03


side 圭志、京介


圭志は部屋に入るなり荷物をソファーの横に置き、自分はベッドの端に座って上半身を倒した。

「なんか、ここに来るだけで疲れた」

圭志はベットに仰向けに倒れたままポツリと呟く。

「まぁそうだろな。なんたって俺達と一緒なワケだし」

京介は自分の荷物を適当な場所に置くと冷蔵庫から冷えた缶コーヒーを二本取り出す。

「ほらよ、飲むだろ?」

その一本をベッドに転がる圭志に向かって投げる。

「わかってんなら俺から離れろ」

缶をキャッチすると上体を起こす。

「だから今更だって言ってんだろ。それに、交流会が終わったとしても同じクラスなんだ今から慣れとけ」

「そうだった。この一週間クラスに全く顔出さねぇから忘れてたけど俺と一緒だったんだな。しかも隣の席だし」

圭志は缶に口を付けつつ言う。

「フン、これが終わったらクラスにも顔出すさ。なんたってお前がいるしな」

京介は飲みかけの缶をリビングのテーブルに置くとベッドの端に座っている圭志の元に歩み寄る。

「別に出さなくていい。その方が平和に過ごせそうだ」

「平和?クラスじゃ明の親衛隊長に睨まれてるくせに?」


「あんな奴どうってことない。近いうち片付ける予定だ」

「ふぅん、なんなら俺が片付けてやろうか?」

京介は楽しそうに口端を吊り上げて言った。


「どういう風の吹きまわしだ?」

圭志は京介を見上げて問う。

「別に何となくだ。そんな奴に構ってる暇があるなら俺の相手しろよ」

京介は圭志の手から缶を奪うとサイドテーブルに置き、圭志を押し倒す。

「何すんだてめぇ」

両手をベッドに押さえ付けられ圭志は京介を睨み付ける。

「安心しろ、まだヤったりしねぇから」

「当たり前だ。俺がそう簡単にヤらせるワケねぇだろ」

睨み付ける圭志の首筋に顔を埋めると京介はきつく吸いあげる。

「…っ」

ちくりとした痛みを感じて圭志は眉を寄せた。

「綺麗についたな」

「ばっ…!!お前何勝手につけてんだよ!!」

じっと自分で付けた痕を見ながら言う京介に圭志は唯一自由な足を振り上げて攻撃する。

だが京介はその前に圭志から距離をとり、当たることはなかった。

圭志は首筋を右手で抑えて言う。

「コレは何のつもりだ?」

「何って明の親衛隊を手っ取り早く片付ける方法だ」

「はぁ?」

「お前が俺のモノだと分かりゃ納得するだろ」

「…馬鹿じゃねぇの。誰がそんなんで信じるか」

「なんならそいつの前で熱いキスでも交してやろうか」

京介は離れた距離を詰めて、圭志の顎に手をかける。


圭志はその手を払いのけると立ち上がり言う。

「どっちにしろそんなことしねぇし、無駄だろ。あいつ、食堂で俺達のやりとり見てたけど相変わらずだし」

京介は払われた手をポケットに突っ込み肩を竦める。

「あれはお前が抵抗したからだ」

「何言ってやがる。別にそんなこと関係ねぇだろ。それに、実際あいつの前でキスはしたんだ」

「ただし軽いやつをな。俺としてはお前が音を上げるぐらいのをかましてやろうと思ったんだが」

「…とにかくやんねぇから。お前は手ぇ出すな」

圭志は缶を手に取りリビングに行ってしまった。



その後ろ姿を見ながら京介は笑う。

「フッ、そんなことどうでもいいさ。今はお前にシルシをつけられたってことだけでな」





その後、それぞれ適当な服装に着替え30分後、再びロビーに集合した。


[ 18 ]

[*prev] [next#]
[top]



- ナノ -