06


暗幕の引かれた薄暗い部屋に小柄な少年達と、見るからに不良だと分かる青年達が集まり怒鳴りあっていた。

「いくら出したと思ってるの!!黒月一人始末できないなんてっ!!!」

「しかも風紀に見られて…、京介様にバレたらおしまいじゃないか!!」

「この役立たず!!」

怒鳴り合いと言っても一方的に少年達が叫んでいるだけである。

しかし、最後の言葉に不良どもも黙っていなかった。

「なんだと?」

「今まで手を貸してやったのは誰だと思ってんだ?あぁ?」

その時、張り詰めた空気を破るように扉が開けられた。

「面白い話をしてるね?」

そこには愉快そうに笑う、少年が立っていた。

「誰だてめぇ?」

今にも少年に殴りかかりそうになっていた不良が、いきなり現れた少年を睨み付ける。

「僕?そうだな、僕は君達の味方かな?」

そう言ってくすり、と笑った少年はゆっくりした動作で部屋の中に入ってきた。

そして、輪の中心にいた少年の前で立ち止まる。

「隊長の甲斐 岬は?」

少年は得体の知れない相手に怯えつつ答える。

「ぁ…、その、謹慎中の雅也の所に」

「そう」

一人笑みを浮かべたまま納得している少年の胸ぐらを不良が掴み上げる。

「てめぇここに何しに来た?俺等の事告げ口に来たなら容赦しねぇ」

「いやだな、そんなことするわけないじゃないか。言ったでしょ?僕は味方だって」


「名前もなのんねぇ奴が味方だぁ?信じられるワケねぇだろ」

掴み上げた胸ぐらをギリギリ絞められていくのをみて、慌てて少年が止めた。

「ちょ、ちょっと待って!!話だけでも聞いてみる価値はあるかもしれない」

解放された少年は表情一つ崩さず、乱れた衣服を整えた。

「こほん。そんな警戒しなくても僕は告げ口なんて絶対しないよ。僕も黒月 圭志に消えて欲しいと思ってる一人だからね」

そう言い切った少年の言葉に嘘はない。

「どうして?」

そう聞いた少年に少年はにっこり微笑む。

「色々あるのさ」

「…それって俺達に協力したいってことか?」

「そうとってもらっていいよ」

その微笑みを不良にも向けて頷いた。

「まぁ、隊長さんもいないことだしまた今度来るよ」

どうすべきか悩んでいる面々を見回し少年は踵を返す。

「あ、そうそう。僕の事は仮にソウって呼んで。じゃ」

ひらり、と手を振り少年ソウは部屋を出ていった。



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