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「この刀、有り難く使わせてもらうぜ遊士。…さぁ、Revengeと行こうじゃねぇか」

低く鼓膜を震わせる、耳に馴染んだ声。待ちわびた自信に満ちた力強い台詞に抑えきれず遊士の口元に笑みが上る。

やっぱりアンタはそうでなくちゃ。城で大人しく待つなんて似合わない。

オレが魅せられた竜は…

蒼い覇気を身に纏い、不敵に笑う。右手に刀を構え、真っ直ぐ射抜くような視線で松永を見据えていた。

「政宗」

その側で同じく刀を抜き、視線を投げた遊士に頷く彰吾。

「斥候は無事奥州の地へ」

雷撃の直撃を避けた松永は小十郎から距離を置いて新たな乱入者を見やった。

「生きていたか独眼竜」

「ha、あれしきでくたばるかよ」

ブスブスと雷撃で焦げた古寺の柱が松永の側で煙を上げる。その柱が耐えきれずにガラリと音を立てて崩れた。

「それより六(りゅう)の刀は返して貰うぜ」

グッ、と足に力を入れ踏み出した政宗に合わせて遊士も動く。

「松永の左手に気を付けろ政宗!火薬はそこに仕込まれてる!」

「All right!」(分かった)

雷を纏わせた左右の刀で遊士も再び松永へと攻撃を仕掛けた。

松永と刃を交える遊士と政宗。小十郎は一旦その場を引き、彰吾の元へ向かう。

「彰吾、政宗様は…」

その問いに彰吾は首を横に振った。

「あまり良いとは言えません。薬師の見立てでは刀を振るうなど、安静にしているようにと」

「そうか…」

眉を寄せ重く頷いた小十郎に彰吾は申し訳ありません、と続ける。

「いや、お前が謝ることじゃない」

しかし、小十郎も政宗を止められないだろうと予測していたのか彰吾を咎めたりはしなかった。

すぐ側で苛烈さを極めてきた松永との戦いに小十郎と彰吾の刀にも碧い光がパリパリと走る。

「話は後だ。彰吾」

「はい。これが終わったら本人に言ってやります」

地面を蹴って、松永との戦いに彰吾も身を投じた。

「ぐっ…っ、Shit!傷が開いたか…」

激しく動きすぎたのか、政宗の腹部には血が滲んでいる。

「政宗!…っ、このっ!」

遊士は右の刀を振り下ろし、左の刀を真横に振るう。

「卿は何者かね?」

ガキッ、と左の刀を弾かれ右の刀が松永の服を掠めた。

チッ、またか。踏み込みが甘い。

「han、ンなの見ての通りだ。オレはオレだ!」

オレ以外の何者でもない。

「唸れ、鳴神-ナルカミ-!!」

遊士の真横を通過し、松永に直撃した碧色の雷に遊士は笑った。

「Nice timingだ、二人とも」

そして、動きを止めた松永に畳み掛けるように二刀を振るった。

「ha――!!」

僅かな隙さえ与えない斬撃。防ぐことで精一杯なのかいつの間にか松永の表情が険しいものに変わっていた。

松永が圧されている。

そのスピードは政宗以上。その速さに軽く目を見張った政宗だが、乱れた息を整えると不敵な笑みを浮かべた。

刀を上段、半身に構え、開いていてしまった間合いを一気に詰める。

視界の端でその姿を捉えていた遊士は、政宗の刀が振り下ろされる瞬間、二刀で松永の逃げ道を塞いだ。

「くっ…!?」

一刀で松永の剣を抑え、もう一刀は下から跳ね上げるようにして松永を襲う。

「ぐぁっ―…!!」

振り下ろされた刀が松永の血を浴びて汚れる。遊士は跳ね上げた刀を返して、――振り下ろした。

「―っ、がはっ!!」

斬られ血を流し、それでも膝をつかない松永は自身の血で汚れた口元を拭い立ち上がる。

「ごほっごほっ…はぁ、よもやこれ程とは」

ボタボタと血を落としながらも愉快だと笑う松永に遊士の眉が寄る。

「何が可笑しい」

刀の切っ先を向け、遊士は松永を睨み付けた。



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