おまけ
おまけ-in room
黒猫は部屋に入るなり熱を求めるようにくっついてきた。逃げたと思ったら寄ってくる。その姿に京介は笑みを深めて笑った。
「何だよ」
「ん、何でもねぇ」
首を傾げた黒猫の肩を抱き、京介は唇を合わせた。
「んっ…」
瞼を落とし、大人しく口付けを受け入れる黒猫の後頭部に右手を添え更に深く唇を合わせる。
「…んん…っ…はぁ…」
唇を離すと銀糸が互いを繋ぎ、黒猫は頬を紅潮させたまま可愛く擦り寄ってきた。
それを合図に京介は肩を抱いていた手を黒猫の腰に回し、グッと引き寄せ耳朶を甘噛みした。
「―っ!」
黒猫は思わぬ攻撃に身体を震わせ、京介をキッと睨みつける。
しかし、京介は構わずもう一度歯を立てた。
「なぁ、何でお前速水なんかの所に行った?」
唐突な問いに黒猫はきょとんと目を瞬かせ、次の瞬間ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてみせた。
「お前が嫌がると思ったから」
些細な意趣返しだったと黒猫は明かした。
なんとも単純明快、けれども嫌がらせとしては的を得ている答えに京介はそれでか、と苦く笑った。
「フン、これでおあいこだろ?」
そう黒猫は嘯き、いつもの強気な笑みを閃かせた。
おまけ end.
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