ストリート小話28(九琉×Signal)

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小話28(九琉×Signal)


◇◆◇


偶然再会した工藤と廉に誘われ入ったカフェで圭志と京介もついでにそこでランチを食べることにした。
そして今は食後のデザートを工藤の隣に座った廉が美味しそうに食べている。

「美味いか廉?」

「ん。工藤も食べてみる?」

フォークを片手に手を止めて訊いてきた廉に、工藤はそうだなと表情を緩めて笑う。

「一口もらうか、…廉」

「はいっ」

チーズケーキの一角を崩してフォークの上に乗せ、廉はその先を工藤の口許に慎重に運んだ。

「なぁ、京介。これって俺ら見せつけられてんのか」

「なんだ?お前もあれがやりたいのか?」

「冗談、恥ずかしいだろ」

テーブルを間に挟み、工藤と廉の向かい側に座っていた圭志は珈琲に口を付け、京介はカップをソーサーに戻してニヤリと笑う。
その声にハッと我に返ったように廉は工藤から正面へと視線を戻して頬を真っ赤に染めた。

「〜〜っ」

一瞬、廉は二人がいることを忘れていた。
あわあわと慌て出した廉に圭志は生暖かい目を向ける。

「別に気にしてねぇから。続けていいぜ」

「うっ…」

言葉に詰まった廉は工藤に差し出していたフォークを取り戻して、口をつぐむ。そんな廉の頭を優しく撫で、工藤は圭志へ目を向けた。

「せっかくここまで慣れさせたんだから、からかうなよ」

「からかったつもりはねぇけど、お前恥ずかしくねぇの?」

「どこが。可愛いだろ」

何故かのろけ付きで返されて圭志は呆れたように溜め息を吐く。

「あっそ…。んで、お一人様一個のとろとろプリンってのは何処で買うんだ?」

「支払いの時にレジの横で売ってる。四個買って、三個くれればいいからさ。一個はお前達で食べてみろよ」

カフェに入った目的を思い出して訊けば、持ち帰りの品だと聞かされる。

「結局その三個の内の一個って誰の分なんだ?」

話を聞いていた京介が口を挟み、工藤が答える前に廉がおずおずと口を開いた。

「俺の妹の分」

「妹がいるのかお前」

「うん。まだ小学生」

気を取り直したのか、チーズケーキを完食して廉は京介に頷き返した。
それから会計は割勘で、プリンは工藤が四個購入して支払いを済ませた。

「俺も払うって言ったのに」

プリンの入った紙袋を受け取りながら廉は不満そうな顔をした。

「これぐらい奢ってやるって。黒月、一個貰ってけよ」

「あー、いい。お前らで食え。な、京介」

「あぁ。まだ色々見て回りたいしな。持ってる内に駄目になるだろ」

「あっ!それなら帰りに向日葵っていう喫茶店に寄って下さい。そこでとっておきますから」

向日葵という喫茶店の場所を教えられ、必ず寄るように圭志と京介は廉に念を押される。

「分かった。帰りに寄る」

「じゃぁ俺達向日葵にいるから。ゆっくりでいいからな黒月、神城」

「分かってる。邪魔はしねぇよ。また後でな」

圭志達はそこで一旦工藤達と別れ、デートを続けたのだった。


(お前に取りに来いって、見かけによらず坂下も中々言うな)
(んなことよりアイツらあれで付き合ってねぇって嘘だろ)

end...

◇◆◇
九琉×Signal-小話28-
九琉メインCPとSignalメインCPのコラボ。小話26再会の続編で、デート編。続きに隼人達出る…かも。

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