ストリート小話26(九琉×Signal)

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小話26(九琉×Signal)


◇◆◇


休日ともなれば人の出は多く、賑わう街中。
そんな人混みの中、再び再会した二組。

「あ…!」

「お…?」

これは何かの縁か。
声を上げた廉に圭志も軽く目を見張り、その隣を歩いていた工藤と京介も顔を合わせ偶然の再会にほんの少し驚いた。

「また…会ったな」

「あぁ」

苦笑して声をかけた圭志に工藤も似たような表情を浮かべ返す。
声を上げた廉は口を挟んで良いものか少し迷い、動かした視線は京介とぶつかった。…思わず廉も見つめ返す。

その視界をいきなり工藤の手で遮られた。

「わっ!工藤…?」

「何やってんだお前は」

「この前はお前の事に気をとられて顔見てなかったからな」

圭志から向けられた怪訝そうな眼差しに京介は肩を竦めて答える。廉の視界を塞いだ工藤は周りを憚ることなくさらりと言った。

「俺の前であんまり他の男と見つめ合うなよ」

「なっ!?っ、誰も見つめ合ってなんか…」

ぶわっと顔を熱くさせた廉は即座に言い返そうとして、手を退けた先にあった工藤の目がからかいではなく、思ったより真剣なものだったことに気付き言葉を途切れさせる。

「イチャつくのは構わねぇけど、そういう事は俺達がいない時にしてくれ」

横合いからかけられた圭志の声にハッとして顔を赤くした廉は更にわたわたと慌てた。

「それを今言うか?黒月。この間は見せ付けて帰ったお前が」

邪魔されたことに工藤は怒るでもなく小さく溜め息を吐くとその視線を京介に向ける。

「そうだ、神城。今暇か?」

「おい工藤、見て分かるだろ。お前こそ俺の前で俺の男をナンパしてんじゃねぇよ」

「誰がナンパだ」

京介の代わりに応えた圭志に工藤は軽口で返す。そのやり取りに俺の男と言われた京介が機嫌良く口を開いた。

「暇かどうかは内容次第だな」

「あぁ。俺達がこれから行こうと思ってるカフェにこれぐらいの小さな瓶に入ったとろとろプリンっていうのが売ってるんだ。それも個数限定一人一個で」

これぐらいと手で大きさを伝えてくる工藤に、一人一個と言われて圭志と京介は直ぐにその意味を理解する。意図を察した二人と同じくその意味に気付いた廉が慌てて工藤の腕を掴む。

「工藤!別にそこまでしなくてもいいから!」

「けど俺の分じゃダメなんだろ?」

「それは…工藤にも食べて欲しいから…」

ぼそぼそと呟く廉に工藤の眼差しが柔らかくなる。圭志と顔を見合わせた京介は肩を竦めて口を挟んだ。

「誰の分が欲しいのか知らねぇけど、少しぐらいなら付き合ってやってもいいぜ」

「えっ、でも…」

「悪いな神城、黒月も。貸しにしといてくれ」

困惑する廉を他所に話を畳んだ工藤は二人を案内するように廉の手をとり歩き出す。

「こっちだ」

手を引かれたままちらりと背後を振り返った廉はついてくる二人に向けて申し訳なさそうに、けれども真っ直ぐに二人を見上げて言った。

「あの、ありがとうごさいます。神城さん、黒月さん」

「気にするな」

「そうそう。それにこの間会った時、次会ったらダブルデートしようぜって俺言ったしな」

「だっ…!?っ、違うから!俺と工藤はまだそんなんじゃ…!」

ざわざわとざわめく雑踏の中で四人は人目を引いていたが、誰一人として気にすることなく。四人は目的のカフェの中へと入って行った。


(まだ、だってよ。良かったな工藤)
(脈ありなら持って帰っちまえば?)
(〜〜っ!?)
(それは廉の気持ちが追い付いてからな)

end...

◇◆◇
九琉×Signal-小話26-
九琉メインCPとSignalメインCPのコラボ。小話16遭遇の続編で、再会編。またもや続く…かも。

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