30


Side other

No.2の座にいた死神が解体され、総長が街を追放となった事件はDollから下された通達と共に瞬く間に噂となりチームの間へと広がっていった。
そして、協力者であるLarkの名もそこかしこで聞かれるようになり、次のNo.2の座は当然Larkだろうと誰もが思った。

…では、空いたNo.3の座は?

そんな不穏な空気が街に流れだしてすぐ、Rと名乗る新興チームが現れ、短期間でその空気を払拭してみせた。
少人数でありながらその機動力、強さはDollにも引けをとらぬほど、逆らえぬ雰囲気を持ってあっさりと周囲を認めさせてしまった。
一部の者達はその強さのあまりDollと衝突するんじゃないかと肝を冷やした。しかし、ついぞRがDollに攻撃をしかけることもなく。従うこともなかった。
その間Larkは沈黙を保ったまま、派手に動きその存在を知らしめたRがNo.2の座に落ち着いたことは自然な成り行きともいえた。また、Larkが声を上げなかったこともRがその座に着くことを後押した。

「総長。廉さんは総長と俺の抜けた穴をそのままにしとくみたいだけど…」

「はっ…馬鹿か。俺はもう戻らねぇってのに。別の奴を幹部に上げりゃいい話だろ」

「相変わらず素直じゃないなぁ聖は。嬉しい癖に。…ほんと廉くんには感謝してもしきれないよ」

「黙れ、将」





死神解体以後、街の勢力図が一つ入れ換わった。
圧倒的な力と強さを誇り、憧れや尊敬、畏怖と様々な視線を集め続ける不動のNo.1 Doll。
少人数でありながらその力はDollにも引けをとらない、謎の多い新興チームNo.2 R。
今回の事件でDollと手を組み、共に死神を解散まで追い込んだNo.3 Lark。
むやみやたらに力を振りかざさない平和主義な面が事件以降密かにLarkの人気を集めていた。が、残念なことにLarkの総長は自分のことで手一杯でまったく気付く素振りはなかった。

懸念であった山を無事乗り越えたことで皆一様に安堵の息を吐く。取り戻した平和な日常に暑さは日を増すごとに加速して、足元に落ちた小さな影にはまだ誰も気付いていなかった。



事件の日 end


[ 70 ]

[*prev] [next#]
[top]



- ナノ -