九琉学園小話33(京介×圭志)
その日、朝から京介の部屋で圭志はだらだらと過ごしていた。朝食兼昼食を京介と一緒に食べて、片付けを済ませた圭志はソファに座っていた京介の隣に腰を下ろすと、いきなり横から京介が開いていた雑誌を取り上げた。
「おい…?」
それを目線で追った京介の前でバサリと雑誌を閉じて、手を伸ばしてテーブルの上に置く。それから何か言いたそうにした京介に顔を向け、圭志はするりと京介の首に腕を回すと自ら擦り寄った。
「圭志…?」
不思議そうに名前を呼んだ京介に構わず圭志は京介の耳元に唇を寄せると我が儘を言ってみる。
「雑誌なんか見てねぇで俺を甘やかせ」
なんとなく今日の自分は甘やかされたい気分だと圭志は京介の耳元でポツリと囁く。
ふと圭志が溢した我が儘に京介は表情を緩め、擦り寄ってきた圭志の目元に唇で触れると、甘やかす為に圭志の身体を自分の方へと引き寄せた。
抵抗もなく身体を預けてきた圭志の頭をさらりと撫で、首に回されていた腕を外させると京介はソファの上に足を乗せた。
ソファの肘掛けに背中を凭れさせ、完全にソファの上へと横向きに乗った京介は圭志を足の間に置いて、向き合ったまま自分へと凭れさせた。
ちょうど圭志の頭が京介の胸辺りに乗る。
圭志は京介の身体に凭れかかり、寝そべっているような体勢に京介の胸元から顔を上げた。
すると持ち上げられた京介の手が圭志の髪をさらさらと梳く。
緩やかに細められた双眸が圭志を見つめ、視線が絡むと唇が弧を描いた。
「甘やかしたい気分になった」
そう言って京介は口角を吊り上げ、頭を撫でる手とは逆の手で圭志の背中を優しく抱き締める。
「今なら何でも聞いてやるぜ」
「ん、じゃぁ俺がいる時は俺以外見るな」
「…いいぜ。他には?」
「部屋にいる時はもっと俺に構え」
「分かった。後は?」
さらさらと梳かれる髪の感触に圭志は口許を緩め、他はまた思いついた時に言う、と言って京介の胸元に頬を押し付けた。
「圭」
「ん…?」
「好きだぜ」
「…俺も」
珍しく素直な圭志をその日、京介は思う存分甘やかして過ごした。
(圭、一緒に風呂入るか?)
(…ん。いいぜ)
end...
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九琉学園-小話33-
素直な圭志と京介。休日に部屋でいちゃいちゃする二人を小話として配信。
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