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京介の手によりイかされた圭志はその後特有のだるさを感じながら乱れた呼吸を直し、なんとか口を開く。

「て、めぇ…はっ…よくも…」

力が入らないのか抑えていた手を外しても圭志から拳が飛んでくることはなかった。

京介は圭志の出した欲で汚れた上着をベットの下に放り投げながら言う。

「気持ちよかっただろ?」

「ふざけんな!!誰がっ…」

京介は下に着ていたシャツも脱ぎ捨てると仰向けだった圭志の体を反転させ、うつ伏せにしたその上に跨った。

「…っ、てめぇ!?」

「こうしなきゃ両手が使えねぇだろ?」

手を解放されても攻撃範囲内に相手がいなければ相手を引き剥がす事も殴り飛ばす事も出来なかった。

圭志は手近にあった枕を掴むと後ろから覆い被さろうとしていた京介に向かって投げ付ける。

「おっと、あんま抵抗すんとそのまま突っ込むぜ?」

枕をキャッチし、京介は圭志の臀部を確かな意図を持って触る。

その言葉に圭志は若干青ざめた。

「馬鹿止めろ!!冗談じゃねぇ!!さっさと退け!!てめぇになんざ誰が抱かれるかっ」

「はっ、口の減らねぇ奴だな。俺にイかされた癖に」

それに、と京介は続ける。

「何と言おうとお前は今から俺だけのネコになるんだぜ」

どこからともなく取り出したジェルの蓋を開け、京介は往生際悪く叫ぶ圭志の秘所に指を一本挿入させた。


その冷たさと、本来そのような事に使用される器官ではない部分が異物が侵入してきたと体が反応し圭志の体がこわばった。

「…っ、気持ち悪ぃ。抜けよ!!」

「お前も知ってんだろ。すぐ熱くなってよくなる」

京介は中に入れた指をぐるりと動かし圭志のイイ所を探す。

その間も圭志は顔を歪め京介の手を逃れようと身をよじった。

しかし、…。

「―っあ!!…やっ…め…ぁ…」

苦しげな表情を浮かべていた圭志の顔が、ある一点を霞めた時快楽に擦り代わり艶を帯た嬌声が口から溢れ落ちる。

「ここか…」

「っぁ…ぁ、あ…きょ…け…やっ…」

にやりと笑い京介はその一点を集中的に攻め立てる。

「…はっ…ぁあ…くっ…そ…んぁ…」

「いい加減落ちちまえ。楽になれるぜ」

背後でそう囁く京介の言葉が霞がかりそうになった圭志の意識を引き戻す。

「はぁ…ぁ…んっ、俺はっ…お前に…」

「俺に?」

「…ヤられ…よう、が…はぁ…ぁっ…ぜってぇ、落ちねぇ」

息を弾ませ、唇から嬌声が溢れ落ちても圭志は心だけはやらない、従わない、とかすれそうになる声で告げた。

「くくっ、その虚勢いつまで持つかな?それに、体から陥落させてくって手もあるんだぜ?」

それで最後に心ごとお前を貰う、と京介は圭志の耳に吹き込み秘所に入れていた指を更に増やし、ぐちゅぐちゅと態と音を立てて掻き混ぜた。


「…はっ…ぁ…んっ…はぁ…ぁあ…」

「…これぐらいで大丈夫だろ」

京介は指を引き抜き、自身のベルトを外すと前を寛げ、圭志の秘所にあてがう。

「…はぁ、っ。きょうす…けぇ…て、めぇ…」

圭志はその感触にふるりと背を震わせ、背後から覆い被さる京介を睨み付け低い声で唸る。

「痛い思いしたくなきゃ力抜いてろ」

ぐっ、と腰を押し進め京介は眉間に皺を寄せる。

「…っ!!いっ…はっ…ぁ…」

「力抜け」

京介は右手を前に回し、圭志の意識を反らせようと萎えてしまった圭志のモノに刺激を与えてやる。

「っあ…はぁ…ぁ…んっ…」

圭志の体から力が抜けたのを見逃さず、京介は一気に腰を押し進めた。

「――っ!!…はっ…ぁっ…くっ…」

「はっ…、圭志入ったぜ」

「さぃ…あくっ…んぁ…あっ…ちょ…まっ」

京介は圭志の制止の声も聞かず、律動を開始する。

「はっ…きっつ…」

「…っぁ…ぁ…はっ…」

圭志は初めて感じる強烈な快感にシーツを握り締め、目を固く閉ざして堪える。

それが余計に感覚を鋭くさせ、中に入っている京介のモノをリアルに感じてしまい思わず締め付けてしまった。

「……っ、はっ…圭志、お前」

思わぬ圭志の締め付けに京介は息を詰め、イきそうになるのをなんとか堪えた。


しかし、今まで一度も受け身になったことのない圭志は、京介からもたらされる強烈な快感をどうにかして体から外に逃がそうと必死で京介の声は届いていなかった。

ぎゅぅっとシーツを掴み、体を震わせる。

「ゃ…っ、ぁ…ふっ…んっ…」

「圭志」

京介も余裕があるようにみせてはいるが、実際のところそんなものは欠片もなかった。

「…っは、そろそろ…イくぜ」

圭志の腰を掴み、自身をぎりぎりまで引き抜くと勢いよく最奥に叩き付けた。

「ぁ…っく…ぁぁあ――!!!」

「……っ」

圭志がイくと同時に京介も圭志の中へと欲を吐き出した。

「…ふっ…はぁ…ぁ…んっ…」

「…っ…はぁ、圭志」

体を弛緩させベットに沈んだ圭志は乱れた呼吸を正常にもどそうとせわしなく肩を上下させる。

「圭志」

京介は背後から圭志を抱きしめ、その名を呼ぶ。

「…はぁ…何だ…よ…このっ…んぁ」

言ってる途中で抱き締める腕の力が緩んだと思ったら繋がったまま体を回転させられ、仰向けにさせられる。

「顔見せろ」

いつもの不敵な笑みではなく、うっすら額に汗をかきその瞳に欲情の色を灯し男の顔をして見つめる京介に圭志の背にぞりくといいしれぬ何かが走り抜けた。

「……っ、」

「くっ…だから、いきなり締め付けんな」

京介の顔が快楽に歪む。

それを見た圭志は今感じたよからぬ感覚を振り払うように口を開いた。

「…はっ、ざまーみろ…」

京介は挑発的な圭志の行動に、舌舐めずりをして圭志の顔の横に両手をつくとぐっと腰を突き動かす。

「うぁ…っ…ぁあ…」

イった後の敏感になっている圭志の体が跳ねる。

瞳から涙が溢れ落ち、眉を切なそうに寄せ圭志は喘いだ。

「はっ…その顔すっげぇクる」

「ば…か…ぁあっ…やっ…ん」

再び律動を開始した京介に圭志は右手を振り上げる。

しかし、ろくに力の入っていない拳は京介に捕まれ京介の首の後ろに回された。

「捕まってろ。間違っても首絞めたりすんじゃねぇぞ」

にやりと笑って京介は圭志に口付けた。

「ふっ…んんっ…ぁ…はっ…」

(くそっ、何で俺が…女みてぇな声だして、こいつに抱かれなきゃなんねぇんだ!!)

「んっ…、圭志」








圭志はその夜、京介から与えられる熱い熱に翻弄されながらも意識が飛ぶまで抵抗し続けた。


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