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〔瀬戸内:子孫、完結編〕


そう言えば、この会談はどうやら同盟の最終確認の為に設けられたらしかった。

同席を許された泉と湊は話が終わるまで大人しく待つ。

「ねぇ、泉。これから泉はどうするの?」

「聞くまでもない。俺はここに残る。元就様には滞在の許可を貰った」

いつの間に、と驚く湊に泉は切り返す。

「貴様は長曾我部についていくのだろう?」

「ん、まぁ。そのつもりだけど…」

「フッ、残念だ。元就様が同盟を結んだ以上、長曾我部と戦になることはない。惜しいことを」

それを聞いて湊の表情が明るくなった。

「減らず口ばっか叩いて元就に追い出されるなよ」

「それは貴様の方だ」

仲が良いのか悪いのか、二人は口元を緩ませ言い合った。

と、いっても泉は親しい者にしか分からない程度にだが。

「湊、帰るぜ。泉はどうすんだ?」

「貴様に泉を任せられるわけなかろう。泉は我が子孫。我が預かる。其奴を連れてさっさと返れ」

元就の泉と自分に対する扱いがまったく違うことは気にしない方向でいこうと湊は決めて、元親に帰ろ、と促した。

「精神衛生上ここに長居は無用だと思う。それにオレ、アニキの船の方が落ち着く」

なついてきた湊の頭をよしよし、と撫でながら元親は「じゃぁ、帰るか」と言い、元就には「また来る」と残して二人は城を出ていった。

「さて、騒がしい奴等もいなくなった。泉、改めて我が城に歓迎しよう」

「ありがとうございます」



運命の悪戯がもたらしたこの出会いが紡ぐ先には何があるのか?今は誰も知らない―。



end.


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