九琉学園小話13(京介×圭志)

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小話]V(京介×圭志)


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生徒会長である京介と圭志が付き合い始めたと学園内に知れ渡っても、二人の人気が落ちることはなかった。むしろセットになったことでファンが増えたとか増えなかったとか…。当人たちは知る由もなく。

寮のロビーで小柄な生徒達に囲まれ、珍しく表情を崩した京介を見つけて圭志は足を止めた。

「―――」

微かに口許を緩め生徒達と話す京介に、それを眺めていた圭志の瞳がすと細まる。そして、小さくため息を吐き出した。

「…俺はいつからこんなに心が狭くなったんだか」

眺める先で京介が生徒達に笑みを見せている。それに生徒達も頬を赤く染めてきゃーきゃーと騒いでいる。

「それもこれもお前のせいだからな」

一歩、足を踏み出す。
京介を囲う生徒達の輪に踏み入ると、圭志は京介の腕を自分の方へと引いた。京介の頬に口付け、鋭い視線と言葉を生徒達に投げつける。

「こいつは俺のものだ。分かったら散れ」

すると何故か生徒達は逆に喜びも露に瞳を輝かせ、きゃぁきゃぁと叫んで散って行った。

「は?何だあれ…」

「それは俺の台詞何だが、まぁいい」

自ら密着してきた圭志の腰に腕を回し、首を傾げる圭志の耳元に息を吹き掛ける。

「誘うならベッドの中でか、部屋に帰ってからにしろ」

「なっ、俺は別にそういう意味でしたんじゃねぇ」

クツリと耳元で笑う声に圭志の体温が上昇する。キッと睨みつけた圭志の目元に唇が触れ、緩やかに弧を描いた。

「お前たまに大胆なことするよな」

「うるせぇ…誰のせいだ」

俺か、と笑う京介に圭志はさぁなと不貞腐れた表情で返した。


(で、さっきのは何だったんだ?)
(あぁ、よく分からねぇがお前のこと訊かれたからとりあえずお前の可愛さ語っといた)
(…馬鹿かお前?)

end...

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九琉学園-小話]V-
夏休みに入る前の話を小話として配信。既に無意識でバカップル。

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