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☆相互サイト[MIMOZA]様、相互友好記念フリー
立花様リクエスト
眼鏡外人モデル×眼鏡フェチ平凡。編入して来たor既に学校にいたモデルに懐かれる眼鏡フェチ平凡

以下設定
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受け 山崎 太一(平凡)
攻め ウィリアム・ファウスト(モデル)







黒目黒髪、身長、体重、家族構成から成績に至るまで突出したものは何一つない平凡。

安穏と平和をこよなく愛す、人畜無害な平凡。

それが俺、山崎 太一(ヤマザキ タイチ)16才である。

「はぁ〜。なぁ、このポスター剥がしちゃ駄目かな?」

そんな俺の目下の悩みは通学途中、偶然見つけたメンズファッション専門店の宣伝用広告を奪取するかしないかであった。

「お前犯罪者になるつもりか…?そしたら一生さよならだなタイチ。強く生きろよ」

隣で冷めた視線を向けてくるのは友人の鈴木 佐々。ササなんて変な名前だよな。

俺はそんな友人を無視してポスターをうっとり見つめた。

「ソイツの何処がいいんだか。…俺だったら断然こっちだな」

佐々はそう言って隣のポスターを指差した。

そうこの広告は二種類張り出されている。俺が眺めていた方には天然の金髪碧眼、細い銀縁の眼鏡をかけた英国紳士の王子様が写っている。

一方、佐々の指差した先は黒目黒髪、正真正銘日本人で切れ長の瞳が挑発するようにこちらを見る姿が写っていた。

ちなみどちらも男だということはこの際、俺等が閉鎖的な男子校に通っている事を踏まえて聞かないでくれ。

「そうかぁ?」

視線を横に写して俺は眉を寄せた。

「じゃぁ聞くがお前はソイツの何処が良いんだ?」

「え、顔…?」

「はぁ〜、だと思った。この眼鏡フェチが」

どこをとっても平凡な俺、…実は眼鏡フェチでした。





朝と夕方、土日を除いて一日に二回、その姿を何度か見かけた。

彼は必ず俺のポスターの前で立ち止まる。時には一人で、時には連れと思わしき男と二人で。

それが二、三度続くとさすがの俺も気になり、いつしか朝と夕方時間を作って彼が来るのを遠くから見ていた。

視線の先の彼はとりわけ可愛いわけでも、格好良いわけでもない。だが、何故か気になった。

「ぷっ、何してんのあの子」

きょろきょろと周りを見回し、携帯電話を取り出したと思ったら写メを撮っていた。

それを後から来た男が取り上げて何か言っている。

残念ながら俺の居るところは彼から離れているし、間にはガラスがあって声を拾うことは出来ない。

一生懸命手を伸ばし、取り返そうとしているのが可愛かった。

「ふっ、なんか行動が小動物みたいで苛めたくなるなぁ」

想像しただけで凄く愉しそうだ。

しばらくすると二人は言い合いを止めて去って行った。

一体彼は何処の誰なんだろう。

「ウィル、何一人で笑ってんだ?」

「レイヤ…」

俺の横に張られたポスターはコイツだ。同じ事務所所属のモデル。

レイヤは俺の見ていた方に視線を向けると懐かしそうに瞳を細めた。

「おっ!あの制服、光和(コウワ)の奴じゃん。俺も昔着てたんだよな〜」

「知ってるのか?」

意外な所からもたらされた情報に俺は聞き返した。

「ん、あぁ。光和男子高校。通称光(ヒカリ)高。こっからすぐ近くにある高校だぜ」

光高、ね。そこに彼は通ってるのか。良いことを聞いた。





今日は朝から学校全体が、教室がざわざわと騒がしく落ち着かなかった。

早すぎず遅すぎず学校に登校してきた俺は自分の椅子を引いた。

「おはよう、太一」

「なぁ、聞いてくれよササ」

俺より先に登校していた佐々が俺の横に立つ。

「挨拶も無しになんだよ。て、いいからそれより聞け。このクラスに今日転校生が来るんだって!」

「へぇ、それで騒がしかったのか」

平凡な俺には転校生が来ようが関係ないことだ。

俺にはそれより大事な事がある。

「どうしたお前。いつにも増してテンション低いじゃん」

よくぞ聞いてくれた!
俺は肩を震わせ一気に捲し立てるよう言葉を発した。

「それがさ、ポスターが無くなってたんだよ!俺の許可無しに新しいのに変わってたんだ!俺の王子様が、心のオアシスがっ!許せねぇよな、そうだろ佐々!何とか言え!」

しまいには佐々の肩をガシリと掴んで揺さぶっていた。

「言っても良いなら言うけど、…お前馬鹿。だいたいお前の好きな眼鏡ならこのクラスにだっているだろ」

ほら、と指差された先にはガリ勉君が。

「ちが〜う!お前は分かってない!俺が今まで見てきた中で、あの人が最高傑作だったんだ。いいか…」

「最高傑作ってお前…」

佐々が呆れたような、哀れむような視線を投げてきても俺はめげずに違いを説明し続けた。





まったく佐々の奴眼鏡フェチを嘗めてる。誰だって良いワケじゃないんだぞ。そりゃ眼鏡かけてる人を見た時は始めドキッとするけど。俺にも好みってものが…。

もんもんと机に視線を落とし、考え込んでいた俺は自分に向けられた強い視線に気付かなかった。

「もう知っている奴もいると思うがこのクラスの転校生だ。挨拶しなさい」

「はい。今日からお世話になります。ウィリアム・ファウストです。皆さん宜しくお願いします」

転校生がそう挨拶をし、にっこり笑った瞬間教室内のそこかしこから黄色い悲鳴が上がった。

「メンズモデルのウィルだ!」

「いゃ〜、カッコイイ!ウィル様〜v」

「僕の王子様になって欲しい〜」

王子様?そんなの彼以外いるわけないっ…!

王子様と言う単語を聞いて、俺はどんな奴か見てやると顔を上げた。

そこには、

「あっ!」

眼鏡が良く似合う素敵な俺の王子様がいた。

彼は俺と目が合うと、碧色のその目をレンズの下で細め、にっこりと笑った。

「〜〜っ!」

笑顔を直視しただけで心臓がヤバイくらい跳ねて、顔が赤く染まる。

「ウィリアムの席は山崎 太一の隣だ。山崎、手を上げろ」

「…は、い」

まさか隣の席なんて!俺に悶え死ねと!?

赤い顔を俯く事で隠した俺はのろのろと手を挙げた。

「ヤマザキ タイチ君?よろしくね。俺の事はウィルって呼んで」

「こ、こちらこそよろしく」

視線をなるべく合わせないようにしながら俺は返した。

その仕草にウィルは口元に弧を描く。

ふっ、やっぱり可愛いなタイチは。


かくて太一は運命の出会いを果たした。




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