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〔武田軍:子孫、遭遇編〕


「あ〜、焦った。幸村様に会うとは思わなかった」

「泉!お主、俺に嘘を吐いたな!お館様が呼んでいると言ったから俺は先に戻ったのに誰もいないではないかっ」

障子を閉めて、安堵の息を吐いた天孤仮面、もとい猿飛 泉は室内で仁王立ちするおかめ仮面、真田 湊に睨まれた。

「嘘吐いたのは悪かったよ旦那。緊急事態だったんだ。でも、その前に仮面外そうよ」

泉は湊の背後に回り、仮面の紐を解く。

「む、すまぬ」

「いいえー」

仮面の下には幸村と佐助に似た、二人を幼くした感じの顔があった。

「しっかしどうしようかねぇ。信玄公はいつまでも居て良いって言ってくれたけど…」

ずっと幸村様と佐助様に会わないようにするのも難しいし。

「泉。お主何故幸村様を避けるのだ。お館様は会っても良いと言っておられたのに」

「いやぁ、うんまぁ。大人の事情って奴だよ」

まさか大変な目に合いそうだから、なんて言えないよね。特に俺が。

納得しかねるのか湊は疑いの眼差しを泉に向ける。

こういう時だけ勘が鋭いというか。

泉は苦笑して返した。

「分かった、分かった。後できちんと挨拶に行こう」

パッと表情を輝かせた湊に泉は負けたと思った。

俺も旦那には甘いねぇ。



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