部分だけ理解して返す。

「今のところ会う予定はないからな。何か用があれば連絡してくるだろうし、後は俺が出向けば良い話だ」

「お、おぉ…なんか、すっげぇあっさりしてんな」

「そういうもんか…?」

坂井と川口は互いにちらりと一瞬だけ視線を交わし、頷き合う。
周防は黙ってそのやり取りを視界に収めていたが、周防も内心では拓磨の表情の変化には驚いていた。
するりとほどけるように緩んだ頬とその眼差し。身内や恋人といった本当に親しい人だけに向けられるのに近い温度を宿した声。唯一その相手の事を知っている周防は、拓磨と大和、二人の間にある強い絆を改めて感じて親友という表現に間違いはないとその認識を強くしていた。

「それで、坂井は何で八号館なんかに行ったんだ?」

周防はそこで話の流れを変えるように坂井に話を向ける。

「あー…俺は、高校の時一緒だった先輩からの呼び出し。その先輩、フットサルのサークルに入ってるんだけど、人数が足りなくなったとかで助っ人を頼まれてさー」

「草壁と周防は知らないだろうけど、こいつ高校の時、サッカー部に入ってたんだって」

ちなみに俺は帰宅部と川口は自己申告する。
この二人は大学に入ってからの付き合いで、高校は別々だったのだと何かの折に触れ、拓磨は聞いていた様な気がする。

「うちの学校、そこそこ強かったんだぜ。っつても、地区とかの話だし全国は夢のまた夢的な」

「へぇ〜」

周防が相槌を打つ。そして、坂井が更に話を広げていく。

「そういや、俺達の中でサークルに入ったやついないよな?」

そう言いながら順に顔を見て、川口が口を開く。

「俺はその分、バイトしたいし」

「俺も色々、用事が…」

「サークル自体に興味がない」

川口に続いて周防が答え、最後に拓磨が短く返す。それだけで会話は続いて行く。

あまり他人を側に置きたくない拓磨と謂えども大学内で誰とも関わり合いにならないでいるというのは不可能であった。ならば、最初から関わり合いになる人間を数人に絞って決めてしまえば良い。それなら関わる人間も少なくて済むだろう。
そんな打算も含めた人付き合いだが、坂井も川口も特段素っ気ない拓磨の態度を気にした様子もなく、また次の話題に移っては盛り上がっている。
端から見ても違和感なく、彼ら四人は何処にでもいる普通の男子大学生四人組に見えていた。



それから、昼休みが終わる前に四人は午前中に講義を受けていた講義室に戻った。
手元に配布された出席カードに名前と学籍番号を記入して、午後からの講義を受ける。大学の授業は基本的に一コマ90分だ。拓磨の通う大学の三限目は13時から始まり14時30分に終わる。四限目の開始までには十分間の休憩があり、この日は揃って四人とも同じ講義を取っていた為、四人は三限目が終わるとまた次の講義に向けて一緒に教室を移動することになった。

「そろそろテスト期間だな。どっか集まって勉強会でもするか?」

「そしたら俺、バイト先に休みもらってくるわ」

「それよりも先にレポートがある」

勉強会について否定はしないが、それよりも先にテスト期間と被せて出されたレポート提出の件について拓磨が口を挟む。途端に坂井は嫌そうな顔をして溜め息を吐いた。

「どっちも一緒にすんのやめて欲しいよな。苦手なんだよなー。レポート作んの」

そうは言っても、テストの代わりにレポート提出の講義なのだ。

「じゃ、とりあえず場所は図書館にするか?草壁も周防も参加するだろ?」

「あぁ…」

「おぅ」

拓磨が頷いた後で周防も頷き返す。拓磨としては使えるものは使う。レポート作成と試験勉強が第一優先であり、その場に誰がいようとあまり深くは考えなかった。
ただ、その前に一つだけ言っておくことがあったのを思い出して口を開く。

「今週の土日は外してくれ。用がある」

拓磨は講義室の扉をくぐりながら、先を行く坂井の背中にそう声を掛けた。

「ん?おっけー。じゃ、後は川口のシフト次第だな」

「この後バイトだし、店長に掛け合ってくる」

「えーっと、何のバイトだっけ?川口が今してるの」

坂井、川口、周防と並んで座ったその隣に拓磨も腰を下ろす。周防と川口、坂井の会話を耳に拓磨は次の講義の準備をし始めた。キャンパスノートと教科書、筆記用具。それらをリュックの中から取り出し、ついでにちらりとスマホを見る。

「今は居酒屋」

「そうそう、前はファストフードで、その前はカラオケ。他にはコンビニにスーパーの品出しとかもやってたんだろ?」

「まぁな」

「うわ、凄いな。高校の時からバイト三昧だったのか?」

「坂井みたいに部活入ってなかったからヒマでさ。だったら、金になる事でもするかって思って」

「お前それは極端だろー」

ちかちかと点滅するランプ。スマホはメールの着信を告げていた。

拓磨は開いたリュックの中でスマホの画面をタップする。するとそこには相変わらずランダムすぎる英数字の羅列が並び、それが小田桐からの定期報告であることを知らせていた。

“Mission complete”

文面はそれだけ。

確認すると拓磨はそのメールをスマホの中から削除し、何事も無かったかのようにリュックの口を閉じる。そして四限目の講義を受け始めた。

四限目の講義は14時40分〜16時10分までだ。
今日の所は四限目までの講義しかとっていないが、他の曜日であれば五限目までと遅い時間になることもある。ちなみに五限目は16時15分〜17時45分までとなっている。
その日、その日の時間割は人それぞれ。学期の初めに必修科目と選択科目を組み合わせて、組み立てた時間割に寄って変わって来る。

「はぁ〜、終わった」

終業の鐘が鳴ると同時に講義室内はざわざわと人の声で騒がしくなる。腕を伸ばして疲れたように声を上げた坂井に、その隣で川口がスマホで時刻を確認している。リュックの中に講義で使った教材を片付け、周りの学生達と同じように拓磨もさっさと帰り支度をする。

「お、また明日なー、草壁。周防も」

「あぁ…」

「また明日!」

のんびりと帰り支度を始めた坂井が先に席を立った拓磨と周防に向けて軽く声をかける。それに拓磨はちらりと坂井を見返して小さく頷き、周防は元気に明るく返して拓磨の後を追って講義室を出て行く。

何だか少し不思議な感じのする二人を見送り、坂井はまだ隣にいる川口に話しかけた。

「お前はバイト?」

「そうだけど、まだ時間はある」

そう言って、川口は坂井の話に付き合う姿勢を見せた。

「言いたい事があるなら今のうちに言っとけよ」

「ん―…」

二人はちらりと拓磨と周防の出て行って講義室の扉の方を見て、まず先に川口に促がされた坂井が口を開く。

「正直言って俺、昼間の話のとき驚いたわ。何か上手く言えないんだけどさ、前の草壁と今の草壁の変化にも驚いたけど、それはいい意味でだし」

「あぁ、そうだな」

坂井の言葉に川口も昼間、食堂で見た拓磨の様子を思い返して深く頷く。

「周防がいるせいかな?」

草壁の親戚だっていうし。

「それはちょっと違うんじゃないか?」

俺も上手くは言えないが、何となく草壁と周防の間には少し距離を感じると言うか。

互いに言葉を濁し、だが、同時に二人の脳裏には同じ情景が浮かぶ。

二人は入学当初の草壁を知っているが、その当時の草壁はそれこそ人を寄せ付けない空気をその身に纏っていて、今より余程冷たい印象であった。話しかければ普通に答えてくれるが、そこには何か見えない壁の様なものを感じていた。また、学年が一つ上がってもそれは同じであった。しかし、復学してきた後の草壁には相変わらず側に人を寄せない空気は感じるものの、冷たい印象は薄れた。まだ、時折素っ気無い感じはするもののきちんと感情の籠った会話をしてくれるし、前よりは壁を感じなくなった。二人の誘いにも乗ってくれるようになったし。

「なぁ。周防の言う親友って本当に親友だと思うか?」

「それは草壁もはっきり肯定してただろ」

「そうだけどさ。こっちは何かそれだけじゃない感じしただろー?」

「……否定はしない」

坂井の言葉に川口は僅かに迷って頷き返す。

親友というのは確かなのだろうが、そこには自分達の感知しえないものが含まれていた様に見えた。なにより、あの草壁が表情を崩して頷いたのだ。

「んー、もしかして、親友っていう名の彼女だったりして?」

「俺はどっちでもいいと思うけどな。気になるなら直接草壁に確認してみたらどうだ?」

性別も含めて。こういうのは周囲がとやかくいう事ではないし、勝手にそう解釈すれば誤解の原因にもなりうる。

「まっ、そうだな。明日にでも聞いてみるかー」

ガタガタと音を立てて、二人は椅子から立ち上がる。
そして、ちらほらと人の残っていた講義室を坂井と川口も後にした。



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