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各自部屋に戻り、汚れた服を着替えて、ホテル内に借りた小会議室で生徒会の面々は話し合う。

「だから俺は生徒会じゃねぇし」

その場には何故か圭志と明の姿が…。

「お前には重要な話があんだよ。まぁ、聞きたくないなら別に聞かなくてもいいが、その後後悔しても知らねぇぜ」

そう言って京介が意味ありげな事を言うので仕方なくついて来たのだ。

「黒月、先に謝っとく。ごめん」

「は?」

隣に座る明は意味不明な事を言ってくるし、圭志は意味が分からず首を傾げた。

その間にも皐月が誰がどのカプセルを手にしたか京介に報告している。

それにちょこちょこ静と宗太が意見を出し、話し合っていた。

「最後に、生徒会で手に入れたカプセルは全部で22個です」

詳細は会長達が黒7、白1
静先輩達が赤1、緑1、紫4
僕達が黄7、紫2

皐月が読みあげると京介はまぁまぁだな、と感想を言って圭志に視線を向けた。

「それでだ、このゲームをするにあたって生徒会内にもルールがあってな」

「だから何だ?そんな話をするために俺を連れて来たのか?生徒会じゃない俺には関係ねぇだろ」

もったいぶって言う京介に圭志がそう返す。

「残念ながら俺と組んだ時点で交流会中は生徒会と同じ扱いになる。もちろんゲーム中でもな。つまり、お前もこのルールには従わなければならない」


それで?と圭志は京介に先を促す。

「知っての通り、宝の内容は俺達生徒会の物が入っている。一般生徒がそれを手にした場合は問題無いが俺達が手にした場合は異なる」

例えば、生徒会に属するとある人物が誰にも自分の物を取られたくないと考えて自分で全て回収してしまう。

だが、それではゲームにならないし参加したとは言えない。

そこで、生徒会に属する者が自分の物を手に入れた場合、それは組んでいるパートナーの物となる。

「………」

「わかったか?お前が回収したアレは全て俺の物になる」

京介はにやりと笑って言った。

「謀ったな、てめぇ!!」

圭志はがたん、と椅子から立ち上がり忌忌しそうに京介を睨みつけた。

「人聞きの悪い事言うな。大体、聞かなかったお前が悪ぃんだぜ」

「誰が知るかンなもん!!」

圭志の怒鳴り声が響く中、宗太は京介に冷たい視線を送り、皐月はどうしていいかわからず京介と圭志を交互に見やって、静は楽しげににやにやと二人のやりとりを聞いていた。

そして、圭志の隣に座っている明は肩を落として圭志に同情していた。


「俺は絶対嫌だからな。勝手に賞品にされた挙げ句、命令されんのなんて」

京介を睨みつけて圭志は断固拒否する。

それに京介はフッと笑う。

「だろうな。そこで俺が特別にお前にだけ異例の許可をしてやる」

腕組みをして京介は続けてそう言った。

「……何だよ」

「俺の言うことを一つ聞けばアレは使わないで処分してやる」

その言葉に圭志はいぶかしげな表情を浮かべ思案した。

「とりあえず先にお前の要求を聞こう」

言うことを一つ聞けばアレは使われずにすむが、京介の要求がアレに等しいものだったなら別の方法を考えなければいけない、と圭志は思考を巡らせながら京介の言葉を待った。

「そんなたいした事じゃねぇ。今夜のパーティーでお前が女役を演じればそれでいい」

「なっ!?それはこの前言っただろ!!俺はやらないって!!お前だって了承しただろ!!」

一週間前に生徒会室で交した会話を指して圭志は言う。

「俺はあの時考えてやると言っただけだぜ?了承した覚えはねぇな」

同じような言葉を、圭志が去った後の生徒会室で聞いていた宗太と皐月はこの時、あの日から今日まで全て京介に仕組まれていたのかと、圭志に同情の眼差しを向けた。


同情されているとは知らない圭志は京介に食ってかかる。

「絶対嫌だ。俺はやんねぇからな」

「なら、俺はアレを思う存分使わせて貰うぜ?」

「黒月、嫌でも受けた方がいいんじゃないか?こいつの事だから命令券とか使って今夜抱かれる事になるぞ」

二人の言い合いに傍観していた静が口を挟む。

「フッ、そうするか圭志?俺の下で声が渇れるまで鳴くか?」

瞳を細め、ゆるりと口端を上げて京介は圭志に視線を投げる。

「〜〜〜っ、それこそごめんだ!!」

「じゃ、黒月女装決定だな」

静は中指で眼鏡のブリッチを押し上げて、にっこりと笑った。






会議終了後、嫌がる圭志を連れて明と皐月は生徒会専用のメイクと衣装係の待つ部屋へと移動していった。

「京介、貴方始めからこうなる事を知っていましたね?いえ、寧ろ仕組みましたね」

「さぁな」

圭志達とは別の部屋に向かいながら宗太は京介に確信を持って聞くが、京介は取り合わずにはぐらかした。

「宗太。こいつがあっさり白状するワケないのは分かってんだろ?」

宗太と違って現状を楽しんでいる静は目の前の扉を開けた。

「お待ちして下りました。神城様、佐久間様、渡良瀬様」

中には数人の男女が待ち構えていた。

「あぁ、準備してくれ」

京介がその中の老紳士にそう言うと、老紳士はかしこまりました、と頭を下げ、周りで待機していた他の面々に指示を出し始めた。



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