九琉学園小話17(京介×圭志)

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小話]Z(京介×圭志)


◇◆◇


ひやりとした冷たい風が頬を撫で始めた頃。
各部屋に冷暖房完備と空調設備も整った学園の寮内では少しずつ暖房が稼働し始めていた。一部を除いて。

「ん…さむ…」

布団の中で寝返りを打ち可愛く擦り寄ってきた恋人に、先に目を覚ましていた京介は柔らかく瞳を細める。
優しく腕の中に抱き締めれば圭志は素直に京介の腕の中に収まる。冷えた足を押し付けるように絡められ、じわじわと熱を奪われる。

「可愛いことするな」

圭志がどう思っているのか知らないが京介にはまだ暖房を入れるつもりはなかった。
何故なら…寒くなるとこうして圭志が暖を求めて猫のように京介に擦り寄ってくるからで。

「圭…」

京介は緩んだ表情で圭志の額に唇を落とす。その後も覚醒を促すように瞼や頬、唇にキスを落としていき京介は圭志の瞼が震えるのを待った。

「ぅ…ん…」

やがてゆっくりと開いた瞼に京介は喉を震わせる。

「起きたか?」

ぼんやりと見つめ返してきた圭志が手を伸ばす。
その手は京介の後頭部に回され、京介は引き寄せられるままに圭志と体を密着させた。
そして何をするのかと思えば圭志はまた瞼を閉じてしまう。

「圭志」

「…やだ」

もう一度声を掛ければ間近で触れる吐息が短く答える。

「嫌だってお前、今日は授業を受けるんじゃなかったのか?良いのか?」

「…いい」

京介を湯たんぽがわりに抱き締めた圭志はそのまままたすぅすぅと寝息を立て始めてしまう。

「俺はちゃんと訊いたからな。後で文句言うなよ」

無防備な寝顔にキスを落として、京介もぬくぬくと温かなぬくもりに身を委ねる。
閉めきられたカーテンの向こうでは顔を出した太陽が冷えた空気を反射させきらきらと輝いていた。


(げっ、もう昼じゃねぇか。何で起こしてくれなかったんだ!)
(俺は起こしたぜ。そしたらお前が…まだ俺と一緒に居たいって言うから)
(そんなことっ…言った、の…か?)

end...

◇◆◇
九琉学園-小話]Z-
寒い日の朝。一人美味しい思いをする京介と寝ぼけて騙される圭志の一幕を小話として配信。
実は寝起きの圭志は隙だらけだったりします(笑)

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