混合軍小話01
〔混合軍:子孫、竜と鬼編〕
「西海の鬼が来るってよ。一体何しに来るんだか…」
「ふ〜ん。…なんならオレが鬼退治してやろうか?」
机を埋め尽くす紙の束を目の前に、湊はニヤリと冗談半分で政宗を見た。
「Ah〜、それも面白そうだな」
こちらもニヤリと同じ様に口端を吊り上げた。
それが数日前。
二人はすっかり忘れていた。
バタバタと慌ただしい足音が近付いてくる。
「何かあったのか?」
政宗の部屋に入り浸っている湊は首を傾げた。
「さぁ?俺は手が離せねぇから聞いといてくれ湊」
「OK」
足音は部屋の前でピタリと止まり、湊は入るよう促した。
「で、どうした?」
「それがっ、城門で妙につえぇ女が筆頭を出せと暴れていて…」
チラリと、報告に来た兵士は政宗の背を見た。
湊も政宗を振り返り、その背に声をかける。
「だってさ、どうする?別にオレが行っても良いけど相手は政宗ご指名だ」
カタリ、と筆を置き、政宗は立ち上がった。
「売られた喧嘩は買わねぇとな。そうだろ、湊?」
湊は立ち上がった政宗に刀を一振り差し出すことで返事を返した。
面白そうだと湊も愛刀を一振り持って政宗の後について行く。
小十郎さんと彰吾は畑だし、気付いたときには事は済んでるだろう。
報告に来た兵には口止めしといたし。
湊はわくわくと心踊らせて先を行く政宗の背を追った。
「Hey、girl!俺に用だってな」
城門で暴れている女を目にすると政宗は好戦的な態度で出迎えた。
その付近には伊達の兵士達が倒れている。
血痕が見当たらない事からただ気絶させられているのだと分かるが…。
こりゃ確実に政宗の怒りを買ったな。
湊は心中で呟き、政宗の背の向こう側にいるだろう女に合掌した。
「貴方が独眼竜、伊達 政宗ね」
女は自分の身の丈を越す武器を手に、政宗を見返した。
「そうだ。何者か知らねぇがよくも部下達をやってくれたな。覚悟はできてんだろうなぁ?」
湊は今回出る幕は無いかと城門の内側で倒れている伊達兵を回収することにした。
「でもあの声どっかで聞いたことあるような気がするんだよなぁ…。まぁいっか」
転がっていた伊達兵士の両足を掴み、安全な場所までズルズルと引き摺っていく。
途中、うっとか呻き声が聞こえて起きたか?と振り返ったりしてみたが特に変わった様子はなかった。
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