九琉学園小話12(京介×圭志)
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小話]U(京介×圭志)
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ガチャとリビングの扉を開けて部屋の中へ入ってきた圭志は畳んだ携帯電話をズボンの後ろポケットに捩じ込み、忌々しそうに表情を歪めて口を開いた。
「京介、明日ダメになった。デートは持ち越しだ」
「何かあったのか?」
ソファで寛いでいた京介はその声に圭志を見やる。そんな京介に圭志は一つ息を吐き、自分を落ち着かせるとソファまで足を進め京介の隣に腰を下ろした。
「今、クソ親父から電話が来て明日…」
と、言いかけて不意に圭志は言葉を切る。
「おい、圭志?」
そして京介の反応を伺う様に再度口を開いた。
「明日…俺に見合いに行けだと」
「………」
「………」
「……そうか」
初めは驚いた表情を見せた京介だが、返ってきた返事はあまりにもあっさりとしたものだった。
「それだけか?つまんねぇな」
「何だ、妬いて欲しかったのか?」
クッと口端で笑った京介に圭志は憮然とした表情を浮かべる。
「そういうわけじゃねぇけど」
分かってるとでもいう様に京介は隣に座る圭志の肩を抱き寄せ、耳元で甘く囁いた。
「心配はしてねぇよ。どこに行こうがお前が帰ってくるのは俺の腕の中だけだ」
「っ、お前…流石にそれは…聞いてる俺が恥ずかしい」
「お、照れてんのか」
じわじわと赤みが増す頬に京介は指を滑らせクツリと笑った。
(…で、妬かないのか?)
(必要ねぇだろ。答えは分かりきってんだから)
end...
◇◆◇
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金持ちには付き物(?)の見合い話、の話を小話として配信。そして、ちょくちょく出てくる圭志の父親。
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