授業中の静まり返った廊下に立ち尽くすカラフルな頭をした四人の男子生徒。
立ち止まって振り向いた先からやたら襟元を寛げた、男の色気漂う一人の教師が近付いて来る。

「この騒ぎ。また、テメェらか…」

不機嫌さをそのまま声に出したような唸るような低い声。

「堂島と…虎野はいねぇようだな」

一人一人を確認するように眺めた教師はその内の一人で目をとめると、鋭いだけの双眸に僅かな熱を宿らせた。

動きを止めた生徒達は顔を見合わせ、仲間である一人の生徒の背を教師に向かって押し出す。

「…っ」

「後は頼んだ、神楽(かぐら)!」

「すまん、何とか上手くやり過ごしてくれ!」

「立浪(たつなみ)にはお前を与えときゃ何とかなる!」

各々言いたいことだけ言って、教師に向かって仲間の一人を押し出した三人は教師のいる方向とは逆方向に一斉に駆け出した。

「あっ、おい待て…お前ら」

「待つのはお前もだ、神楽」

ぽんっと頭に置かれた手が、神楽と呼ばれた生徒を捕まえる。
ぴくりと肩を震わせ、神楽は自分より頭一つ分、背の高い教師を見上げて喉を震わせた。

「立浪…先生」





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