03


下着ごと身に着けていた服を取り払われ、遮るものの無くなったソレを直に刺激される。

「ぁ…っ、んっ…ん…」

自分の口から上がる高めの声に、圭志は目元を赤く染めて極力声を殺す。

「はっ…、こんな時ぐらい素直になれよ」

眉を寄せ、震える吐息を吐き出しながら耐える様子が逆に京介を煽った。

意図的に京介の手の動きが速くなり、それに併せて圭志の呼吸もますます乱れる。

「…っ…はぁ…ぁ、くっ…」

「良いか?」

言葉で答える変わりに、圭志は京介の背に爪を立てた。

「―っ!てぇ、お前…」

「はっ…ぁそんで…ねぇで早くしろっ、…っぁ…」

素直になるにはまだ時間も心の準備も覚悟も何もかもが足りなくて、今の圭志にはこれが精一杯だった。

「仕方ねぇ、今日はそれで許してやる」

減らず口を叩く圭志に京介はフッと笑って、添えていた右手の親指でその先端に強い刺激を与えた。

「ぁ…ぁぁっ…ぁっつ!!」

ビクリと圭志の身体が震え、手の中にあったモノが弾ける。圭志の唇からは堪えきれなかった声が漏れた。

「…っはぁ…はぁ…」

熱を吐き出した後特有の気だるさに圭志は瞳を細める。

「可愛い奴」

その姿に京介は口元を緩め、愛しそうに圭志を見つめた。

「…誰がっ…馬鹿じゃ…ねぇ…」

そんなこと言われた事ねぇよ、と圭志は京介の視線から逃れるように顔を背けた。

横を向いた事で、露になった耳に京介は唇を近付ける。

「お前の可愛さは俺だけが知ってりゃいいんだよ」

カッと圭志の耳が赤く染まる。そして、京介の右手が後ろへと移動した。

「…っ!」

この感触を味わうのは二度目だ。それも相手は同じ。

ぐっと中に侵入してこようとする指先に圭志は違和感と圧迫感を感じて眉を寄せる。

「キツいな…。痛かったら言えよ」

ローションの代わりに圭志が吐き出したモノを使って京介は指を押し進めた。

「…くっ…ぅ…」

息を吐き出し吸う。次第に違和感もなくなり中が解けてくる。

少しばかり余裕を取り戻した圭志は京介の背に回していた腕を解いて、京介のバックルに指をかけた。

カチリとベルトを外す。

「圭志…?」

引き抜かれたベルトに視線をやり、それでも手は止めずに京介は圭志の名を呼んだ。

「っ…、はっ…お前も脱げ」

俺だけなんて不公平だ、と圭志は京介のスラックスに触れた。

「好きにしろよ」

京介は楽しそうに笑って言い、圭志の好きなようにさせた。

「ぅあ…っ…はっ…ぁ…」

その間にも京介は指を増やし、中をかき混ぜるようにバラバラに動かす。

「…っ…何か…ぁ!」

「お前のイイとこはここか」

ニヤリと京介が笑い、圭志の背にゾクリと震えが走った。
一度外した腕を京介の背に回し、圭志は息を弾ませ堪える。

「くっ…はぁ…ぁ…んっ!…」

京介の与える刺激にビクリと反応し、必死に堪える圭志の姿に京介も限界が近い。

「は、…もういいか…」

「…っ!」

十分解かしきった秘孔から指を抜き、クッションを圭志の腰の下辺りに差し入れる。

「圭志」

自身を圭志の秘所にあてがうと京介は圭志に視線を投げた。

情欲も露に、向けられた瞳に圭志は息を詰め、それでもはっきりと言葉を口にした。

「―っ、来いよ」

その瞬間、ぐっと圧迫が圭志を襲う。

「うっ…っ…ぁ…」

解され、痛みはないがこれだけはどうにもならない。

「…はっ…圭志、力抜け…」

「んっ…はっ…は…」

圭志は何とか深呼吸を繰り返し、力を抜いていく。

「…ぁ…っ…っう…」

ぐっと中へ中へと押し入ってくる熱い熱に圭志は京介の背に爪を立てる。

「もう少し…っは…我慢しろ…」

京介は圭志のモノに指を絡め、ぐちゅぐちゅと上下に動かす。

「あっ…ふっ…ぁ…」

新たな刺激に圭志の身体が戦慄き、力の抜けた瞬間京介は奥へと腰を進めた。

「〜っつ!」

「はっ、…全部入ったぜ」

そう言って京介は空いている方の手で汗で張り付いてしまった前髪を掻き上げた。


何気ない京介の仕草に圭志の鼓動が跳ねて、中を締め付けてしまう。

「―っ、圭志…」

「は…っ…わざと…じゃねぇ…。それより…さっさと…」

不可抗力とはいえ、締め付けてしまった事で尚更中に京介をまざまざと感じてしまい圭志は早口になる。

どくどくと自分とは違う熱が自分の中で脈動している。

その熱に浮かされて余計な事を口走りそうだ。

「お前がそう言うなら…」

遠慮はしねぇ、と京介は圭志の耳元に唇を寄せて囁いた。

「んっ!…ぁっ…っ…」

耳に流れ込む甘い声音にふるりと身体が震え、身体の奥まで京介に攻め立てられる。

深く繋がった場所からはぐちゅぐちゅと湿った水音と肌のぶつかる乾いた音がして断続的に圭志の鼓膜を揺らした。

「ふっ…ぁ…ぁっ…っ…」

「…はっ…っ、圭志…やっと手にいれた。もう…離さねぇ…」

想いを言葉に乗せ唇を重ねられる。圭志は京介の想いを受け止めるように自ら京介の深い口付けを受けいれた。

「んっ、んん…っ…はぁ…」

その言葉通り、圭志の目の前には愛しさを湛えた京介の瞳がある。

もちろんそこに写っているのも…。

「きょ…すけ…」

コトリと自分の中の何かが満たされ、溢れ落ちる。

互いを繋ぐ銀の糸。離れていく京介を押し留める様、圭志は京介の背に回していた腕に力を込めた。

そして圭志は自然とふわりと柔らかい笑みを溢していた。

「…ぁあ…っ…くぅ―」

身体の奥で熱い熱が弾ける。

「はっ―――」

弾けた熱が、内側からジワリジワリと圭志の中を侵食していく。

「っはぁ…はぁ…っ…」

情事後特有の気だるさを感じて圭志は目を閉じた。

「はぁっ、…圭志、抜くぞ」

ゆっくり瞼を押し上げて、圭志はまだ自分の中にいる京介に頷き返した。

「―っう!」

ズルリと秘所から抜かれた微かな振動でさえ今の圭志には辛いものがあった。

同時に白濁したものが圭志の足を伝って落ちる。

「…大丈夫か?」

「そう、見えるか?」

結構いっぱいいっぱいだった圭志はソファーが汚れるのも構わず身を沈めた。

そんな圭志に京介は苦笑を浮かべ、乱れた圭志の髪に触れる。

「圭志、休み明けたら荷物持って来い」

「俺に此処に住めって?役員でもねぇのに良いのかよ」

髪をすいていく指先を心地好く感じ、僅かに口元を緩めた圭志は聞き返した。

「構わねぇ。ここでは俺がルールだ」

「思いっきり職権濫用じゃねぇか…」

「フン、言いたい奴には言わせとけばいい。俺はお前を手元に置きたい、それだけだ」

すっと髪に触れていた手が離れ、圭志の首筋に咲いた紅い華を撫でていった。



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