子孫組小話-夏02



〔子孫組:夏の過ごし方A〕



ミンミンと蝉が何処かで鳴いている。

数刻前まで晴れていた青空があっという間に雲に覆われた。

「おっ、今の見たか!真田」

「もちろん、今のは凄かった!ジグザグ模様がはっきり見え申した」

ざぁざぁと叩きつける様に降る雨の向こう側に、ピカリと走る光がある。

「何を騒いでおるのだ。竜、お主は雷属性であろう。あれぐらい容易く…」

「No!あぁ言うのは自然に出来るから感動するんだよ」

「………」

パクリととうもろこしにかじりついた明良が元晴に声をかける。

「気にしたら負けだよ、毛利の旦那」

「太陽が見えないからってそう不機嫌になるなよ元晴。もうすぐ雨も上がるわよ」

「なってなどおらぬ」

ピカリとまた空が光る。

「わっ!」

「おぉっ!」

障子を開け放って外を眺めていた二人の背に彰吾は注意を促した。

「遊士様、あまり前に出られては濡れてしまいますよ。真田、お前もな」

夕立は程なくして雷と共に去っていった。



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