02


side 宗太、皐月

部屋に入り、荷物を持ったまま皐月は窓辺に近寄ると感嘆の声をもらす。

「うわぁ〜!!宗太先輩、窓から海が見えますよ!!綺麗だなぁ」

宗太はソファーに荷物を置くと、皐月の横へ行き一緒に窓の外の景色を眺める。

「そうだね。時間があったら後で海を見に行こうか」

「はい。あっ、会長達も誘っていいですか?皆で行ったら楽しそうだし」

皐月はちょこんと首を傾げて隣に立つ宗太を見上げた。

それに宗太は苦笑して、皐月の前髪をかきあげると、額にキスを落とし、優しく言った。

「いいですよ。本当は皐月と二人きりで行こうって意味だったんですけどね…」

皐月はその言葉に真っ赤になると慌て始める。

「あっ、その僕…」

「いいんですよ、そんなに慌てなくて。私は皐月が楽しいならいいんですから」

くすりと笑って皐月の髪を撫でる宗太に、皐月は一生懸命背伸びをして宗太の頬にキスを返す。

「気付かなくてごめんなさい。でも、僕だって先輩が楽しくないと嫌です」

「うん、そうだね。じゃぁ、今日から二日間一緒に楽しくやろうか」

「はいっ!!」

皐月は宗太に満面の笑みで頷いた。











side 明、静

2人は部屋に入るとそれぞれの荷物をソファーに置き、備え付けの冷蔵庫から飲み物を取り出す。

「あ〜ぁ、何でまた手錠なんてするんだよ」

明は冷蔵庫の前で缶のプルトップを開けながら、ソファーに座って飲み物を飲んでいる静に文句を言う。

「そりゃ、楽しいからさ。それにこれを機にカップルが誕生することもあるから、その手伝いも兼ねてだな」

しれっとそううそぶく静に明は理解できないと、眉をしかめた。

「同じ男相手に恋愛なんてよくできるよな…」

「お前はずっとこの学園にいるくせにちっとも染まらないよな」

静はそう言って飲み干した缶をテーブルの上に置くと、冷蔵庫の前に立っていた明の元へ行く。

「明がそんなんだからからかいたくなるんだ」

「別にいいだろ。静には関係ないんだから」

明はふい、と静から顔をそらして言う。

静は明のつれない態度にくすりと笑うと、明の顔の横に両手をついて顔を近付ける。

「なんなら俺がお前に男を教えてやろうか?」

明は静の言葉にカッと赤くなると静をおもいきり突き飛ばす。

「ふざけんな!!」

突き飛ばされた静はよろめきもせず、眼鏡のブリッジに手をやると肩を竦めた。

「まっ、冗談だけどな」

「あたりまえだ!!」

明は肩を竦めてソファーに戻っていく静の背を睨みつけながら心の中でこう呟いた。

(だからこいつは嫌なんだ…)



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