02


ここ最近、審神者の中ではある一つの噂が流れていた。

「何でも刀剣を粗末に扱う審神者の元に刀狩りが現われるらしいよ」

何の予兆もなく現れる刀狩りは、抵抗をみせる審神者をものともせずに昏倒させると、その本丸に存在する全ての刀剣を攫って行く。そして、その後の刀剣の行方は誰も知らない。

「ha、何だそりゃ。その審神者の自業自得じゃねぇのか」

「まぁそうなんだけど…」

この情報を拾ってきた燭台切光忠はちらと隣に座す主の横顔を窺いつつ、この話にはまだ続きがあるんだと続けた。

「なかでも僕達、伊達の刀と言われる刀を粗末に扱った審神者は軒先に吊るされていたり、素っ裸で庭に転がされてたりするらしいんだ。不思議だよね。何で伊達の刀何だろう?」

「…さぁな。そいつが此処に現れれば分かるんじゃねぇのか」

「それは有り得ないでしょ」

一瞬面白そうに口端を吊り上げて笑った主に燭台切はきっぱりとその言葉を否定した。
何故ならこの主の本丸に顕現された刀剣達は皆大事に扱われているからである。



そんな話を燭台切としたのは何時だったか、忘れかけていた頃。

 

庭に設置されている転送陣とは別に、本丸と外部を繋ぐ鳥居を模した唯一のゲートが不快な耳鳴りと共に歪み、その歪みの中から一人の男が悲鳴を上げながらこちらへとまろぶ様に転がり込んで来た。

「ひぃぃっ!た、助けてくれっ!殺される!!」

近侍を務めていた大倶利伽羅が縁側から素早く立ち上がり、主を守る様に庭に下り立つと刀の柄に手を掛けた。

「hum…殺されるとは穏やかじゃねぇな」

転がり込んで来た男に続いて、歪んだゲートの中から抜き身の刀を手にした青年が現れる。

「往生際が悪すぎる!男なら大人しく往生しろ!人様の刀に狼藉働いときながら、いざ自分がされる側に回ると嫌だと。ふざけた事ぬかしやがって!」

鋭い太刀筋から逃げ回る男とその男を追い回す青年。そして最後にゲートから姿を現したもう一人の男が冷静になるようにと青年へと声を掛ける。

「お待ち下さい、遊士様!ここは他の者の本丸です。血で穢すことの無きように!」

「分かってる!流血沙汰にしねぇよう、骨の一、二本で勘弁してや…」

男を追い回していた遊士の視線がこの状況でも暢気に縁側に座っていた審神者とぶつかった。その時初めて遊士はこの場に他にも人がいる事に気付いた。しかも、その審神者というのが……遊士の顔色を変えるには十分な人間であった。

「っ、これは、ご無礼をば!」

ぜぇはぁと庭の片隅に設置されていた灯篭にしがみ付き、そこで体力が尽きたのか逃げ回る事を止めた男を視界の端に止めつつ遊士は縁側に座る審神者とその近侍である大倶利伽羅に向き直ると、手にしていた刀を下ろし、その場で片膝を着く。敵意は一切ない事を示すために刀を鞘へと納め、傍らに置いた。

「お前が噂の刀狩りか?」

審神者は大倶利伽羅の咎めるような視線を無視して遊士へと気安く話しかける。
遊士に倣う様に彰吾もまた遊士の斜め後ろへと控えた。
投げかけられた問いに遊士は是の言葉を返す。

「噂のと言われれば、YESで御座います」

素直に返って来た返事に瞳を眇めた審神者は遊士と彰吾、灯篭にしがみ付いた男、そして遊士の傍らに置かれた刀をじっくり眺めて、再び口を開いた。

「――お前は伊達の者か?」

その質問に警戒を緩めないでいた大倶利伽羅がまさかと遊士を見る。

「お前の傍らにあるその刀を俺は良く知っている。黒坊切影秀。何と言っても俺が良く使っている刀だ。どこか違うか?」

名を出された刀が淡く光る。瞬きの間に人型をとった刀が、影秀が審神者に向かって頭を垂れる。

「この姿ではお初にお目にかかります、政宗様。影秀で御座います」

遊士の傍らに現れた青年に審神者、政宗は口笛を鳴らす

「やっぱりそうか」

それじゃぁと政宗の視線が遊士へと流れる。その強い眼差しを受けて、遊士は名乗りを上げた。

「貴方様の遠い孫にあたります。遊士と申します」

背後に控えているは私の部下で、彰吾と申します。
その名乗りを聞いた大倶利伽羅は遊士の顔をジッと確かめる様に眺め、政宗を振り返る。

「こいつの言葉に嘘は無い。俺もこいつに見覚えがある」

とはいえ、大倶利伽羅が知っているのは本当にまだ小さい頃の遊士の姿だった。

「へぇ、お前がそう言うって事は本当なんだろう」

大倶利伽羅の肯定に政宗は相槌を打ち、自分から見て未来の人間となる遊士に再び問いかける。

「それで、お前等は何でまたこんな事をしている?」

伊達家が未来まで続いているというのは良い知らせだ。だが、何故刀狩り等をしているのか。政宗は灯篭にしがみ付いたままこの展開についていけずに目を白黒させている男へちらりと視線を流した。

「それは…恐れ多くも申し上げにくいのですが。過去の皆様のお力により戦の無くなった未来では刀剣を実戦用ではなく観賞用として見る傾向が強く。その弊害として審神者の中にも刀剣男士を戦に用いる武器としてではなく、その見目麗しい姿から観賞用としたり、その…」

何とか言葉を選びつつ答える遊士に政宗が言葉を挟む。

「良い。気を使わなくても噂で色々と聞いている」

「はっ…申し訳ございません」

己の刀を好きに扱われて良い気分ではないだろう。そう思った遊士の口からは自然と謝罪の言葉が零れていた。それにもう一つ遊士には謝罪しなければならない理由があった。

「政府に貸与しておりました貴方様の刀剣を含め、数振りの刀剣が現在所在不明となっております。その原因究明と捜索の為少々乱暴な手筈を取った次第で御座います。重ね重ねの失態、誠に申し訳御座いません」

そう言って深々と頭を下げた遊士に政宗は暫し口を噤み、黙考すると近侍である大倶利伽羅へと声を掛けた。

「伽羅。伊達(うち)の奴以外で直ぐ近くにいる奴を一人連れて来てくれ」

「しかし…政宗の守りが」

「伽羅殿。我等が居りますれば、そこの不届き者が不審な動きをしようものなら我が一閃にてその首刎ねて御覧にいれましょう」

「…こいつ、本当にやりかねないから気を付けろよ」

政宗の側を離れる事に難色を示した大倶利伽羅に影秀が静かな笑みを湛えて灯篭にしがみ付く審神者へ視線を流して言う。びくりと身体を震わせた審神者に遊士も畳みかける様に軽く脅しをかけてから、直ぐに戻るとその場を離れた大倶利伽羅の背を見送った。

「遊士と言ったな、お前」

「はっ」

政宗の呼びかけに遊士は背筋を伸ばして答える。

「ah―、まぁそう堅くなるな。…どうやらお前が乱暴な手を取る事になった原因の一つは俺にもありそうだ」

「は…?それはどういう意味で御座いましょうか?」

話が見えないと瞼を瞬かせ、首を傾げた遊士と彰吾には答えず、政宗は真っ直ぐに己を見て来る影秀に、それが自然のことの様に指示を出していた。

「そうだな…話の前に影秀。灯篭にしがみ付いてるあの男を捕縛しておけ」

その方が伽羅も安心するだろうと、あくまで政宗は自分の為では無く、己を心配する者の為に捕縛を命じた。むしろ戦経験者でもない素人審神者に万が一でも政宗が負ける事は無いのだが。
政宗直々に下された命に影秀の金の双眼がきらりと妖しく光る。

「はっ。お任せを」

号令をかける者が元の主であるとこうも違うのかと言うぐらい、政宗に応えてからの影秀の機動は早かった。ばちりと空気が弾ける様な音を残し、一息で灯篭にしがみ付く審神者に接近すると無防備なっていた首の後ろへと峰を返された刀が落とされる。その時にもまたばちりと何かが弾けるような音がし、青白い光が周囲にぱっと散った。

「もしやあれが伝え聞く伝説の婆娑羅なのでは…」

「あぁ、だろうな。元の主がいてこその荒業か」

伊達政宗公は雷の婆娑羅の使い手だと家の書物には残っていた。スタンガンを喰らったのと同じ様なものか。抵抗する間も無く気を失い倒れた審神者に、彰吾と遊士は最後に良いものを見れたと審神者に感謝しつつ影秀に向かって持参してきたロープを渡した。

「…何ですか、これは」

その間に長谷部を連れた大倶利伽羅が戻って来ていた。長谷部は庭にいる知らない人間達とロープで蓑虫状に拘束された男、縁側にて寛ぐ政宗を順に見て眉間に皺を寄せる。
そして不親切にも大倶利伽羅と政宗は揃って長谷部には何の説明もせず、話を再開させた。

「さっきの質問の答えだが…長谷部、伽羅。一度刀に戻ってくれ」

「は?何故です?」

「主命だ、長谷部」

訝しむ長谷部を横目に大倶利伽羅はそう告げると一足先にその身を刀へと戻す。当然、政宗に対する脅威が取り除かれた事を確認したからだが。政宗の手の中へと落ちた刀身に、長谷部は「後できっちり説明お願いしますよ」と小言を残してから自身も刀へとその身を戻した。

「さて、それでだ」

政宗は二振りの刀を手に、遊士達と向き合う。
まずはと言って、へし切長谷部の柄を掴むとゆっくりとした動作で鞘から刀身を抜き放った。

「まずはこれを見てくれ」

綺麗に手入れのされたへし切長谷部の刀身がきらりと輝く。その名の由来通り圧し切っただけですっぱりと斬れそうなほど恐ろしく美しい刃だった。

「次にこっちだ」

遊士達にへし切長谷部の刀身を見せた後、政宗はその刀を抜き身のまま一旦縁側に置くと、今度は大倶利伽羅を鞘から抜いた。
大倶利伽羅の刀身には、その名の由来となった倶利伽羅竜が彫られており、こちらもまた美しく力強さを感じた。

「む…、これは…!」

同じように大倶利伽羅の刀身を遊士達に見せた政宗は、へし切長谷部と大倶利伽羅を縁側に並べて置く。

「さすが、気付いたか影秀」

一番に違和感を口にしたのは影秀であった。政宗は縁側に並べた刀の刀身を指さして言う。

「遊士。お前が探している大倶利伽羅はこいつだろう」

「は…、どういう…?」

まだ分かっていない様子の遊士と彰吾に政宗は影秀が感じた違和感の正体を告げた。

「これは俺も鍛刀して暫くしてから気付いた事だが」

長谷部に限らずこの本丸で鍛刀した刀剣は実戦で使われた由来を持つにも関わらず傷一つなく、その刀身は磨き上げられた美術品の如く綺麗だった。それが分霊であるが故なのかは分からなかったが。

「その点、鍛刀で来た伊達家(うち)奴らはどうにも他と様子が違った」

伊達家に身を置いていたという刀は鍛刀した当初から刀身には細かな傷が付いていた。気になるほどでもないが、まるで実際に使用されていた刀そのものを持ってきてしまったような違いがあった。
特に燭台切光忠と大倶利伽羅の二振りは、違和感が無さ過ぎるのが逆に怖いぐらい政宗の手に良く馴染んだ。

「それに他にも違う点がある。そこにいる影秀もそうみてぇだが、うちの光忠と伽羅なら婆娑羅の使用も可能だった」

「………マジか。…まさかここに本霊がいるのか」

「俺に所縁のあるといわれる四振りだけな。他の所在不明の刀剣に関しては知らねぇぞ」

確かに並べられた刀の刀身をよくよく見直せば、その違いははっきりと見て取れた。

「ふむ。なれば、安心というもの。我が兄様を筆頭に仲間達は政宗様のお側に居るということか」

縁側に置かれた刀が政宗の手により鞘へと納められれば、二振りは再び人の形を取ってその場に顕現する。
その様子を瞳を細めて眺めながら影秀は遊士へと問うた。

「我は…彼らが政宗様の元に自らの意志で赴いたのならば、その意志を尊重したいと愚考するが。坊は如何であろう」

遊士は自分に視線が集まるのを感じながら一度瞼を閉ざすと、細く息を吐き出す。そうしてその口許に笑みを浮かべると瞼を持ち上げ、影秀に答えた。

「そこの蓑虫を拾って帰るぞ。それから、どさくさに紛れて坊って呼ぶな影秀。俺はとっくに成人済みだ!」

「…良いのか?お前らはこいつ(本霊)を捜しに来たんだろう?」

大倶利伽羅を指しての政宗の言葉に遊士は吹っ切れたかの様にからりと笑う。

「確かにその通りですけど、一番安心安全な場所にいる彼らを俺はわざわざ連れ出そうとは思いません。むしろ、政府の奴らにこれ以上無い意趣返しが出来て良い気味だと思ってます」

「遊士様、何でも暴露しすぎです。そういうことは心の中で思うだけにして下さいと、何回注意したら聞いてくれるんですか」

 「別に今は他に人も居ないし、良いじゃねぇか。堅苦しいのは無しだと政宗様も仰った」

にやりと笑う確信犯に彰吾は溜め息を吐くしかない。
しかもその遊士の態度を冗長するかの如く影秀が称えるように言う。

「さすがは坊だ。我はそこまで考えつかなかったぞ」

妙に変な所で相性の良い二人に彰吾は毎度の事ながら頭が痛くなりそうだった。

「ah―…大変そうだな、アンタ。俺も人の事はあんまり言えねぇが」

そのやりとりに政宗はこの場に居ない己の腹心の顔を思い浮かべて、彰吾へと慰めるような言葉をかけた。

 

さてさて、結論が出た所で遊士は再度居住まいを正すとその表情を引き締め直した。

「では、私はこれで失礼させて頂きます。彼等刀剣のこと何卒宜しくお願い申し上げます」

「あぁ」

「それと…影秀、お前はどうする?」

元の主の元に残りたいと言うならば止めはしない。影秀は元より政宗様の愛刀だ。
政府にその存在が登録されていなくとも一振りぐらいなら本丸に紛れていようと誤魔化せるだろう。
そんな遊士の気遣いに影秀はふっと笑うような息を零すと、政宗の側に控える大倶利伽羅に目を向けた。

「我の役目はここには無い。伽羅殿、兄様共々政宗様をお願い致す」

「言われるまでもない。精々お前もその童に手を焼かされぬ事だな」

大倶利伽羅の分かりにくい親愛の言葉に影秀は頷き返し、その視線を政宗へと流す。

「政宗様におかれましてはお会いできて大変嬉しゅう御座いました。例え姿は見えずとも我は常に貴方様のお側におりますれば」

大倶利伽羅から政宗へと流された視線にはその言葉通り、懐かしさはあれど未練は微塵も感じられなかった。凛とした影秀の性格故か、はたまた自分に課せられた別の役目故か。

「これにて我も御前失礼致す」

影秀に続き再度遊士も頭を下げ、彰吾も同じように頭を伏せた。
ロープの先に繋がれた蓑虫状態の審神者を引き摺りながら本丸を去って行く三人の背中を眺めながら、政宗はふっと笑みを溢した。

「先の世には頼もしい奴らがいるもんだ」

「さすがはアンタの血筋。やることがいちいち派手だ」

「なんだ?それは褒めてんのか?」

「好きに受け取れ」
 
「主。そろそろ説明が欲しいのですが」

軽口を叩き合う二人に、いまだ話の見えぬ長谷部が眉間にしわを寄せて口を挟んだ。



結果として分かったことは二つ。
刀剣本体の消失は、過去の人間を審神者としたことで、刀剣に宿っていた本霊が元の持ち主の力に引き寄せられ、鍛刀を介して転移してしまったか。
また、審神者の条件緩和が生み出したブラック本丸。双方が同時に生み出された事で、ブラック本丸内にて分霊が覚えた危機感を無意識に察知した本霊が、安全な場所を求めた結果、刀剣本体ごと過去の持ち主がいる本丸に鍛刀を介して避難行動を図ったか。

影秀を護衛に再び集会に顔を出した遊士は方々から集められた情報を纏め、皆を代表してそう結論付けた。

「で、これからの事だが。どうする、御大」

「ふぅむ…そうじゃな。…皆はどうだ?」

「人間の都合で呼び起こしたとはいえ、刀剣男士も神の一種に違いありません。その意思は尊重されて然るべきかと」

「俺もそう思います。彼等が自分の意思で選んだのなら…」

それが自然な成り行きなら尚更。

あれだけ憤っていた相馬も同意を示し、その場にいた全員の意見も似たり寄ったりな内容で纏まった。
また、ブラック本丸に対する刀剣回収は政府が何らかの対策を講じるまでは引き続き続ける事で決まり、

それまでは…

「一思いに死ねること、幸福と知れ」

空気を裂くように振り下ろされた刀身から蒼白い光が迸る。次の瞬間にはバチリと何かが弾ける様な音を残して光が消えた。

「あ…?お前、婆娑羅が使えるようになったのか」

金の鋭い双眸に威圧されて身動きの取れなくなった審神者の意識を容赦なく刈り取った影秀を清々しい気持ちで眺めていた遊士は突然の現象に目を丸くして影秀を見やる。

「む…。どうやら先日政宗様から頂いた許可で力のリミットが外れたようだ」

許可と言うのは命令の事だろう。
影秀も意図せず発現した力に瞼を瞬かせ、冷静に己を分析した後、そう告げた。

「そうか。とりあえず…」

思わぬ雷撃を浴びせられたブラック本丸の審神者は完全に白目を剥いて伸びている。

「おーい、生きてるか?」

遊士の呼び掛けにも答えぬが、口許に手を翳せばどうやら呼吸はしているようだ。

「一応セーフ…か?」

「うむ」

「アウトですよ!どこがセーフに見えるんですか!」

とある本丸の庭で審神者に下された断罪の刃。その出鱈目な様子に唖然とする刀剣男士達を背に、いち早く我に返った彰吾が頷き合う二人に向かって咎めるように声を上げた。

「いや、でもな彰吾。今のはどう見ても不可抗力だろ」

「そうである。我もここまでするつもりは無かったのだ。その気があれば今頃こやつは黒焦げに…」

「いいですか、俺達はあくまでも秘密裏に動いている組織なんですよ。それをこんな派手にやれば証拠が……」

「分かった、分かった。以後気を付ける。な、影秀」

「善処は致す。…が、それも相手次第だ」

そのうち刀狩りの噂と共に、刀剣を粗末に扱う者には雷の天罰が下るという尾ひれが付き、それをまた噂で聞いたとある本丸の主は面白そうに笑ったとか。

のちに後手後手に回っていた政府が刀剣消失の原因を突き止め、それが副作用的に起きていた問題だと認識して頭を抱えつつも正式に『刀剣監査執行部』という部署を発足させた。
速やかにブラック本丸対策及び監視、刀狩りをしている者の捕縛を始めたのだが…。
その時になって政府は新たな問題が発生していた事実に気付く。

『顕現された刀剣男士の中に妙な力を行使するものがいる』と。

次から次へと発生する問題に政府の役人が忙殺される中で、その妙な力を行使する刀剣男士というのが、戦国時代に名を馳せた刀剣に集中しているという事に気付くのはまた後の話だった。



END.




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