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リュウ様リクエスト
京介×圭志で甘々裏
少しだけ開いていたカーテンから光が射し込み、朝を知らせる。
「ん…ぅ…」
ぼんやりと重い瞼を上げた先に見慣れた姿と見慣れない景色が見えた。
「………?」
寝起きで回らない頭で考える。
…ここ、ホテルだ。たしか昨日、パーティーがあって、それで、
もそりと布団の中で身動ぎ、自分を包む温もりに擦りよる。
「…きょー?」
いつもならここで反応が返ってくるはずなのに今日は何もない。
それを不思議に思って顔を見れば珍しく京介はまだ眠っていた。
「………」
圭志は、疲れているならそのまま寝させてあげたいとも思うが構っても欲しいと思う。
ここはどうすべきか、他人からみたらくだらない事を圭志は真剣に考えた。
「きょーすけ」
そして考え抜いた末、圭志はゆっくりと顔を近付け、すやすやと寝息を立てる京介の唇に己の唇をおしあてた。
「んっ…」
触れるだけのキスをして離れ、京介の反応を窺う。
起きていない事を確認すると圭志はまたそれを繰り返す。
…何だか楽しくなってきた。
その一連の行動に疑問を感じない時点で圭志はまだ半分寝ぼけていたのだが、本人は知るよしもない。
京介のシャツは第2ボタンまではだけていて、圭志は無防備に曝されているその首元にも唇を寄せる。
ちゅっと可愛らしいリップ音を立て、紅い痕をつけていればくしゃりと後頭部に手が置かれ、後ろ髪をすかれた。
「圭志…」
目の前の喉仏が上下し、寝起きで掠れた声が鼓膜を震わせる。
「どうした?…朝から随分積極的だな」
髪をすいていた手とは別の手が圭志の腰を抱き、低い笑い声が振動になって伝わってくる。
「お前が寝てるから」
もそりと首元から離れ、顔を上げた圭志は不満そうに呟いた。
「あぁ…、ここんとこ家の用事で擦れ違いが多かったからな」
こうやって二人きりになるのは久し振りだな。
圭志の腰に腕を回したまま京介は上体を起こす。
それにより一緒に起きる形となった圭志の後頭部を引き寄せ、京介は口付けた。
「圭志」
「ん、…もう一回」
甘えるように首に回された腕に京介は気を良くし、圭志のリクエストに応えて再度唇を重ねる。
「んっ…はっ…」
唇を舌先でつつき、迎え入れるように開いた口内へと舌を侵入させ圭志の舌を絡めとる。歯茎をなぞり角度を変えてゆっくりと。
「…っ…んんっ…」
口端からは飲み込みきれなかった唾液が伝い落ち、徐々に高まる熱が圭志の体を震わせた。
「ふっ…は…っ…」
熱の混じった吐息を吐き出し、互いを繋ぐように出来た銀糸に圭志は瞳を細めた。
ゆっくりと圭志は今まで寝ていたベッドに押し倒される。シャツのボタンが外されていき、京介の吐息が胸を擽った。
「ぅ…んっ…」
その感覚に圭志は少し身動ぎ、京介を見上げる。
「ん…、まだチェックアウトしなくていいのか?」
「予めもう一泊とってある。学園じゃゆっくりできそうにねぇからな」
今度は逆に京介がリップ音を立てて圭志の首元、鎖骨、胸へとキスマークをつけていく。
「じゃぁ…今日は帰らなくていいんだな」
「あぁ。今日はずっと一緒だ。邪魔する奴はいねぇ」
それだけ確認すると圭志も京介のシャツに手を伸ばした。
◇◆◇
空気が熱を帯びる。
圭志は意識して息を吸い、吐き出す。それでも、何度経験してもこの瞬間には慣れない。
「はっ…ぁ…くっ…」
「力抜け、圭志」
耳朶を甘噛みされ、熱っぽい声が鼓膜を刺激する。
萎えてしまったモノを抜かれ、無意識に体が跳ねた。
「あっ…ぁ…」
力の抜けたその隙を狙い、京介は自身の全てを圭志の中へと納める。
「う…ぁっ…あっ…」
「―っ、キツいな。大丈夫か圭志?」
息を弾ませ見上げた先に、情欲を滲ませた瞳がある。だけどその中に、気遣うような色も見えて場違いにも笑みが漏れた。
「は…、だいじょぶ…だ。もっ…動いて…いい、ぜ」
シーツの上に置かれていた京介の左手を取り、指を絡めて圭志は先を促した。
「っ…ぁっ…ぁあ…」
「はっ、…圭志」
ぐちゅぐちゅと湿った音と肌のぶつかる乾いた音が続く。
「んっ…ぁ…あっ―、きょ、すけ」
ある一点を掠めるとビクリと圭志の体が跳ねて、中を締め付ける。
「くっ…は…っ」
そのキツい締め付けに京介は眉を寄せ、熱い吐息を漏らす。圭志のモノからはとろりと密が溢れ、互いの腹を汚した。
「そろそろ…っ、イくぞ」
「んっ、いい…ぜ。っ…ぁ…っ…ぁっ…」
繋いだ手をぎゅっと握り、圭志は艶やかに笑って京介を更に奥へと誘い込む。
「…ぁ…んっ、きょ…すけ…」
京介は一度ギリギリまで引き抜いたソレを勢い良く叩き付け、それからまた数度強く打ち付けた。
「く…っ…あっ、あっ…あ…っ、ぁあぁっ――」
ピンと爪先が伸び、ビクンと体が震えて圭志は熱を解き放つ。
「圭志っ――」
一際締め付けのキツくなった圭志の中へ、京介も熱く脈打つ熱を注ぎ込んだ。
「ぁ…ふっ…はっ、はっ…」
「…圭志」
ビクビクと体を震わせ、余韻に浸りながら乱れた呼吸を整えていれば、京介の顔が近付いてキスを落とされる。
「んっ、ん…」
啄むようなキスから、呼吸が整った辺りで口付けはまた深くなり、圭志も京介の舌に自ら舌を絡ませ燻っている熱に再び火を灯していった。
ポタリと濡れた髪から滴が落ちる。
圭志はそれに構うことなくミネラルウォーターを口に含み、一人掛けのソファに座った。
「頭拭け。風邪引くぞ」
その後ろから京介がやって来て、手にしたタオルを圭志の頭に落としていく。
「ん。お前こそ服着ろよ」
圭志の横を通った京介は上半身裸で、圭志がつけた紅い痕を惜し気もなく曝していた。
「シャツを取りに来たんだ。それより平気か?」
「ダルいし若干腰がいてぇ」
シャツを羽織った京介は圭志の元まで戻ってくると、頭に乗せたタオルをとって髪を拭いてやる。
すると圭志は気持ちよさそうに瞳を細めた。
「お前が煽るからだろうが。これでも久し振りだから手加減してやろうと思ったんだぜ」
「しょうがねぇだろ、…お前に触れたら止まらなくなっちまったんだ」
チラッとタオルの隙間から横に立つ京介を見上げれば、京介は髪を拭いていた手を止め、口元に弧を描いて見下ろしてくる。
「そりゃしょうがねぇな。で、満足したのか?」
聞かれた言葉に圭志は少し考えるように首を傾げ、自身の中に出てきた答えに圭志は淡い微笑を浮かべた。
そして、それをそのまま京介に伝える。
「まだ足りねぇ。もっと俺を甘やかせよ」
触れていなかった時間が一瞬と思えるぐらい、どろどろに。
タオルに置かれていた京介の左手を掴み、指先に口付ける。
「…いいぜ。好きなだけ甘やかしてやるよ。お前が嫌って程にな」
京介は圭志の頭に乗せていたタオルをはらりと落とし、水気のとれた髪を右手で優しく掬い上げるとキスを落とした。
ルームサービスで朝食兼昼食をとり空腹を満たすと、京介は二人掛けのソファに移動して圭志を隣に座らせる。
右腕を圭志の肩に回し、抱き寄せてこめかみにキスを落とした。
「圭志」
名を呼んで、こちらを見てきた圭志の鼻先に。頬に、目元にと唇で触れる。
くすぐったそうに目を閉じた瞼の上にも唇を落として、京介は肩を抱く手に力を込めた。
「ん、…京介」
ゆるりと開いた、瞼の下から現れた圭志の瞳に視線を絡め、京介は優しく穏やかな笑みをみせる。
俺だけが見れる、俺だけが知っている京介の表情。
胸の奥から溢れる想いが圭志にもふわりと笑みを溢させ、圭志は想いのまま京介に手を伸ばし、その頬にゆっくりと触れた。
「こうやって京介に触れられるのは俺だけだな」
悪戯に輪郭をなぞるように滑る圭志の手を捕らえ、京介はかいまみえた圭志の独占欲に嬉しそうに瞳を細める。
「当然だろ。お前も俺以外の奴に触らせんじゃねぇぞ」
捕らえた圭志の指一本一本にキスを落とし、軽く歯を立てる。
「っ、くすぐってぇ」
情欲を駆り立てる様な刺激ではなく、心を包むような優しい愛撫が圭志の心を満たしていく。
「返事は?」
「言わなくてもわかんだろ」
体から力を抜いて体重を預けてきた圭志を、京介は自分の足の間に座らせた。
「言えよ。聞きてぇ」
「…京介にしか触らせねぇよ」
顔を見れないのは少し残念だが、互いの温もりを感じれる程ぴったりと後ろから抱き締めれば、口元を綻ばせた圭志の横顔が微かに視界に入ってきて、すぐ気にならなくなる。
「ふっ…、やっぱ可愛いなお前」
「いきなり何言ってんだよ」
特に何をするでもなく、京介の胸に体を預け、安心しきった、緩んだ顔をしながら圭志は聞き返した。
「何でもねぇ。俺だけが知ってれば十分だって話だ」
京介は圭志の耳元で低く笑い、圭志が言葉を発する前に甘く囁く。
「好きだぜ…圭志」
そして、ピクリと肩を揺らし反応を見せた圭志に京介は浮かべていた笑みを深くした。
「知ってる。…俺も京介が好きだぜ」
京介だけが、と僅かに上体を起こして体を捻り、下から京介の唇に自分の唇をおしあて、圭志もまた甘い笑みを溢したのだった。
会えない時間が想いを降り積もらせる事はあっても、きっと冷めることはない―。
end.
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