間
ばたばたと廊下を走る音が響く。
堂島は元から参加していなかったが、虎野も神楽もいなくなり。
走っていた内の一人が呟くように言った。
「一人減り、二人減り…なぁ、これって最後に誰もいなくなるやつか?」
ちらりと目を向けた先にある真剣な眼差しに、訊かれた内の一人は鼻で笑う。
「そんなわけねぇだろ。現に俺達はまだ三人残ってる」
「神楽に至っては俺達が差し出してきたんだ」
付け足すようにもう一人が言って、妙な雰囲気を壊した。
その直後、先にあった曲がり角から二人組の生徒が現れる。
「…っ、やば!」
先頭を走っていた生徒は真っ先にその姿に気付くと、足を止め、窓に駆け寄った。素早く鍵を開け、窓を開け放つ。
「あ…」
もう一人が気付いた時には、生徒は開け放った窓をひらりと身軽に乗り越えていた。ちなみにここは校舎の一階だ。
「お前ら…!」
「待て!」
向こうも気付いたのか、二人組は声を上げる。
窓から真っ先に逃げた生徒を追うようにもう一人もひらりと窓を越え、一人がその場に留まった。
その姿に二人組のうちの一人が鋭く瞳を細める。
「山口、お前は逃げた奴等を追え」
「あぁ」
二人組はバラけて、逃げた生徒達を追って山口と呼ばれた生徒は同じように窓から出て行った。
授業中の今、教師に見咎められずに廊下を堂々と歩いていられる組織は二つしかない。
それは…生徒会と風紀委員会、この二つしかなかった。
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