06
〔武田軍:子孫、熱血編〕
翌日、朝から湊と幸村は顔を合わせていた。
それも昨日言っていたような話を聞く、とは程遠い意味で。
「では行くぞ、湊殿!」
「はいっ!」
湊と幸村の手には朱塗りの槍が二本。
「おりゃぁー!!」
「はぁっー!!」
ガァン、と槍同士が激しくぶつかり合う。
それを二人の忍が濡れ縁に腰かけて眺めていた。
「旦那ってば張り切っちゃってまぁ。余程、湊の旦那が気に入ったのか」
「うちの旦那もいつになく張り切ってるよ。昨日なんて寝るまで幸村様がってうるさくて…」
ふぁっ、と出てきた欠伸を噛み殺し、目尻に溜まった涙を指先で払い泉ははふりと息を吐く。
ただでさえ違う場所で俺は気を張ってるっていうのに。
「眠そうだね。寝れなかった?」
隣に座る佐助が泉を見て言う。
「んー、一応寝ましたよ。俺ってば枕換わると寝れないんで」
佐助様も一睡もしてないはずなのに眠くないのかよ。
意識を湊に戻せば、どうやら鍛練は終わったみたいだった。
「泉ー!見てたか?俺、幸村様に褒められた!」
嬉しそうに駆け寄ってくる湊の笑顔に、泉は旦那が笑ってられるなら俺の苦労も報われるってね。と心の内で呟き、フッと笑みを浮かべた。
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