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airin様リクエスト
九琉学園。CPは先生×理事長(鏡 藍人×城戸 竜哉)で、学園号外新聞時の二人で理事長が相手だったとばれて藍人にお仕置きされる。裏有りで玩具攻め。
備考:
九琉学園番外編
学園新聞号外
九琉学園番外編
期限付きの恋
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その日、新聞部がスクープとして貼り出しバラまいた学園新聞号外は生徒達だけではなく教師陣の間にも届いていた。
学園新聞、号外。
その一面に編入初日から何かと目を引き今では生徒会長神城 京介の恋人として有名な生徒黒月 圭志。
その彼と、顔ははっきりと分からないが恋人である神城以外の男とのキスシーンが大きな写真付きでとりあげられていた。
また、見出しには風紀委員長浮気発覚か!?と太字でデカデカと書かれ、生徒間では大きな騒ぎになっていた。
「………」
ざわざわと生徒達程ではないがさざめく職員室内で、自席に座り、バラまかれた号外の記事に目を通し終えた男…2-S担任、鏡 藍人は手にしていた号外新聞をいきなりグシャリと握り潰した。
そのまま足元にあるゴミ箱に号外を捨てようとしてふと思い止まる。
ガタリと椅子を鳴らして立ち上がった藍人に、騒ぎには加わらず傍観していた同僚が気付いて声をかけてくる。
「事態の収集ですか?大変ですな、鏡先生も」
「まぁ…そんなもんです」
声を掛けてきた同僚に藍人は曖昧に頷き返し、握り潰した号外を右手にやや足早に職員室を出る。
向かう先は同僚の想像している生徒達の元ではなく、今朝方自分が後にした教師寮だ。
「俺がお前を見間違うわけがない」
スクープでとられた写真を思い返して藍人は確信を持った声を落とす。
生徒達は張り出された号外に夢中で、校舎を出ていく藍人の姿を目に止める者もいない。
教師達も殆どが出勤している為、藍人は誰に見咎められることもなくすんなりと教師寮に足を踏み入れることが出来た。寮の管理人室前を通り、ロビー奥に設置されているエレベータに乗り込む。
内ポケットから不思議な色合いを持つカードキーを取り出し、ボタン脇にある溝にさっとカードキー滑らせた。
すると、階数ボタンを押していないにも関わらずエレベータは勝手に上昇し始める。
階数ボタンにはない最上階を示す数字を見上げ、次第に近付く距離に藍人の纏う気配は不穏なものへと変わっていった。
そこには、生徒達から絶大な人気と信頼を集める優しい藍人の姿はなく、どこか厳しい面持ちでエレベータのドアを見つめる藍人の姿があった。
やがて浮遊感がなくなり、ポーンと軽快な音を奏でてエレベータのドアが開く。
あまり知られていない教師寮最上階には扉が一つだけあり、床には汚れ一つない赤絨毯が敷かれている。到着した藍人は迷うことなく絨毯の上に足を踏み出し、唯一の扉に向かって歩き出す。
扉横に設置されているテンキーを慣れた動作で押していき、最後に手にしていたカードキーをテンキー横にある溝に挿し込みスライドさせた。
ガチャンと鍵の外れる音に藍人は扉のノブに手をかけ、力を入れて引く。
「さて、どういうことか説明してもらうぜ…竜哉」
教師寮最上階、ワンフロアを使って造られた部屋は九琉学園理事長、城戸 竜哉の私室となっていた。
仕事の都合上、共に会うのが久し振りだったせいか昨夜は遅く、眠りに着かせたのは深夜を回ってからだったか。
未だカーテンが閉めきられている薄暗い寝室に足を踏み入れれば、広いベッドの上にこんもりとした山が出来ている。
すぅすぅと静かな室内に小さな寝息が落ち、ブランケットからは顔の上半分とすらりとしどけなく伸びた素足が惜し気もなく覗く。
音を立てず寝室の中へと足を進めた藍人はギシリと小さな音を鳴らしてベッドの端に腰を下ろすと手にしていた号外新聞をベッドの上に置き、ブランケットの下から覗く素足に右手で触れる。
「……ン」
ソッと足の先から膝の上へ…素肌をなぞりながらブランケットを捲れば、辛うじて下着を身につけた艶かしい肢体が露になった。
「ぅ…ン…」
微かに動いた空気に竜哉はくぐもった声を漏らして、もぞもぞと身体を動かす。藍人の手を離れ、寝返りを打った竜哉は藍人に背中を向ける形で動きを止めた。
そして再びすぅすぅと寝息が聞こえ出す。
「普段なら可愛いと思うんだけどな…」
号外で見たキスシーンが頭の中を過り、脳内で勝手に妄想が拡大していく。それも竜哉が藍人に会っておきながら一言も号外ですっぱ抜かれたことの話を、こうして学園新聞に載るまで藍人に黙っていたせいだ。
「俺に黙ってるつもりだったのか?なぁ、竜哉…」
じくじくと鈍い痛みが藍人の胸を侵食していく。
ギシリとベッドを軋ませ、ベッドの上に上がった藍人は竜哉の身体を俯せにさせると竜哉の身体を跨ぐように組み敷く。
「ぅ…ん、ン…ぁ?」
身体を押さえ付けられて、背中に掛かった重みにぼんやりと竜哉の瞼が持ち上がる。いまいち反応の鈍い竜哉に背中から覆い被さると耳元に唇を寄せて藍人は覚醒を促した。
「起きろ竜哉、お仕置きの時間だ」
「ぁ…え…?」
ぱちりと完全に目を開けた竜哉は起きようとして起き上がれず、背中に藍人が乗っていることに気付く。ちらりと枕元に置かれた置時計に目を走らせた竜哉は戸惑ったように口を開いた。
「あい…と?お前今HRの時間じゃないのか?」
「それどころじゃない」
「…?何か問題でも起こったか?」
とりあえず降りてくれと、暢気に言った竜哉に藍人はベッドの上に置いた号外を拾って頭の上から竜哉の目の前へ落とす。
「大有りだ」
「ん?これは学園新聞の号が…い」
マジマジと大きく取り上げられていた写真を目に入れて竜哉の言葉が途切れる。鋭く瞳を細め、そんな竜哉の様子をつぶさに観察していた藍人は次に発された言葉に背中を押された。
「誰がこんなの撮ったんだ?」
動揺に竜哉の声が震えた。
「ふぅん…相手はやっぱりお前だったか」
竜哉の耳元に寄せていた唇で藍人は低く囁く。
「でも、誰がこんな写真…。屋上は立ち入り禁…ンっ!?」
暢気に自分だと認める竜哉の危機感の無さと恋人である自分以外の人間に触れさせたその事実に、胸に燻る炎が藍人を突き動かす。
俯せに組み敷いた竜哉の身体に腕を絡め、昨夜散々可愛がってやった胸元にそろりと手を這わす。
「ぁ…ッ、なに…するんだ…」
昨夜の名残か肌の上をまさぐっただけの藍人の手の感触に竜哉はびくりと身体を震わせた。胸元にぽつんとある赤い実を指の腹でぐりぐりと刺激し摘まんでやれば、赤い実はすぐにぷっくりと芯を持って立ち上がった。
「…ぁ…藍人っ!…時間を…考えろ…」
竜哉はそれを嫌がるように藍人の下で身じろぐ。
「お前こそアレを知った時の俺の気持ちを考えてみろよ」
しかし、耳元で言い返された真剣な声音に竜哉は息を飲んで動きを止める。かぷりとそのまま藍人に耳を噛まれて、胸を弄る手とは別の手が下着の中に侵入してくる。
「ンぁ…っ、藍…と…やめ…」
「お前と一緒でまだ反応が鈍いな」
耳を噛まれたまま喋られて、藍人の吐息が言葉と一緒に耳の中に入ってくる。
下着の中に侵入した手が無防備な竜哉の分身に絡み付き、まだ柔らかいソレをやわやわと揉みしだく。
「ぁ…くっ…止めっ…」
起き上がろうにも背中に覆い被さった藍人がそれを許してはくれない。
「なぁ、自分の甥っ子とキスした気分はどんなだった?」
「っ…れは…そんなんじゃ…ない」
弱々しい抵抗と否定の言葉に藍人の指使いだけが加速する。
「じゃぁ何で俺に黙ってた?」
「あぃ…とっ…、ン…ぁッ…!」
くちゅくちゅと小さく聞こえ始めた水音にうっすらと藍人の唇に笑みが浮かぶ。竜哉の耳から唇を離し、真下にある綺麗な背中に藍人は唇を落とす。
「黙ってればバレないと踏んだか?」
「ちが…ぁ、んっ…まっ…!」
「待てと言いつつちゃんと感じてるじゃないか」
藍人の手の中で弄られていた竜哉の分身が蜜を垂らして上を向く。
「教育者が嘘は良くないな…竜哉」
下着を下げられ、零れた蜜がぱたぱたとシーツを濡らしていく。
優しく愛撫され昂る身体とは裏腹に次々と落とされる藍人の声が冷たさを帯びていく。
「ぁ…はっ…ン、俺は…お前に…ちゃんと…話そうと…っあぁ!」
竜哉が言葉を紡ぎ終える前に、前を弄っていた指が奥まったすぼまりへと滑り込んだ。
「ふっ―…」
「まだ少し濡れてるな」
つぷりと秘所に潜り込んだ指先がぐるりと入口を確認するように撫で、奥へと入り込む。
ぐちぐちと昨夜交じり合った時の柔らかさを残す秘所の感触に、藍人はゆるりと瞳を細めてナイトテーブルへ目を向けた。
「はっ…は…っ、あい…と。人の、…話を聞け…」
何とか頭を動かして藍人を振り向いた竜哉は、引き出しの中から取り出された軟膏チューブと太さも長さもそこそこある大人の玩具を視界に入れて、組み敷かれていた身体を震わせる。
「あ…藍人…っ」
急に弱々しくなった声に、名前を呼ばれた藍人は竜哉を見返し甘く微笑む。
「少し待ってろ」
チューブの蓋を開けてその中身をたっぷりと、藍人は手にした玩具にべたべたと塗り付けた。そして、チューブを放り出し玩具の先端を竜哉の秘所に宛がう。
「…っ、それは…嫌だ…!」
「止めたらお仕置きにならないだろ」
十分に解した秘所の中へ、藍人は竜哉を俯せにさせたままグッと玩具を中へと押し込んだ。
「はっ…あっ、ぁ…ン…やっ!」
「嫌ってわりにはお前のココ、どんどん飲み込んでくぜ」
ふるふると竜哉が唯一出来る抵抗は頭を振って拒絶することだけだ。
「あぅ…ぁ…止めろ、藍人っ…お前じゃなきゃ…!」
「っ…だったら、浮気なんかするんじゃねぇよ」
「ちが…っ…あぁっ!…アッ…あっ、ぁ…」
ずぶずぶと…秘所に押し込まれた玩具は手元の部分を残して竜哉の中に収まってしまう。
「は、全部入っちまったな」
「っ…ぁ…やめ…抜け…藍人…」
「悪いが今は聞いてやれない相談だ」
ふるふると怯えたように身体を震わす竜哉のこめかみに口付け、藍人はカチリと玩具のスイッチを入れた。
「いっ…あぁ…っ、やっ…!」
ビクンと組み敷いた竜哉の身体が跳ね、ヴヴヴと低い振動が空気を震わせる。藍人は振動しだした玩具を掴むとずるりと入口まで引き、再び一息に中へと押し込んだ。
「あぁっ…ぁ…やぁ…!」
竜哉は目を見開き、自分の中で蠢く機械を拒絶するように頭を横に振る。
ぐちゃぐちゃと立つ湿った音が低い振動音と共に下肢から響き、竜哉は助けを求めるように自分にとって唯一の名前を呼ぶ。
「あい…と、ッン…藍人っ…」
「気持ちイイのか?腰が揺れてるな」
ぐねぐねといきなり動き出した玩具が竜哉のイイところを掠め、身体が意思に反してビクビクと跳ねる。とろりとまたシーツを濡らした蜜を掬い、藍人は竜哉に覆い被さり耳元で囁く。
「お前は…俺じゃなくてもいいのか?」
「…だ…、…っぁ…ン、ぁ…嫌だ…。藍人…じゃない…と」
「だったら…何で俺に黙ってた。何でもっと早く俺に言わなかった」
「あ…ぃ…、言おうと…思ったよ…。でも…ぁ…っく…ゥうっ…ぁ!」
喋りながらも、一際強く奥へ捩じ込まれた玩具に竜哉の口から高い声が漏れ、堪らないといった様子で背をしならせた。
「ぁあ…ッ…はっ…あぁ…」
ギュッと玩具を握った藍人の手に力が入る。
「俺がいいなら玩具なんかで感じるな」
「…お…前と…また…、ぁ…ン…っ離れることに…なった…ら…」
「…?…何の話だ竜哉?」
「っ…ぅ…くっ…ふ…」
枕に顔を押し付けて隠してしまった竜哉の口から濡れたぐくもった声が漏れる。それに沸々とたぎっていた藍人の熱が徐々に冷やされていく。
「なんだ?泣いてるのか竜哉?」
くしゃりと優しく頭を撫で、滅多にない竜哉の姿に自然とかける言葉が柔らかさを帯びる。
玩具のスイッチを切り、枕に埋まってしまった竜哉のこめかみに藍人は唇を寄せる。
「竜哉…?」
そろりと枕から顔を上げた竜哉の瞳には薄く膜が張っていたが、滴が零れた形跡は無く。
藍人の耳をくぐもった声が打った。
「言おうとは思ってた。けど…お前に嫌われたら。そう思ったら…なかなか口に、でき…なかった」
「竜哉」
「ごめん…藍人。俺はお前を傷付けた」
謝る竜哉に、溢された言葉に、藍人は竜哉の中へいれたままにしていた玩具をずるりと引き抜いてベッドの下へ投げ捨てる。
「ひぁ…ッ…ぁっ…!」
そして、労るように竜哉の身体へ腕を回して背中から包み込むように優しく抱き締める。こめかみに、耳朶に唇で触れ、落ち着いた声で囁く。
「謝るな竜哉…、お前がそんなこと思ってるとは。話しも聞かず俺も悪かった」
今でこそこうして二人の時を恋人同士として大切に過ごしているが、藍人と竜哉は昔一度別れている。それはどうにもならない理由だったが、少なからず竜哉の心に小さな影を落としていた。
「けど、言ったろう竜哉。俺はもうお前を手放さない」
「…あい…と」
「確かに黙ってたことに腹は立った。黒月に触れさせたことにも妬いた」
「……」
「それでも俺はお前が好きだ。誰にも触れさせたくないほど愛してる。…嫌いなるなんてそれこそ有り得ない」
「…藍人」
ぎゅぅと竜哉の身体に回されていた藍人の腕に力が込められる。
想うが故の擦れ違いに、二人の間に沈黙が訪れる。
「…藍人。離してくれ」
先に口を開いたのは竜哉。身体に回されていた藍人の手を叩いて解放を促す。
冷静さを取り戻した藍人はそっと竜哉から手を離し、竜哉の上から身体を横にずらした。
自由になった竜哉はごろりと仰向けに身体を転がし、藍人に向けて両腕を伸ばす。
「りゅ…」
「俺の顔見て、正面からちゃんと抱き締めてくれ…藍人」
言い終わる前に、竜哉の身体は藍人の腕の中に抱き寄せられる。
腰に回された力強い腕に背中に添えられた掌。
至近距離で絡んだ眼差しに、ほっと竜哉の頬が緩む。
伸ばした腕を藍人の背中へ回して、竜哉は自らも藍人へ身を寄せた。
「…怒ってないのか竜哉?」
自ら擦り寄ってきた竜哉に藍人は抱き締め返しながら訊く。すると視線を絡めたままの竜哉の双眸が鋭く細められる。
「怒ってないと本気で思ってるのか?」
「いや…」
「そもそも何でまだアレがあるんだ。俺は嫌だから捨てろって言ったはずだぞ」
キッと睨み付けてきた竜哉から藍人は視線を反らし、言い訳じみたことを口にする。
「それは、だな。…捨てるタイミングが無くて」
「藍人」
明らかに嘘を吐いてる態度が気に入らず竜哉は藍人の服を引っ張って問い詰める。
「あー…本当の事を言ったらお前はきっと怒るぞ」
「もう怒ってるから構わないよ。さぁ、白状しろ藍人」
急に逆転した立場に藍人はたじろぎ、竜哉から僅かに視線を反らして諦めたように口を開いた。
「玩具使うとお前は俺じゃなきゃ嫌だってねだってくるし。それにイキそうなのに我慢して震える姿が堪らなく可愛くて、つい…もっと見てぇななんて思ったりもして、…捨てきれなかったんだ」
「なっ…ッ…馬鹿かお前はっ!恥ずかしい!」
理由を聞いて一瞬で竜哉の顔は沸騰したように赤く染る。
「恥ずかしがることはないだろ。俺は物凄く嬉しい。竜哉も俺を求めてくれてるんだなって実感できるし、俺はそんなお前が愛しい」
「――っ」
「あぁ…でも、昨夜はしきりにキスをねだられ…て」
赤面する竜哉に構わず愛しげに言葉を続けた藍人は途中で何かに気付いた様子でふと言葉を途切れさせる。
腕の中で赤くなる竜哉と視界の端に号外を認めて、竜哉の顔を覗き込んだ。
「舌、入れられたのか?」
「……ちょっと、だけ。けど、圭志くんに悪気は無かったんだから。それにちゃんと謝ってもくれた」
「詳しくは訊いてなかったな。どうしてあんなことになったんだ」
キリリと真剣な表情を浮かべ、事情を訊いてきた藍人に竜哉は簡単にことの次第を話した。
要するに屋上でサボって寝ていた黒月が、神城が来たんだと寝惚けた頭で認識して竜哉に迫った。
「……自分の恋人を間違えるんじゃねぇよ」
話を聞き終えた藍人の第一声である。
「圭志くんは昔から寝起きが良くない子だったから」
「高校生にもなってそれで済む話じゃないだろ」
憤る藍人に圭志の叔父として竜哉は苦笑しか浮かべられない。その態度に藍人は不機嫌そうに眉間に皺を寄せて低い声を出した。
「お前は身内に甘過ぎる」
「そうかな?普通だと思うけど」
首を傾げた竜哉からは先程まで感じていた怒りは伝わってこない。話しと共に流れた空気に藍人は密やかに息を吐く。
もぞもぞと腕の中で身動ぎしだした竜哉はくっついていた藍人から手を離すと、ぐしゃぐしゃになっていたブランケットを身体の上に引っ張り上げ始めた。
「…悪いが、藍人。用が済んだなら出て行ってくれないか」
「は…?俺を追い出すのか?」
いきなりの退出命令に藍人の眉間に刻まれた皺が深くなる。
「そうじゃない…誰のせいだと…」
ずるずると引っ張り上げたブランケットで身体を隠す竜哉に、藍人も遅れ馳せながら竜哉の言いたいことに気付く。
話しに気をとられ、竜哉の身体を中途半端な状態で放り出したままだった。
藍人の視線がブランケットを掛けた下の身体に落ちたのに気付き、竜哉の頬が赤く色付く。
「分かったなら…出て行ってくれ」
「おいおい、俺がいるのに一人で処理する気か?後ろも…結構奥まで塗り込んだから、指を入れて掻き出さなきゃシャワーだけじゃ流せないぞ」
「う…っ…っ、だったら、責任とってどうにかしろ藍人」
目元を赤く染めたまま睨み付けて言い放った竜哉に藍人は緩く表情を崩す。ブランケットに包まれた身体を抱き寄せ、甘い声で囁いた。
「もちろん、お前のことは最後まで責任とるさ。…竜哉」
「…んっ」
引き寄せられて近付いた距離に唇が重ねられる。
ちゅっ、ちゅっと可愛らしいリップ音を立て数度触れ合った唇はどちらからともなく深く絡みあっていく。
唇を割って滑り込んだ舌が優しく口腔を愛撫し、差し出した舌を絡めとる。
「…っ…ン…藍…」
すらりとブランケットの中から伸ばされた竜哉の腕が藍人の首に絡み付き、ブランケットごと竜哉の身体を抱き締めた藍人の手が竜哉の肩に掛かっていたブランケットをベッドの上へ落とした。
「ん…竜哉」
銀糸が二人を繋ぎ、愛しげに視線を落とした藍人は竜哉を組み敷く。ぷつりと切れた糸を辿って藍人を見上げた竜哉も少し息を乱したまま柔らかく表情を綻ばせた。
「…優しくしろよ?」
「あぁ…虐めた分だけ、たっぷり甘やかしてやる」
「それはそれで何か怖いな」
「骨抜きになりそうで?」
「何言ってるんだ。…もう、なってる」
「っ…竜哉」
「俺が好きなのはお前だけだって、妬かなくても良いようにちゃんと覚えておけよ」
戯れるようにまたキスを交わして、二人は仲良くシーツの海に身体を沈めた。
END.
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