04
〔竜の雲:一匹の右目と二匹の竜、捕縛編〕
城下へ降りてきた泉は二人が良く行く店を回ってみたがこれが中々見つからず、首を傾げた。
いつもならそろそろ捕まえている頃。
「女将さん、この辺で…」
そう話しかけ、ふと何かに気付いた泉は途中で言葉を途切らせた。
「何だい、どうした兄さん?」
「あ、いえ。何でもありません」
「そうかい?」
不思議そうな顔して店に引っ込んだ女将に泉は微笑で返し、止まっていた足を進めた。
そして、人気の少ない店と店の間を選んで歩く。
黙々と歩を進めながら泉は背後に意識を集中させた。
「はぁ…。まったくしょうがない方達だ」
ため息と共に呟いた泉はピタリと立ち止まると素早く反転して走り出した。
その先には…。
「shit!見つかったか!」
「やばっ!」
捜し人の姿が二つ。
「待ちなさい!湊様、今止まって下さればお説教は許してさしあげます」
「え?」
顔だけで泉を振り返った湊に隣を走る政宗が言う。
「惑わされんじゃねぇ、湊」
「藤次郎様!貴方様も今すぐ素直に帰って下されば幾分説教は軽いものになるでしょう」
一応、名は伏せて言っているが走り回っているせいであまり意味はなかった。
「だってさ、どうする?」
「ha、It is disregard.どこまでも俺についてくるんだろ?」(無視だ)
「…Yes!」
しかし、カッコ良く決めた二人だったがこの数分後城下を警備している伊達軍の手を借りた泉に捕まった。
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