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くたりと荒い息を吐き出し、肩に寄り掛かってきた圭志に京介は優しげな笑みを浮かべる。
すぐ真横にあるこめかみに口付けを送り、片手で圭志の腰を抱き寄せると零れた蜜で濡れた指先を圭志の秘所に潜らせた。

「ぁっ…ぅ…」

つぷりと指先を一本侵入させると、ようやく圭志も気付いたのか声を漏らして頭を持ち上げる。

「京介…っ…お前、卑怯だぞ…」

そして熱に潤んだ瞳が煌めいて京介を睨む。
一時でも深い快楽を味わった身体はその感触を忘れられずに、京介の指先に反応してびくびくと震える。

睨み付けてきてはいるがそれとは裏腹に京介に応えようとする身体に京介はふっと唇に弧を描いた。

「なんとでも言え。本気で嫌なら抵抗しろ」

くぷりと二本目の指先を沈められ、圭志は京介のシャツを掴んだままふぃと顔を反らす。
身体の奥深くを開かれる違和感に瞼を閉じ、京介に合わせるよう圭志は呼吸を整えた。

「…嫌なわけ、ねぇだろ」

その行動に紛れるように微かな吐息が空気を揺らし、密かに京介を喜ばせた。

「お前って奴は…可愛すぎだろ」

昂る自身の熱を抑えて京介はゆっくりと丹念に、圭志が傷付かぬよう狭い秘所を広げていく。

「…ん…あ…っ…!?」

指が三本から四本になり、圭志の感じていた違和感は次第に別のものへと擦り変わった。中でぐるりと指先が動かされ、その指がとある一点を掠めると圭志の口から鼻にかかったような甘い声が上がる。

「…ふ…っ…ぁ…」

そこを中心に攻められ続け、圭志は頭を左右に振る。

「ンっ…く…ぅ、京…もっ…いいから」

「もう少し待て」

ゆるゆると緩んできた秘所は、中に入れられていた指が引き抜かれるとせつなげにきゅぅと甘く収縮する。

「んっ……」

指を抜いた京介はシンクに圭志の身を凭れさせると、キッチンの棚に揃えてあった瓶を手に取る。
その行動をシンクに寄りかかったまま目で追っていた圭志は京介が手に取った瓶に片眉を上げた。

「…それ…オリーブオイル」

蓋を空け、掌の上に少し垂らした京介は何かを確かめるよう手に馴染ませると瓶を片手に戻ってくる。

「まさかとは思うが…」

「お前の出したもんだけじゃ少し厳しいからな」

オイルで滑った手で抱き寄せられその感触を嫌がるように圭志は身を捩ったが、京介は構わず掌と圭志の身体にたっぷりとオイルを垂らした。

「う…わっ…」

「声出すならもっと色っぽいものにしろ」

「だっ…んッ…ぅ!」

ぬるりとオイルの付いた指先が秘所の中に入れられ、塗り込められる。

「っ…ぁ…何か…それ…」

ぽたぽたと秘所から零れたオイルが太股を伝って床に落ちる。

「いい?」

「ちが…変な…感じ、で…」

身体に付いたオリーブオイルの匂いが鼻腔を擽り、オイルの力を借りて滑りの良くなった秘所から京介は指を抜いた。


妙な感触が離れ圭志がほっと息を吐く間に、京介はベルトを緩めて窮屈だったズボンの前を寛げる。

「圭志」

そうして、シンクに寄りかかっていた圭志を引き寄せると唇を軽く重ね、力の抜けきった圭志の身体を反転させた。

「お…いっ!」

「こっちの方がお前が楽だ。シンクに手ぇついてろ」

首を巡らせ背後を振り向いた圭志にそう告げ、京介は自分にしては時間をかけて解した圭志の秘所に熱く昂った熱塊を押し当てる。
びくりと…その熱さを感じてか圭志が背中を震わせた。

「分かるか?」

京介は圭志の腰に手を添えるとオイルでぬめった秘所の入口へ馴染ませるよう自身を擦り付け、覆い被る。

「早くお前の中に入りたくてしょうがねぇ」

「――っ」

圭志の耳元に唇を寄せ、羞恥で赤く染まった耳朶を甘く噛みながら京介は言葉を流し込む。

「それもこれもお前が煽りまくるからだ」

「は…っ…知る…かよ」

不利な体勢でも気が強いところは変わらず、減らず口を叩いた圭志に京介はクツクツと笑った。

「まぁ、それでこそお前か。…力、抜いてろ」

ふぅっと抑えていた熱を吐き出すように息を吐き出し、京介はその切っ先を秘所に宛がう。

「ん…うっ…」

グッと熱い塊が入口を押し広げ入ってくる感覚に、シンクの縁を握った圭志の手に力が隠る。意識して深呼吸を繰り返し、圭志は身体から力を抜く。
たっぷりと塗られたオイルが手助けをしているのか痛みはなかったが、押し広げられる圧迫感に圭志の眉が寄った。

「…っ、きつい…な」

はっと苦しげに言葉を吐いた京介の吐息が圭志の耳朶を掠め、ぞくりと走った甘い痺れに秘所が蠢く。僅かに緩んだその隙を狙ってぐっぐっと腰を押し進め、圭志の腰に添えている手とは逆の手を、放っておかれて項垂れた圭志の中心に絡めた。

「ぁ…っ…ン…」

その手を上下に動かし刺激を与えてやれば、途端に秘所の中はうねり、京介を奥へ奥へと誘い込みだす。

「これは…っ、俺の方がもってかれそうだ」

「はっ…ぁ…う…」

ぽつりと呟いた京介は逆らわず、その誘いを受けて一気に圭志の中へと腰を押し進めた。

「んぁ…っ!…はっ…うっ…」

ずんっと勢いよく最奥を突かれた衝撃に圭志の口から高い声が上がる。
握られた先端からはとぷりと密が零れ、京介の下で小さく圭志の身体が跳ねる。

「ぁ…くっ…ン…」

「…はっ…っ、入ったぜ。お前の中に全部」

じわりと額に汗を滲ませ告げた京介はシンクに両手を付き、身動き出来ない圭志の首裏に唇で触れるとキツく肌を吸い上げる。
チリッと痛みの走った後には赤い華が咲き、圭志は自分の中がさざめき、受け入れた京介の形に変わろうとしているのをまざまざと感じて熱い息を吐く。

「はっ…ぁ…もっ、いい…」

「大丈夫か?」

「いいから…っ動け。おかしく、なりそうだ」

圭志の腰を掴んでいた京介の手に力が入る。みっしりと圭志の中を埋めていた熱塊がずっ…と引き抜かれ、いつもより強く奥まで打ち付けられた。

「ふ…ぁっ…ぅ…ん…ぅ」

いつもと違う体位で、後ろから突かれているせいかより奥深くまで抉られ、抑えきれずに圭志の口から嬌声が零れる。
ずっ…と、中に入っていた熱を再び引けば秘所の中に塗り込められていたオイルがパタパタと零れ、圭志の足を伝い床を汚した。


「ン…ぁっ…ぁ…ん…」

ぐちゃぐちゃと京介が腰を打ち付ける度聞こえる粘着質な水音に、何度も感じる箇所を掠め最奥を突かれて圭志の背がしなる。
シンクを掴む腕が震え、中をいったり来たりする京介の熱塊を甘く締め付ける。

「…っ…は、…圭」

そこを無理矢理通って圭志のいい所を突けば、ぐねぐねと蠢いた秘所が京介の熱塊に絡み付き、互いの熱を際限なく高める。

「…はっ…ぁ…ん…くっ…」

言葉を発する余裕がないのか、堪らないといった様子で頭を振った圭志に京介も余裕などなく、たらたらと零れ出した圭志の中心を抜きながら一際強く腰を打ち付けた。

「く…ぁ…っ、きょ…う…」

首だけで振り向いた圭志の唇を塞ぎ、どちらからともなく舌を絡ませあう。

「んむ…っ…はっ…ぁ…ン」

「…ふっ…」

飲み込みきれなかった唾液が口端から零れ、ぎゅっぎゅっと中を締め付ける感覚も短くなる。腰を打ち付ける乾いた音も次第に加速し、二人は欲情した眼差しを隠すことなく交わして、京介は昂った熱の解放に向けラストスパートをかけた。

「…っ…ぁ…もっ、やばい…京…」

「分かってる…俺もっ…」

堅く張り詰めていた圭志の中心を指先の腹で虐め、ぎりぎりまで引き抜いた熱塊をグッと奥深くまで突き入れる。

「んあっ…ぅ…あ…」

「はっ…は…」

がくがくと震えだした圭志の足を腰を掴んだ手で支え、またずるずると熱塊を引いた京介は圭志に覆い被さり耳朶を噛む。

「…圭、愛してる。お前だけを」

「ぅ…あっ…」

ひくりと弱い部位を刺激され身体が緩んだところで、間を置かず引き抜いた熱塊を京介は容赦なく二度三度と奥を抉るように強く打ち付けた。

「うぁっ…あっ…、あっぁ…あ、あぁっ――」

ビクンと顎を反らし、圭志の背がぶるぶるとしなる。同時に京介の手の中にあった熱がどぷりと弾け密が飛び散る。

「くっ…ぅ…」

数瞬遅れてぎゅぅっと締まった秘孔に京介は掠れた声を零し、襲い来る快楽に堪えながら僅かに引き抜いた熱塊で今一度強く深く圭志を貫いた。

「ひぁっ…あぁっ…っ」

「は…っ…くぅ――」

予想だにしていなかった二度目の衝撃に頭の中が真っ白になり視界がちかちかする。昂った熱で潤んだ圭志の瞳からぽろりと涙が零れる。

「ふ…ぁ…っ…」

身体の奥深くにどろりと熱い飛沫を感じ、圭志の腰がびくびくと跳ねる。
じわじわと身体の奥を犯す京介の熱に思考までも溶かされ、がくりと膝から崩れ落ちそうになった圭志は力強い京介の腕の中に抱き止められた。

「はっ…はっ…っ…きょ…すけ」

背中に密着した熱い体温に力の抜けた身体を圭志は預ける。
息も絶え絶えな圭志の様子に京介は優しく圭志の髪に指を絡め、耳元へ寄せた唇で労るように囁く。

「辛かったか?」

「…ん…ちょっと、…やばい」

正面から抱き合うより密着度の高い体位は圭志の奥深くまで京介の熱を感じさせ、意地もプライドもなくただただ圭志を乱した。
その強い快感思い出してぶるりと圭志が身体を震わせれば、喉の奥から紡がれた低い声が圭志の意識を揺さぶる。

「そうか…善すぎたか」

そしてまだ中に埋まったままだった熱がドクリと脈打つ。

「っ…あ…ン、京介、お前…っ」

「これだけじゃまだ足りねぇだろ?お前の中、俺のでいっぱいにしてやるって言ったよな」

「んっ…あっ!?ちょっ、俺…まだ…」

嵌めたままズンッと下から突き上げられ、圭志の身体が跳ねる。

「はっ…、次は上に乗らせてやる。今度は好きなだけ動け」

そう言って場所をリビングのソファに移した京介は自分の身体の上を圭志に跨がせると、腹の上に手をつかせる。そうして圭志の腰をつかんだ京介は再び下から強く圭志を突き上げた。

「ひ…あっ…」

いわゆる騎乗位の体勢で、圭志は自分の重みにより先程より更に深く京介の熱を身体の奥底で受け止める。
揺さぶれば息を詰め見下ろしてくる圭志に、京介は瞳を細め心地好さ気ににやりと笑った。

「どうした?お前は俺を愛してくれねぇのか?」

「っく、誰がっ…」

「なら…」

今度は逆に圭志が京介に覆い被さる。
挑発してくる京介の唇を塞ぎ、身体の奥に京介の熱を感じながら圭志はゆっくり腰を動かし始めた。



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