九琉学園小話19(京介×圭志)

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小話]\(京介×圭志)


◇◆◇


12月25日、毎年この日は必ず何処かでパーティーが開かれていた。紳士淑女が集うきらびやかなパーティーは自らの会社を大手企業に売り込む最大のチャンスの場でもある。
そして例に漏れること無く、売り込まれる側となる両親の代わりに圭志と京介もこのパーティーに出席していた。

「そう言われても困ります。俺はまだ学生の身で、仕事の話でしたら父に直接連絡を取って下さい」

そこを何とかと頭を下げられ、圭志はため息を吐く。パーティーも終盤になればアルコールが回った人間が一人や二人出てくるもので、運悪く圭志はその内の一人に絡まれていた。

「ですから…」

「失礼。この方には私との先約があるので、商談の話なら後日担当の者とお話下さい。それでは」

言い募ろうとした圭志は開いた口を途中で止め、間に割って入ってきた人の横顔をマジマジと見つめてしまう。

不覚にもその横顔にきゅぅと胸が震え、一瞬とはいえ目を奪われた。

割り込まれた相手も一瞬の出来事にポカンと間抜けにも口を開き、引き留める間もなく二人に立ち去られてしまう。

「お、おい…、何だよ今の」

「何がだ」

「嘘臭い爽やかな笑み。それに私って何だ。…一瞬人違いかと思った」

とくとくと早まった鼓動を誤魔化すように圭志は擦れ違ったボーイからグラスを受け取る。

「一応社交の場だし、穏便にな」

「だからって…」

京介の意外な一面を見た気がして、先程から鳴り止まない鼓動を抑えるように圭志はグラスに口を付けた。

「…ムカつく」

「は?何だ、助けられたくなかったのか?」

不思議そうに言われ、一旦足を止めた圭志はスーツという何時もとは違った装いに、髪も後ろに流して普段とは異なる雰囲気を醸し出した京介の端整な顔を見つめ返した。

「圭志?」

「そうじゃねぇ。そうじゃねぇからムカつく」

(俺ばっかり惚れてるみてぇじゃねぇか)

グラスの中身を煽り、近くにあったテーブルの上に置くと圭志は自ら京介の腕をとった。

「部屋、帰ろうぜ」

「それは構わねぇが、本当にどうした?」

「別に。………お前を誘いたい気分何だよ。悪いか」

珍しい圭志からの誘いに京介は一瞬驚いたものの断りはしなかった。


(今年のプレゼント、俺で良いよな?)
(本当にどうした圭志?)
(お前ばっか狡いんだよ)
(ん?お前もしかして酔って…)
(もう黙れよ)

end...

◇◆◇
九琉学園-小話]\-
25日ということで急遽…クリスマスのお話?を小話として配信。
珍しく圭志の誘い受けで。

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