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呉維様リクエスト
京介×圭志の嫉妬&甘な話
未来設定です。
ちょろちょろしやがって、目障りな奴。
圭志は視線の先、京介の隣を歩いている小柄な生徒を冷めた目で見つめていた。
◇◆◇
「圭志、こっち来い」
生徒会・風紀専用フロアの寮の一室。
京介は風呂から上がった圭志を自分の座るソファーまで来るよう呼んだ。
「何だよ?」
促されるまま近くへ行けば、腕を強く引かれバランスを崩す。
京介の上に倒れ込んだ圭志はそのまま京介に抱き締められた。
「何かあったか?」
湿り気を帯びている髪に指を差し入れ、京介は髪に唇を寄せた。
「何かって何だよ。別になんもねぇし」
圭志は上体を起こして京介から離れると隣に腰を下ろした。
テーブルの上に重ねられた三枚の紙を手にとり、圭志は足を組む。
「今日、校舎内にいた奴等は中等部の連中か…」
「見たのか?」
「屋上から教室に戻る時チラッとな」
手元の紙には中等部生徒会の印が押された、高等部生徒会への校舎見学・授業風景見学の申請書。
他、タイムテーブル、内容の詳細が書かれた紙が二枚。
「それのせいで明日、明後日はそいつ等についてなきゃいけねぇんだと。面倒くせぇ」
「ふぅん。まっ、俺には関係ねぇな。頑張れよ」
ヒラリ、とテーブルに紙を落とし立ち上がった圭志はさっさと寝室に姿を消した。
次の日、圭志は授業にもでず朝から風紀室でサボっていた。
―コンコン
「黒月いるか?」
ガチャ、と扉を開けた明は応接室のソファーに身を沈めている圭志の側までいくとピシリと固まった。
「く、ろつき…?」
「あ゛?何だよ?」
圭志は不機嫌さ全開でジロリと明を見てきた。
何でこんな機嫌悪いんだよ、と明は冷や汗をかきながら伝えることだけ伝えて今日はもう近寄らないようにしよう、と思った。
「神城が…」
「アイツがどうしたって?」
うっ…、何でそこで俺を睨むんだよ〜、と怯みながら明は続けた。
「中等部の生徒連れたまま教室に来ててさ、何かよくわかんないけど黒月呼んで来いって…」
圭志はソファーからゆっくり身を起こし、昨日の光景を思い出して眉をしかめた。
屋上から教室に向かう途中、階段を降りていた圭志は生徒会室のあるフロアで京介の後ろ姿を見つけた。
声をかけようと階段から廊下に足を踏み出した時、京介の隣にもう一人いることに気づいた。
高等部の制服ではない、自分達の着ている制服とは違う色のブレザー。
そこまでは許せた。が、その小柄な少年は京介の腕に自らの腕を絡ませ、そのまま京介と一緒に生徒会室に入って行った。
京介は少年の腕を振り払わなかった。
圭志はしばしその場に立ち尽くしていたが、一つ息を吐き出すと踵を返した。
「ここが京介先輩の教室ですか?」
「そうだ」
京介は上目使いで見上げてくる視線を煩わしく感じながらも頷いた。
…いいですか、京介。中等部の生徒とはいえれっきとしたお客様ですから高等部の生徒会会長としてちゃんと校内案内して下さいよ。間違っても問題になるようなことは慎んで下さい。
昨日、今日と生徒会室で宗太に言われた言葉を思い出して舌打ちしたくなる気持ちを落ち着ける。
校内見学に加え、授業見学という事もあり、連れてきた中等部の奴等を室内に入れ、京介はドアに寄りかかる。
「圭志の奴いねぇのかよ」
入ってすぐ、圭志の席を見た京介はそこが空席になっていることに気づいた。
その呟きを耳にしたのか先程からやたら京介に話し掛けてくる中等部生徒会会長の小柄な少年が京介を見上げる。
「圭志…先輩って誰ですか?」
「お前には関係ねぇ。それよりちゃんと授業見学しろ」
苛立ちが増した京介は、ハラハラとした顔でこちらを見ていた明と視線がぶつかり、目だけで呼ぶ。
「どうしたんだよ神城」
「俺に問題起こされたくなかったら直ぐにアイツ呼んで来い」
「は?」
「いいから早く行け」
わけが分からない、と不思議そうな顔をした明を教室から追い出し、京介は時計を見た。
「先輩、今のは誰ですか?」
「風紀委員だ」
昨日、生徒会室での打ち合わせの時からこの中等部の会長は京介にしつこく付きまとっていた。
それについて静は、怖いもの知らずか、ただの馬鹿だと評価し、これじゃ中等部のレベルもたかが知れるな、と嘯いていた。
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