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「Long time no see.天海、いや…明智 光秀と呼んだ方が良いか?」

「これはこれは、はて…誰かと勘違いなされているのでは?」

小早川と共に休憩室に現れた政宗の姿に天海は微かに目を見開いた。だが、すぐさまその動揺の色を消すと声を掛けて来た政宗に対し、天海は首を傾げてみせた。

「ha、まぁいい。お前が誰だろうと俺のやることに変わりはねぇ」

「何のお話でしょうか?」

尚も素知らぬ振りを続ける天海に政宗は視線だけで小早川を指すと、単刀直入に切り込む。

「お前が敵と内通してんのは分かってんだ」

視線で示された先にいる小早川に自然と天海の視線もそちらに向く。

「あ、あの、天海さま!」

そうしてぶつかった天海との視線に小早川は一瞬怯みながらも口を開いた。
その顔は迷いが晴れた顔で、真っ直ぐと何かを信じる意志が感じられる眼差しであった。

「やっぱり僕は間違ってると思う。こうして皆が日々を安心して過ごせる毎日が、僕の過去の失態何かよりずっとずっと大事だと思うから。だから、天海さまも…もう止めましょうよ」

天海さまが本当は何を願っているのか分からないけど、僕に出来る事なら何でもするからと、小早川は真摯に天海を見つめて訴えた。その様子に天海は何処か感心した様にほぅと声を漏らした。

「これは貴方の入れ知恵ですか」

小早川から外された視線が政宗へと向けられる。
問われた政宗は肩を竦める仕草で返し、逆に天海へと問い返す。

「まさか。俺は何も言っちゃいねぇ。コイツ自身が出した答えだろう。…で、その部下の言葉を聞いてアンタは何も思わねぇのか」

「そうですねぇ…金吾さんは相変わらずお優しい方だなと思いますよ」

「っ天海さま…!」

分かってくれたんだねと小早川が喜んだのも束の間、天海は口元に薄く笑みを掃き、その口から辛辣な言葉を吐いた。

「その優しさが時に貴方の判断を迷わせ、優柔不断にしている所、操りやすくて私は結構好きでしたよ」

「え?」

きょとんとして動きを止めた小早川に構わず、天海は政宗と対峙したまま手にしていた端末を操作する。

「どうやら金吾さんが全て喋ってしまったようですから、次の段階へ進みましょうか」

実は政府の造り出した異次元にその存在を隔離し、安全を担保している各本丸の事なのですが。

「内側からであれば、案外簡単に侵入する事が出来るということを知っていましたか?」

各本丸には住所の様に座標が割り当てられており、審神者が注文した物資等はその座標を元にして違うことなく注文した本丸へと届けられている。

「つまり、その座標さえ手に入れてしまえば本丸に奇襲をかけることも可能だと思いませんか?物資を兵隊にするだけで良いのですから、簡単な作業です」

この様にと、天海は操作し終えた端末の画面をこちらに見せて言った。
そこには意図的に造り出された異次元に隔離されている、とある本丸を示す座標の数字が羅列されていた。
しかし、部下であった小早川と違い、政宗にはこれだけでは理解出来ないだろうと天海は丁寧にも説明を付け加えた。

「この座標にある本丸の第一部隊はちょうど出陣中でして、残っている本丸の戦力はいかほどでしょうねぇ」

「てめぇ…そこまでして何が目的だ」

「もう止めましょうよ、天海さまっ」

「目的?はて…そうですねぇ。…代わり映えのしない毎日に飽きた、といった所ですかねぇ」

天海は首を傾げたあと、悪びれた様子もなくそう言い切った。
天海、いや明智 光秀にとってはあの混沌としていた日々が何よりも自分が生きていると実感できた刺激ある日々だったのだ。日々を代わり映え無く過ごす今の何と退屈で凡庸なことか。

「ha、そうかよ。相変わらず身勝手な野郎だ」

「貴方もでしょう」

「小早川、お前は邪魔だ。あの座標だか何だか知らねぇが、何とかして来い」

「えっ、うん!出来るか分からないけどやってみるよ!」

ピリピリと張り詰めだした空気を敏感に感じ取ってか、小早川は逃げるように政宗が口にした無理難題を飲み込んで素早く休憩室から踵を返す。その足で小早川は情報整備局のメインルームへと向かった。





そして、天海により座標を捉えられていたとある本丸には異変が起こり始めていた。

「っ、何だ?」

ジジッと空気が捻れるような耳鳴りなノイズが走ったかと思えば、庭に設置されていた転送陣が誰も触れていないのに勝手に起動していた。普通であれば現在出陣中の第一部隊の帰還かと思われたが、池に映る第一部隊はまだ敵と交戦中であり、鶴丸はそれが帰還の為に起動したものではないと瞬時に警戒を強める。

その耳に小十郎の冷静な声が続く。

「刀剣破壊が囮だったと考えた時、次に狙われるのが何か。それは本陣である本丸をおいて他にない。次に落とされるのはーー審神者の首だ」

そう、もっとも根本的な事だ。
刀剣男士は審神者の力無くして顕現することは出来ない。
万が一敵の真の狙いが大本である根源を絶つことであったら、敵はこの場に出現するという可能性が捨てきれなかった。そのような事例はとんと聞いたことはないが、小十郎に出陣の命が下ったと同時に現世でも物事は動き始めている。現世では政宗様が敵と接触中であろう。
その対応次第で何処で何が起きても不思議ではない。政宗様にはなるべく穏便に済ませるように釘は刺してあるが、あの方の事だから果たしてどうなることやら。

「いやはや…さすがは軍師殿だ。その読みは当たったようだな。嬉しくない事に」

怪しく明滅を繰り返す、今まで見た事もない反応を示す転送陣に目を向け、鶴丸は己の腰にある刀の柄に手を掛けた。

「で、俺はあそこから出て来る奴らを仕留めればいいんだな?」

すっと金の双眸を細めて言った鶴丸に小十郎は右の腰に挿していた刀を抜きながら答える。

「いえ、敵の狙いはあくまでも私の首でしょうから、鶴丸殿には私の援護をお願いします。私が討ち漏らした敵が本丸内に侵入せぬよう払って頂ければ」

「おいおい、ここまで聞かされてそりゃないぜ。軍師殿の腕を疑う訳じゃないが、アンタに何かあったら俺はアンタの主殿に顔向け出来ない。むしろその前に帰還して来る光坊達にどやされる」

「本来であれば貴方も守られる側の御仁です」

鶴丸だけをこの場に呼んだのは、伊達に関わりがあり、尚且つ鶴丸ならば巻き込んでも戦力としても申し分無いという判断からだった。

「一応譲歩しているということか」

問答をしている間にも強弱を付けて光っていた転送陣から禍々しいオーラと気配が溢れ始め、そこからふよふよと骨だけで蠢く短刀が姿を現す。赤く怪しく光る眼が審神者代理である小十郎の姿を認めると、尻尾のようにしなる胴体をくねらせ一気に加速して小十郎へと接近した。
既に迎撃態勢をとり、刀に碧い光を纏わせていた小十郎は自分に向かって飛来してきた敵短刀を一刀の下、真っ二つに両断する。その鋭い太刀筋に鶴丸はほぉと感嘆の息を漏らすと、何かに気付いて一瞬そちらに視線を流した。

「あー…残念ながら、軍師殿。この事態を知って黙って守られる程、うちの奴らは大人しくないぞ」

「何?」

先の発言通り、小十郎は敵短刀の襲撃から自ら前へと踏み込み、転送陣の設置されている側へと近付いて、次に現れた敵脇差と打刀二振りを相手に斬り結んでいた。その間にも転送陣からは短刀が湧き出し、禍々しいオーラを纏った太刀が転送されて来ていた。

そこへ、

「なっ!?おい、何だこりゃ、遡行軍か?」

「何でこいつ等がこんな所にいやがる!」

鍛錬場から審神者代理を訪ねてやって来た同田貫達が庭に広がっていた異様な光景を目に絶句する。
間も無くすらりと鞘から太刀を引き抜いた鶴丸が覇気を纏った声で指示を飛ばす。

「説明は後だ。こいつらを一掃するぞ」

「鶴丸!」

人の言う事を聞かず参戦してきた鶴丸に小十郎は思わず咎める様にその名を呼び捨てていた。しかし、鶴丸はにやりと笑うだけで、小言ならこれが終わったら聞くと、まるで誰かを彷彿とさせるような言動で小十郎の眉間に皺を増やしただけであった。また、鶴丸に呼びかけられた同田貫達も話が見えないながらも各々武器を手に参戦して来る。

「まったく、こんな所まで似なくて良いものを。…全員、軽傷以上の怪我はするなよ!」

鶴丸は小十郎へと斬りかかろうとしていた敵太刀の一振りをいなしながら片手を上げてそれに答える。

「了解」

和泉守もまた打刀へと斬り込みつつ返事を返し、山伏も自身の太刀を抜き放ち重々しく頷く。

「うむ、善処しよう」

人相を隠す布を取り払っている小十郎に、蜻蛉切は短く「心得た」と答えながらもやはりなと心の中で審神者代理の剣の腕に納得し、転送陣より新たに湧いて出た大太刀の相手をする為に槍を斜め下に構えた。
一人、返事を返さなかった同田貫は敵脇差と短刀を次々に斬り捨てると小十郎の側に立ち、好戦的な笑みを閃かせた。

「そいつはやっこさん次第だ」

結局、庭に設置されている転送陣を囲む形で陣形を取った小十郎はそのまま彼らを戦力として数に入れ、転送陣から溢れて来る敵と対峙することになった。





小早川を止めるでもなく余裕の表情を保ったまま天海は政宗と対峙する。

「てめぇの身柄はここで捕まえさせてもらうぜ」

「貴方お一人で?」

それは無理ですよと薄っすら口端を緩めた天海に政宗は鋭い視線を一瞬、天海の頭上へと投げた。それを合図に天井の蓋が開き、迷彩柄のズボンを履いた、隠密行動するにしては目立ち過ぎる細身の男が天海の背後へと降って来た。流れるような手捌きで天海の両腕を掴むと、背中側で腕を捻り上げ、あっという間に拘束してしまった。

「竜の旦那も相変わらず忍び使い、いや人使いが荒いねぇ」

天井から降って来て軽口を叩いたのは誰あろう猿飛 佐助だった。小早川をこの場から引き離したのも、何も座標の件があったからだけではない。佐助の存在はまだ伏せるべきという判断があったからだ。

「おや、貴方は…」

佐助の登場に天海は拘束されたまま目を見張った。
次いで、何か得心がいったというような表情を見せ、くつくつと不気味に笑い出す。

「そういうことでしたか…。いやいや、どうやら私も少し平和ボケしていたようですね」

「さ、洗い浚い吐いてもらうぜ」

佐助に拘束された天海に近付き、政宗は警戒を解かぬまま話を続けようとした。
だが、

「えぇ、貴方がたには感謝しますよ」

急に天海の足元から吹き出す様に立ち上った黒い靄が二人の視界を遮り、がらりと一変した生暖かい空気が頬を撫でる。

「猿飛っ!」

次の瞬間には政宗の耳にカキンッと甲高い金属同士が激しくぶつかる音が届いた。同時に政宗も懐に隠し持っていた短刀を引き抜くと素早く迎撃態勢に入った。

「くっ、何なのこいつ!」

鋭く空気を裂くような振動の後に黒い靄が切り裂かれ、その視界に黒い靄を纏った大鎌の様な武器を両手にした天海と苦無を両手に構えた佐助の姿がその独眼に映った。
政宗は短刀を手に天海に向けて切り込む。

「おっと…」

だがやはり短刀だけでは少し分が悪かった。
天海に肉薄するより前に、振られた大鎌によって打ち払われる。佐助も手持ちの苦無だけでは無理と見たのか、一度天海から距離を取った。
何より周囲へと広がった黒い靄状のものが意志を持ったかのように天海の周りへと集まり始め、大鎌へと纏わりつく。

「婆娑羅か…?」

明智 光秀といえば闇属性の婆娑羅持ちだったはずだ。

「それとは少し違う。アレはそんな生易しいもんじゃない」

政宗の呟きに、同じ闇属性持ちだった佐助が天海を見据えたまま瞬時にそう切り返す。
あれは怨念とか執念とかそんなドロドロとした負の感情の塊みたいな感じがすると、佐助は冷静な眼差しで分析する。
その間にも距離を取って構えた二人に向けて大鎌が振るわれた。

「ーっ!?」

たが、その凶刃の目的は二人ではなかった。
大鎌に纏わり付いた黒い靄が宙へと千切れ飛んだかと思えば、それは空気に触れて摩擦でも起こしたかの如く黒い靄の中で幾つもの赤い火花を散らす。瞬きの間に歪んだ景色に亀裂が走り、不協和音を撒き散らしながら四方に空間が裂けた。

そこから溢れ出した異質な空気が休憩室に広がる。生温い風が頬を撫で、ずるりと空間の裂け目から赤黒い靄を纏ったナニかがこちら側に姿を現した。

「っ、こいつらは…遡行軍!何で此処に…」

「hum…なるほど、これが遡行軍って奴か」

不穏な気配を纏い、赤い光を宿した瞳は爛々と輝く。骨だけで構成された身体をしならせ宙を自由に泳ぐ、その口にはキラリと光る短刀が咥えられていた。
暫し真田の本丸に滞在して遡行軍の姿を目にしていた佐助は、目の前に出現した敵の正体に目を見開く。
佐助の言葉に、政宗もその隻眼を細めて敵軍を観察するように睨み据えた。

「どうやらあの力は婆娑羅じゃなさそうだな」

「独眼竜。冷静な所、悪いけど…あれは普通の武器で倒せると思うか?」

「さぁ、やってみりゃ分かるだろ!」

話をしている間も敵は待ってくれない。空を滑空し、素早い身のこなしで二人に接近して来る。その数、六振り。
政宗の死角を狙うかのように左から素早く接近してきた敵短刀に舌打ちを一つ。政宗は右手にしていた短刀で敵短刀を斬り捨てるべく腕を振り上げる。――が、嫌な予感程当たるものだ。

「Shit!まるで手応えがねぇ。どうなってやがる」

確かに迎撃に出た短刀は鋭く敵の胴体を捉えたが、斬った瞬間の感触が無い。まるで空気を擦り抜けただけのような虚しさを残して短刀は空を斬った。それでいて敵の攻撃は政宗達に通じるというのか、浅く切り裂かれたシャツの袖口に政宗はもう一つ舌打ちを打つ。

「ふふふ…、無駄ですよ。何故政府がわざわざ霊力を持つ人間を探し出しているのだと思いますか?刀剣男士なるものを顕現させているのも…ただ単に彼等が時空の圧に耐えられるからというだけでは無いんですよ」

素早く敵との距離を取った政宗に、何処にそんな数の苦無を忍ばせていたのか佐助が追撃をかけてきた敵短刀に向けて両手の指に挟んだ八本もの苦無を投擲した。

「やっぱりこいつ等の相手は刀剣男士じゃないと無理ってこと?」

どういう仕組みになっているのか、佐助の投げた苦無は空中を自由自在に泳ぎ回る敵には掠りもしない。

「さて、私はそろそろお暇させて頂きましょうか。これでも忙しい身なので」

こちらの攻撃が通じないことを確認した天海は、自身の勝ちを確信した表情で告げる。

「っ逃がすか!」

そう言って身を翻そうとした天海に向けて、佐助は敵短刀から狙いを天海に変えて苦無を投げる。だが、狙いが分かっていれば落とすのも容易いと、天海の持っていた大鎌によって阻まれる。

何の為の審神者か。何の為の刀剣男士か。

その数秒にも満たない攻防の合間に思考を巡らせていた政宗はハッと何かに気付いて、目を見開く。口許には淡く弧を描き、瞳を細めて己の右手へと視線を落とした。

「…いるじゃねぇか。戦力ならここに」

佐助に無理を強いて施設の地下から奪取させた、己の短刀。
現在進行形で続いている事件のせいで本丸には小十郎を代理として遣わしたが、本来の主は政宗である。つまり政宗自身が審神者であるのだ。

「ちょっと、独眼竜!早くどうにかしないと」

「Wait!」

この場の条件を再度確認する。
何処か変質した空気に、何処からか呼び出された遡行軍。
対抗できるのは審神者に呼び起こされた刀剣男士のみ。
そして、此処には審神者も刀剣も揃っている。
ならば、こちらも同様の行使が可能なはずだ。
政宗は自分に向かってくる敵短刀と天海の事を一度意識の外に追いやり、息を吸って吐く。言霊に力を乗せてその名を口にした。

「ーーWake up、太鼓鐘貞宗っ!」

右手に握っていた短刀が政宗の呼びかけに応える様に眩い光を放つ。
一瞬の空白の後、政宗に迫っていた敵短刀は真っ二つに斬り捨てられ、ひらひらと政宗の眼前で桜の花弁が舞った。

「俺をお呼びかな?皆の貞ちゃん、太鼓鐘貞宗参上だぜ!」

政宗よりもだいぶ背の低い少年が桜の花弁を撒き散らしながらその場に現れた。

「あれ?あんたは…」

「積もる話は後だ。連中を一掃するのを手伝え、貞宗」

何かを言いかけた貞宗の言葉を遮り、政宗はもう一つの攻撃を試す為に油断なく短刀を構えた。ピンと張った空気を読んでか、言葉を引っ込めると太鼓鐘も自分達を囲む敵に向き合う。
政宗の手に握られた短刀はあくまでもそれが本霊の宿る短刀である為、審神者の力で顕現された分霊である太鼓鐘貞宗が形をとってもその手から消える事はない。

「猿飛。お前はそのまま明智を追え」

これからその道を切り開く。
太鼓鐘は政宗からの合図を大人しく待っている様子で佐助はちらりとそんな太鼓鐘を視界に納めると、了解と短く答える。

「行くぞ、貞宗!」

「はいよ!」

政宗と太鼓鐘は同時に動いた。政宗の握る短刀にはいつの間にか青白い光が発現し、その影響か太鼓鐘の纏う空気にばちりと雷鳴が混じる。太鼓鐘はその現象に一瞬驚いた様子であったが、直ぐに順応すると楽し気な笑みを閃かせて、自身の握る短刀にもその力を乗せた。

「そらよっ!」

「ha…っ!」

敵短刀は太鼓鐘の振るった短刀によって感電した様に黒焦げになり、その姿は地に着く前に空気に溶ける様にしてふわりと消える。政宗の手によって斬り伏せられた敵もバチバチと蒼白い光を残して跡形もなく消え失せた。

「なるほど、婆娑羅が使えるなら…」

二人が切り開いた道を抜けて、佐助は天海の背を捉えるべく廊下へと駆け出す。
走りながら胸の前で印を結ぶと佐助は婆娑羅を発動させ、自分の両隣に現れた人影に向けて内心で指示を飛ばした。

一人は影潜りを使用して先行する明智を追い、もう一人は有事の際に施設の外で待機しているお館様と謙信公に状況伝達を。特に明智がこの建物から外に出るような事があれば、確実にあの二人が動いてくれるだろう。



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