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〔竜の雲:二匹の竜、逃走編〕


馬を適当な場所に繋ぎ、政宗と湊は城下町にある甘味屋に身を潜めていた。

湯気を立てる湯飲みの前には三色団子の乗った皿が置かれている。

「で、これからどうする政宗」

「ah〜、そうだな。ここにいたらすぐ見つかっちまうだろうし」

皿の上に乗せられた団子をそれぞれ一本掴み、湊と政宗は顔を突き合わせる。

「そうだ、政宗!ここは灯台下暗し作戦ってのはどうだ?」

「ha〜n、お前にしちゃnice planだが無駄だろうな。小十郎と泉、どちらかが城に残ってもう一方がここへ追って来る可能性が高い」

「ちぇ、泉の奴…」

団子の無くなった串を皿に戻して、政宗は湯飲みを傾ける。

「お前、そもそも何で泉から逃げて来たんだ?」

「そう言う政宗こそ執務を放り出して小十郎さんから逃げてた理由はなんだよ?」

顔を突き合わせていた二人の視線が自然と活気ずく店の外へ向く。

「「そりゃ、こんな良い天気を目の前にして机になんか向かってられない/られねぇだろ」」

そして、揃って同じ言い訳を口にしていた。

「…だよな」

「うん」

空になった皿と湯飲みを置き、二人は立ち上がる。

「俺にちぃとばかし考えがある。が、それは危険な賭けだ。乗るか?」

「もちろん。どこまでもついて行きますとも政宗様」

「OK.いい返事だ。行くぜ湊」

「Yes sir.」

そうして政宗と湊は甘味屋を出て姿を眩ませた。



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