子孫組小話-夏04
〔子孫組:夏の過ごし方C〕
ドン、と闇夜に大きな音が響き、バラバラと色とりどりの光が夜空を彩る。
次々と打ち上げられる花火を六人は神社の境内に座って眺めていた。
「………」
この時ばかりは皆、夜空を見上げ沈黙を保つ。
祭りの夜に打ち上げられる花火は、花火師達による花火の祭典だ。故に毎年見たことの無い新作が数多く打ち上げられる。
今も…、
ドンと音を響かせ、空に打ち上げられた花火が青と白の閃光を放つ。
そして、
「おぉっ!遊士殿、今のは!」
「さすが奥州。何でもありだねぇ」
「ha、Coolじゃねぇか」
「良くできておりましたな」
「凄い、花火でよく表現出来たわね」
「ふむ、悪くはない」
夜空に一瞬だけ現れた光を放つ青い竜。この地の象徴。
遊士は夜空から視線を下ろし、眼下に広がる町並みを柔らかな眼差しで見つめた。
「お前ら最高だぜ…」
少しばかり高台にある神社の下では、人々が同じ様に夜空を見上げて楽しげに笑い合っている。
「ん、竜の旦那?…いつもそうやって笑ってればいいのに」
一人、遊士の視線が別の方向を見ているのに気付いた明良がもったいなさげに呟く。
「ah?何か言ったか猿」
「んー、何にも。あ、次が上がるよ」
聞こえるのは花火と眼下の賑わい。その夜の空は大輪の花に彩られ、誰もが空を見上げ口を閉ざした。
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