06
〔瀬戸内:子孫、舌戦編〕
元就は瞳を細め、泉を品定めするように見た。
「成る程。泉と言ったな、未来から来たと言う長曾我部等の戯れ言まことの事か?」
「本当で御座います」
「…ふむ。ならば我は泉を信じようぞ」
「流石は知将と呼び声高き元就様。この地に来たからには私は元就様に仕えたいと存じます」
勝手に進んでいく話しに、完全に置いていかれた元親と湊はちょっと待て!と二人揃って声を上げた。
「おかしいだろ?何で泉の話は信じて湊の話は信じねぇんだ」
「アニキ、もっと言ってやって!」
抗議する二人に元就と泉の冷たい視線が刺さる。
「そんなこと決まっておろう。なぁ、泉」
「はい。貴様等は所詮長曾我部だからな」
意味の分からない、毛利家の人間だけに通じる理由に二人は肩を落とした。
「そうだった。コイツはこういう奴だった。アニキ、オレもう帰りたいよ」
「負けんな湊。元就の思う壺だ」
ポンポンと頭を軽く叩かれて湊の機嫌がちょっぴり上昇する。
アニキッ!!マジでオレの本当の兄貴になってほしい!
そう心の中で叫ぶ湊だが実は部下達から姉御と呼ばれ慕われていたりもする。
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