06


全ての種目が終わり、優勝は白組だった。修平さんと矢野のチームだ。
準優勝が赤組で、隼人と陸谷、純のいるチーム。
広げたブルーシートを畳み、閉会の言葉を聞きながら俺達は片付けをした。

「楽しかったか悠?」

「うん!廉兄ぃは?」

「楽しかったよ」

見上げてくる悠の頭をぽんぽんと軽く叩き、俺は笑った。

「廉、お前この後どうするんだ?」

「ん〜、帰る予定だけど皆は?」

珍しく聖にそう聞かれ、聖は大抵人の予定なんか気にしないから、俺は首を傾げながら答えた。

「あ、俺はこの後用があるんで…」

「俺もッス」

「どうしても外せない用事が…」

聞けばそれぞれ用事があるらしく皆口ごもる。

「じゃぁ、ここで解散にしようか。いいよな、大輔?」

「うん、隼人には俺がそう伝えておくよ。あ、それと向日葵は今日午前で閉めるからってマスターが。何でも土日を利用して小旅行に行くとかで、店に行っても開いてないから気を付けるように」

「え?そうなんだ」

この後お店に行こうと思ってたんだけどな。
残念に思いながら工藤達は?と俺は視線を投げた。

「そうですね、俺は帰りますが…貴宏はどうします?」

「俺も今日は帰るかな」

工藤の返答に側にいた悟が微かに片眉を上げた。

「…そっか、工藤達も帰るんだ。なら俺達も帰るか悠?」

「うん」

あっさり帰ると告げた工藤が何だか意外に思えて、帰るんだと少しつまらなくも思った。
…ん?つまらないって何だ?本当なら今日は土曜で休みだし、工藤に用事があっても不思議じゃないのに。
うん、別に遊ぶ約束もしてないし。
何だかすっきりしない気持ちを抱えたまま俺は悠と帰ることにした。








Side 工藤

その場で解散を告げた廉に俺達はどうするのか聞かれ、帰ると答えれば廉はどこか納得いかないような顔をした。
そんな顔するな。
俺だって本当はお前を遊びに誘いたかったんだぜ?
けど、こればっかりは避けて通れない。相沢がDollに一人で乗り込んで来た時から分かっていた事だ。
廉は仲間に大切にされている。

「さ、俺達も帰るぞ悟」

正門の前で廉と悠、二人を守るようにその後ろを歩いて行くLarkの面々を見送り、俺は隣に立つ悟に声をかけた。

「貴宏。あまり俺に心配かけさせないで下さいよ」

悟は歩き出した途端そんな事を言ってきた。

「何の話だ?」

「惚けても無駄です。何年一緒にいると思ってんですか。こんなチャンスに貴宏が廉さんを誘わないなんて不自然過ぎです」

「…俺に用があるとは思わねぇのか」

「有り得ませんね。廉さんと会う日に貴宏が他に約束を入れるなんて」

悟とはDollに入る前から、中学の時からの付き合いだ。

「…少し、話をしに行くだけだ。お前が心配するような事はないと思うぜ」

「それがLarkの溜まり場でも?まぁ、別に貴宏が決めた事なら俺は止めたりしませんけど。ただ強いて言わせてもらえば…何かあったらすぐ俺に連絡しろよ。いいな?」

そして普段温和な雰囲気を纏う悟から一変、強い眼差しを向けられた。

「あぁ。そんな事にはならねぇと思うけどな…」

真剣に心配してくれる悟に頷き返し、俺は悟と途中で別れた。



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