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花音様リクエストの廉と工藤で甘甘ですv
未来設定で二人が恋人同士になって間もなくのお話になっています。
うろうろ、うろうろ…。
う〜ん、まだ帰ってきてないのか。早く来すぎちゃったかな?
どうしよ。あ、そうだ!コレ貰ったんだ。
ごそごそポケットを漁り、目的の物を取り出す。
初めて使うなぁ、……よしっ!
俺は意を決して右手にキラリと光る銀色の鍵を鍵穴に差し込んだ。
そのまま右に回し、ガチャリと鍵を外す。
そして、扉のノブに手を掛ける。
うぅ〜、何回も来てんのにドキドキする。
「よしっ」
「廉?」
「ぅわわっ!!く、工藤!嚇かすなよっ」
俺はノブに手をかけたまま振り返り、怒鳴った。
工藤はそんな俺を見て不思議そうに首を傾げる。
「取りあえず鍵開けたんなら入れよ」
「…うん」
お邪魔しまーす、と言って帰宅した家主より先に上がらせてもらう。
リビングに行くと工藤は、着替えてくるから適当に寛いでろ、と言って自室に入って行ってしまった。
「あ〜、びっくりした。違う意味でドキドキしたよ」
適当に寛いでろ、って言われたけどその前に俺はキッチンへ行き、棚から色違いのカップを取り出す。
えへへ///これこの前デートした時に工藤が買ってくれたんだよね。
色違いのカップにそれぞれコーヒーとカフェオレを淹れて、リビングに運ぶ。
俺はお気に入りのふかふかのソファーに座り、目の前のローテーブルにコーヒーの入ったカップを置いた。
「…ん、今日も美味しv」
コクコク、とカフェオレを少し飲んで一息ついていれば、制服から私服に着替えた工藤が入ってきた。
「お、淹れといてくれたのか。サンキュー」
そう笑って俺の隣に座る。
ぴっとりくっついてるワケじゃないけど今だこの距離に慣れなくて心臓がドキドキしてる。
「そういや廉、家の前で何驚いてたんだ?」
「ぅ!?な、何でもないよ」
俺は慌てて誤魔化した。緊張してたなんて恥ずかしくて言えない///
工藤はふぅん、と俺の顔をジッと見つめてからフッと笑った。
「可愛い奴」
「いきなり何言ってんだよ///」
誤魔化したつもりがどうやら工藤にはバレバレらしかった。
肩を抱き寄せられ、俺は頬を染める。
「廉」
優しく名前を呼ばれてちらっ、と視線を向ければ目元にふわりとキスを落とされた。
「……///」
「ほんと廉は可愛いな」
「ぅ、あんま可愛いって言うな///恥ずかしぃ」
ふい、と視線を反らして恥ずかしさをまぎらわせようと甘いカフェオレを口に含んだ。
工藤こそ格好良すぎなんだよ…。
肩を抱いていた手が、今度は俺の髪を撫でる。
それが心地好くて自然と頬が緩んだ。
こういうのを幸せっていうのかな?
依然、心臓はドキドキ高鳴っていて恥ずかしいけど、それを上回るように心の中にジワリと温かいものが広がっていく。
俺は空になったカップをテーブルに置き、ちょっとだけ自分から工藤の側に寄った。
すると、空気だけで工藤が笑ったのが分かった。
「何?」
これが今の俺の精一杯。
少し大目にみてよ。
「いや、別に」
そう言って、傾けていたカップを工藤もテーブルに戻すと、ひょいと軽々俺を持ち上げ、自分の膝の間に下ろした。
「うわわわっ!!」
急な浮遊感に、俺は思わず自分の身体に回された工藤の腕を強く握りしめた。
ぎゅう。
「あんま俺を煽んなよ?」
後ろからすっぽり抱き締められ、工藤の声が耳を擽る。
「ちょ、くすぐったいって」
俺は身を捩って工藤を見上げた。
視線の先の工藤はにっ、と笑っていて悪戯っぽく囁く。
「でも、好きだろ?俺にこうして抱き締められんの」
「ん、好き、だけど…///」
俺はもごもごと口ごもった。
「だけど…?」
視線をさ迷わせた俺に工藤は続きを促してくる。
だけど、後ろからよりも前から抱き締められる方がもっと好き。
工藤の顔も見れるし…、
って、うわ〜///
俺は自分で思ったことに羞恥で頬を染めた。
工藤はそんな俺の頬をふにっ、と触り、プッ、と笑う。
「林檎みたいに真っ赤になってんぞ」
うぅ、分かってるよ。
「工藤のせいだろっ」
「そうだな」
ちょっと怒ったように返しても工藤は楽しそうに笑うだけで…。
俺はこんなにも恥ずかしいのに。
「…狡い」
「ん?何が?」
工藤は再びカップを手に、コーヒーを飲んでいる。
くぅ〜、工藤も俺と同じぐらいドキドキして慌てればいいんだっ。
変な対抗意識の芽生えた俺は、その勢いにまかせ、恥ずかしくて滅多に言わない単語を口にしてみた。
「あの、さ、…貴宏」
案の定、余裕そうにカップを傾けていた工藤はゴホゴホと噎せた。
ちょっとやり過ぎたかな?
「大丈夫?」
「ケホッ、…廉。お前」
口元を手で押さえ、俺と視線を合わせようとしない。
よく分かんないけど…、勝った?
いつの間にか自分の中で勝負事になっていた。
「あ〜、もう、お前は…」
工藤はくしゃりと髪を掻き上げ、言葉を途切れさせながら俺を後ろからぎゅぅ、と抱き締めてきた。
「ちょっ…、工藤///」
「可愛すぎて放したくねぇ」
耳元で愛しそうに囁く工藤に俺は首筋まで赤くして、わたわたと慌てた。
「く、工藤!!放して///」
俺の心臓がもたない。
「ん〜、じゃぁもっかい名前で呼んでくれたらな」
それまでは放さねぇ、と肩口に顔を埋める。
ふわふわした綺麗に染められた金色の髪が頬を擽る。
しばらく自力で工藤を引き離そうと頑張ったけど無理だった。
うぅ〜、やっぱ俺、工藤には勝てないのかな?
ちら、とすぐ横にある横顔に視線をやれば工藤は仕方ねぇなぁ、と苦笑してきた。
「そんな顔すんな。ほら」
そう言って放してくれた。
でも、俺は…
「〜っ。俺、飲み物いれてくるっ」
まともに工藤の顔が見れなかった俺は、空になったカップを持ってキッチンに逃げた。
「工藤のバカ///俺をころす気かっ」
ドキドキする胸を服の上からぎゅぅっ、と押さえた。
END.
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